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THE BLACK KNIGHT  作者: じゃみるぽん
三章・忍び寄る神の手
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【3章・岡目八目、少しの暗躍】2

アーバンドレイク公爵の部屋が仮面の男の話題で持ち切りになっている際、王都では変装しているアルスが大量の騎士に追いかけられていた



「止まれっ!止まらなければ此方は武力行使も厭わないぞ!」



(執拗いな……)



騎士の一人が馬上から叫ぶ。追いかけて来る騎士の馬はエクリプスには到底追いつかない、寧ろ少しづつ距離が離れていく



「----なんだあの馬は!?」

「クソっ……速すぎるぞ!」



アルスは現在魔力を温存している状態であり、いつものように結界魔法を体に纏っていないため飛び道具を回避するのは困難を極める


幸いな事に今追いかけてくる騎士達は銃などを持っていないのか追いかけてくるだけで攻撃は一向にしてこない


魔法については王都では殺傷能力のある魔法の使用を制限している為、周りに一般人がいる状態では騎士達も容易に使用出来ない状態だ


アルスはそのまま騎士達を突き放していき、路地裏に逃げ込み身を隠す



「何処に行った!?」

「探せっ!……まだ近くに居るはずだ!」



身を隠す近くで鎧の擦れる金属音と馬の足音が通り過ぎていく、今日が今日だからか王都を見回る騎士が多く、この様な目立つ姿では一向に王城に辿り着けないだろう



(外してもなぁ……時空間魔法は消費魔力大きくて一回使えるかどうか微妙な所だし………)



騎士達が完全に周囲から居なくなったのを確認してエクリプスを引きながら路地裏から仮面とローブを外した状態で出てくる



(お金はあるし、服を買ってから行くか)



▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢


〜王城〜



「…………一体どうなっているんだっ!?」



王城の大広間では謁見を終え、部屋に戻ったオニキスの王女と臣下のジェレマイアに呼ばれたガリウスで別れていた



「この大広間で待機するように伝えたはずなのですが……」



「クソっ! 何故だ!?………王城を出たのか?」



「いえ、誰もこの大広間から二人が出る姿を見ておりません」



ガリウスは苛立ちからか、眉間に手を置き小さく震えている


ガリウスとジェレマイアの出す近付き難い雰囲気を押し退けるように五人の”騎士風”の男女が二人の目の前に立つ



「----なんだお前らか、終わったのか?」



「あぁ、きちんと言われた通りの場所に配置した」



「報酬は指定の宿に送ってある、もし良かったら今夜の劇を見に来ても良いんだぞ?」



ガリウスの”劇”という言い方にはジェレマイアですら苦笑い。王国騎士の鎧を着た五人組も完全に顔が引き攣ってしまっている



「え、遠慮しとくぜ……少しでも疑われる訳にはいかないんだ」



「-----まぁ……いい。帰っていいぞ」



五人の騎士の歩き方からはとてもじゃないが騎士の気品を感じず、本物の王国騎士では無いのは確かだ



「良いのですか? あのまま帰して?」



「構わない、それよりネルマンディーとエーベルシュタインから私兵に気を付けるんだ……特にあの………”水の精霊魔法士”にはな」



アーバンドレイク、ネルマンディー、エーベルシュタインはこのアトランティス王国で三大公爵と呼ばれる最も実力と権力を持った貴族家だ


国の体裁を良く保ち、主に諸外国への対策と戦争時には大軍を率いて文字通り国を背負っている


王城や王宮、つまり王族の居る場で何かしらの非常事態が起きた場合、真っ先に連絡がいくのがアーバンドレイク家、そしてエーベルシュタイン家、最後にネルマンディー家だ。これは家のある場所が関係しており王都に屋敷を構えるアーバンドレイク家が一番早く連絡が取れる



「承知しました、そろそろ第一段階に移ります」



「頼んだぞ」



▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢



時同じくして玉座の間ではアトランティス国王と近衛騎士団長が王太子と共にガリウスとの謁見について振り返っていた



「我は間違っていたのか?」



「陛下…………いや父上。父上は息子というだけで判断能力が著しく低下していらっしゃる!」



「だけだと? 息子は息子だ! ………しかし我とて甘いのは自覚しているつもりだ」



「お言葉ですが陛下、そして王太子殿下、事実としこの城に正体不明の人間が”六名”出入りしている事は確認済みです………今直ぐにでも捕縛命令を!」



近衛騎士団長の報告はついさっき判明した事で国王と王太子はこの事実を知らない


王太子はそのまま六名の正体不明人物の名前が書かれた紙を二人の前に出す



「----フロイド、これがどうかしたのか?」



「この資料の家名を全て総務大臣に確認した所、五つが既に没落、もう一つが存在しない家名でした」



存在しない家名と聞いて王太子がその家名が書かれた紙を手に取る



「此奴だけ何故存在しない家名を選んだんだ……?」

「この五人と一人は別行動か………」



「そうでしょうね、闇ギルドからの情報を真に受けるとするならばガリウス殿下かミレイア第二王妃の手の者で間違いないでしょう……しかしこの五人と一人の主人がそれぞれ違う場合はまた別の事を警戒しなければなりませんね」



近衛騎士団長がそう締めくくると、部屋の外で待機していた騎士を呼び国王の前に立たせる。国王は目の前の騎士に公爵三家に向けての救援要請を出すように王命を出す



「ガリウスに消えた冒険者、それに聖騎士殺しか………問題点は多いな」



近衛騎士団長はゲイボルグを掴み王太子と国王は剣を腰に差す


近衛騎士団長の合図と共に玉座の間に十数人の近衛騎士が入ってくる



「陛下と王太子殿下を王宮まで御守りしろ、目立つなよ」



「「「はっ!」」」



近衛騎士達が国王と王太子を誘導しそのまま玉座の間を出て行こうとする


近衛騎士団長はその場から動かず二人に付いて行く素振りを見せない



「フロイドは来ないのか?」



「えぇ、敵を殲滅後其方に向かいます………予想より遥かに激しい戦いになるでしょうから」



そうかと一言残して国王と王太子は玉座の間から出ていく、玉座の間に残った近衛騎士団長はもう一人残った近衛騎士に正体不明人物の捕縛を命じる


近衛騎士団長に先程までの明るさは無く、ただ冷徹に捕縛を命じる姿は正に他国から恐れられてきたフロイド=セーズ=トランツェルそのものだ

次回、アルス刺される

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