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THE BLACK KNIGHT  作者: じゃみるぽん
三章・忍び寄る神の手
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【3章・岡目八目、少しの暗躍】6

最近アクセスが増えてきてとても嬉しいです。ずっと読み専だった私が初めて気分で書いた作品をまさかこんなにも見てくれる人がいるなんて感動しますね。未だに文章が狂ってたりする所があり、自分でも情けなく思う所がありますがブックマーク登録やポイントが増える度罪悪感がリセットされて………一種の薬物でしょうか? まぁ、どうでもいいですね。最近面白かった映画を紹介しますね。CELLULAR です良いですよー

アルスがエルロランテ邸で賑やかなひと時を過ごしている間、王城では突然聴こえた爆発音で大きな騒ぎになっていた



「ジェレマイア! どういう事だっ!? 何故もう爆発している!?」



「………不明です、至急確認の人間を向かわせます」



「いや…待て、先に貴族を閉じ込めるぞ」



「承知しました」



ジェレマイアは近くの騎士を連れガリウスの元を離れる。沢山の貴族が逃げ惑い騎士達も先導するため出口付近に集まっていく



大広間の出入口は逃げる貴族と爆発音のした方へ向かう騎士、そして入れ替わるようにジェレマイアと騎士達が通る



貴族たちの意識は逃げる事にしか頭になく、騎士達もそれらを捌く事で精一杯で誰も逆走するジェレマイア達を気にも留めない



「----始めろ」



ジェレマイアの合図と同時に火魔法で木箱の導火線に火をつける騎士達、長い導火線は遠くに逃げれるように余裕を持って作られており、その長さは王城に設置した木箱に一個ずつ火をつけても十分に逃げられる長さだ



「次に向かうぞ、各自担当場所に向かい仕事を果たせ」



「「はっ!」」



この時、ジェレマイアだけがこの場の異常に気付いた。未だ至る所で忙しない足音が聴こえるものの、決して鉢合わせたりする事は無く、この状況に不気味さを覚える



(何だこの違和感は……何かを見落としているのか……?)



顎に手を当て思案するジェレマイアにガリウスの配下である騎士が近付いてくる



「ほ、報告します!玉座の間にてフロイド=セーズ=トランツェルと交戦中、現在十二名がし、死亡しました!」



「了解した、許容範囲内だ。即座に玉座の間を封鎖しろ」



「な、中の騎士達は?」



「大義のための犠牲となるのだ、本望だろう?」



「………はっ!」



報告に来た騎士は重い足取りで玉座の間のある方へ走っていく。先が見えない大義と長い間訓練を共にした友人ではいくらガリウスに忠義を誓っていても中々踏み出せないものがあるのだろう



ふと横を見て窓から外を覗くと、王城の外には王都から来た騎士達が王城に入ろうとしており、大方の計画が露見しているのだとジェレマイアは確信する



(まだだ……まだ足りない)



「アルマ!ミゲイル! 時間だ、私達も出るぞ」



白髪の刀を差した女と筋骨隆々で色黒の刀を差した男が頷き、ジェレマイアに着いて行く


装備こそ王国騎士だが二人は元奴隷である


闇の界隈で多くの激闘を制し、刀と己の身体一つで奴隷の身でありながら平民や貴族から恐れられていた


その二人が今やジェレマイアの配下、広く言えばガリウスの配下である。一部の王族派に属する貴族は震撼する事だろう



「今から向かうのは伯爵家、メルウッド家だ。あの家には学園に通う【弓聖】スキル持ちが居る、そして”何故か表に出てこない同年齢の長男”が居る。【弓聖】は将来の不安要素になり得る------潰すぞ」



「ジェレマイアさんよ、俺たちは今から伯爵家を丸ごと潰すのか? それに【弓聖】は学園に居るんじゃないのか?」


「面白いですね、貴族には分からない奴隷の苦しみ……身を以て痛感して貰いましょう」



「えぇ、学園の寮で生活しているぞ。ただ彼女の帰る家を無くすだけだ」



馬に跨り、三人は王都にあるメルウッド家の屋敷へ向かっていった



▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢


アーバンドレイク邸



爆発の衝撃で半壊状態の馬車はアルスの『空間移動』によってアーバンドレイク邸の庭に現れる


屋敷に駐屯する滅龍騎士は一時は警戒したものの馬車がアーバンドレイクの物だと気付き、一斉に駆け寄っていく


馬車の扉が中から開けられる。開けられると言うより吹き飛ぶと言った方が似合う開き方だ



「アルスっ!! 」


「ガーネット落ち着いて! アルスは爆発なんかで死なないわ! 現に私たちを送ってくれたじゃない!」


馬車から転がる様に降りるガーネットをセレスティーナが抑えながら地に足をつけ、馬車から出る



「直ぐに王城へ戻らないと……「その必要はありません」……え?」


ガーネットが焦るように零した一言は屋敷からでてきたふくよかな男の一言によって否定される



「お父様………どうしてですか? またアルスなら何とかなるとか言わないで下さいよ?」



「あぁ、勿論そこまでアルス君頼みをするつもりは無いよ…でも冗談なしで彼は王国の宝であり人類の最高傑作だ何とかなるに決まっているよ♪」



ガーネットとカルセインだけでなく、今回はセレスティーナさえも呆れてしまう。たった一人で王城を乗っ取ろうとしようとしている集団に敵うというのだろうか


「取り敢えず両殿下は一夜だけここに留まった方がいいでしょう………よろしいですかな?」



「えぇ」 「あぁ」



ガーネットはガリウス側の戦力を心配しているがカルセインに心配の色は見られない



「ガーネット殿下、心配なさらないで下さい……王城にはトランツェルが居るでしょう? ガリウス殿下の勢力も時間の問題ですよ」



そう言われても、という表情をするガーネットとただ無表情で頷くカルセイン



二人は幼い頃から国王の傍に近衛騎士団長が居たのを覚えている、カルセインは一時的に師事していた事もありよく知っているのだろう、フロイド=セーズ=トランツェルという男の温厚な面に隠された内なる狂気に



▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢


〜王城〜



城門に居たガリウス側の騎士達が破れ、王都から駆け付けた騎士が城に流れ込む



予想外の爆発によって完全に貴族を閉じ込めることは叶わなかったが多くの騎士を招き入れる事は出来た



玉座の間の方で起きた大きい爆発を背にガリウスは王宮がある方へ一人で歩き始める


ガリウスの目標は国をとる事だが、確実にとれるかと言われたら難しいと言うだろう


王国騎士、近衛騎士、貴族の私兵、そして闇ギルドはとても厄介だ。組織の上層部を乗っ取るだけで簡単にコントロール出来るような体制でなく、七人居る将軍一人一人に派閥が生まれていて過半数を味方に付けなければ国をとるのは厳しいとも言える


しかしガリウスのやろうとしている事は将軍を味方につけることじゃない、寧ろ邪魔とさえ思っている


王城に大量の騎士を閉じ込め、殺していく、この地道な作業が国力を削り、後に響いてくるのだ


ガリウスは今日の歓迎会に来た貴族を一通り把握している、標的はその中でも王族派の私兵を持っている貴族


王都にも幾つか存在する私兵持ちの貴族は自分の私兵を騎士団と名乗っていない、現状王都で騎士団を名乗る私兵を持つ家はアーバンドレイク家のみだ


国で一位二位を争う程の騎士団をついでに殺せる機会だったのだがイレギュラーな存在であるアルスにその機会は悉く潰されていった



(あとは、母上を連れてオニキスに戻るだけだ……)



王城の出入口はほぼ閉鎖され、玉座の間に残った近衛騎士団長に今のところ動きは無い



ガリウスとしては滅龍騎士団を消せなかったのは大失敗だったものの、大方の目的を達しようとしている事に満足していた





「あの〜、すいません……出口が瓦礫で埋もれてしまっていて出れないんですけど……何処か城から抜ける道ご存知ないですか?」



護衛を一人もつけないまま歩くガリウスに一人の騎士?が喋りかけてくる



いくら国から追放される程の事をしたとはいえ、礼儀を欠かれる程自分の王族という立場は低くないと思うのだが、目の前の青年はなんの躊躇も無く膝もつかなければ徐々に近付いてくる



「----お前は何者だ? 何故その態度で私に接する?」



「あ、いっけね………申し訳ありませんでした貴族様」



「癪に障るような奴だな……私の寛大な心に感謝するんだな、本当ならば処されてもおかしくないのだぞ?」



「いやぁ本当にありがとうございます、最後に一つお聞きしたいんですが…………アルス=シス=エルロランテが何処にいるか教えてくれませんか?」




▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢


〜王宮〜



アトランティス国王と二ーヴル王太子が王宮に避難してから暫く経ち、爆発の起きる少し前、国王は二ーヴルを連れ第二王妃ミレイア=ヴァン=アトランティスの居る部屋へ向かっていた



「陛下、本当に宜しいのでしょうか? いくら実の母親だからといってガリウスに加担するとは思えません……」



「我とて実の妻を疑いたくはない……闇ギルドが嘘をついている事を願う他無い」



国王と二ーヴルの後ろには近衛騎士と王国騎士着いてきているがその数は明らかに誰かを捕縛を念頭に置いたような数だ



王宮に居る近衛騎士は王城に居る筈の国王と王太子が現れた事に驚いている



王宮内では近衛騎士や王宮を守る魔法士が練り歩いており、普段と何も変わらない印象を受けるが突然の銃声でミレイアの部屋へ向かう足が止まる



今の時代で銃と言えば魔法銃であり、繊細な代物であり使用者は限られてくる。そして魔法銃とは少し違う音という事もあり硬直してしまう事もしょうがない事だろう



国王はこの音が銃である事に少しの時間を要したが王太子だけは銃声の聴こえた方へ走り出す



「二ーヴル! 何処に行くんだっ!?」



二ーヴルは知っていた。以前この音を聴いた事があるからだ。広い王宮を走りミレイアの部屋の前まで来た二ーヴルは部屋の前に居た騎士達を掻き分け、中に居るであろうミレイアに大声で呼びかける



「ミレイア様っ! 二ーヴルです! 扉を開けてくだいっ!!」



「二ーヴルさんですか…………良いですよ入ってきて下さい周りの騎士は入れないようにお願いしますね」



二ーヴルは近くの近衛騎士を下がらせ、一人で扉を開きそのまま入っていく。まず目に入ったのはあの男に銃を突きつけられているミレイア第二王妃。そして地面に血を流して伏せている近衛騎士と王宮の魔法士特有のローブを纏った女性がいる



「お久し振りです……ミレイア様。こういう再会の仕方は望んでいなかったのですが……」



「私が望んだことよ、貴方がここに来た理由も知っているし、闇ギルドがここまで来るのも自分の行いのせいだわ」



「では認めるのですかっ……いえ、それより何故止めなかったのですか!! ガリウスがどんな戦力を蓄えていてもこの国を乗っ取ることは不可能です! 実の子と敵対しなければならない陛下の気持ちを考えて下さい!」



声を荒らげる二ーヴルに表情一つ変えずに見つめるミレイア



「勿論最初は反対したわ……でも見てしまったのよ。地上に降りた神の存在……手足が離れて血を流しても死なない人間の皮をかぶった神の姿をね…………その怒りを買ったアトランティスは滅びる。エストに従うしかこの国には選択肢が残されていないのよ!」



これはカルセインやガーネット、他の王女ならば困惑するような内容だが、虚無の大森林で真実の一部を知っている二ーヴルだからこそ、平常心で且つ冷静に状況を判断出来る



「-----骸、お前はこれからどうするんだ? 言える範囲でいいから教えてくれ、闇ギルドはこれからどうする?」



「そうだな……取り敢えず何も手出しはしない、我等闇ギルドに神を殺す手段が無いからな、だが勝てない訳では無い。戦争するんだろ? エストと。依頼さえ貰えばエストの神を消しに行く。それだけだ」



「私は遺跡の文献を幾つか見た人間だ。探る訳じゃないが神器でないと神は殺せないんじゃないのか?」



二ーヴルの見解では現時点で神を殺せるのはフロイド=セーズ=トランツェルとオニキスの勇者のみ


殺すとは明言していないものの、”消す”というのは殺すと近しいものではないだろうか


惑溺気味な自分をなんとか抑え、骸の言葉を一つ一つ吟味して頭を整理する



「----これ以上は話せないな、王宮に入った事がボスにバレたら大変だ。帰らせて貰うぞ」




「ま、待てっ!!!」


二ーヴルが逃がすまいと背を向けた骸に向かって剣を引き抜き迫ろうとする



骸は空いた窓に足をかけ二ーヴルに捕まる前に二階とはいえ、降りたら骨を折るのは確実、最悪死んでしまう高さから飛び降りた



二ーヴルは追いかけるように窓から身を乗り出し、骸を目で追う



何かしらの滑空技術を備えている訳でもない骸はうっすら霧に包まれている王宮の庭園にそのまま生身で着地する。濃い霧に消えていく骸を二ーヴルは眺める事しか出来なかった


前書き長くてすいませんでした

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