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THE BLACK KNIGHT  作者: じゃみるぽん
三章・忍び寄る神の手
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【3章・国の均衡】5

皆さんはGOTHAM見た事ありますでしょうか?バットマンの誕生の前日譚みたいなやつなんですけど




面白いですよね





因みに私はビクター・ザーズが好きです

虚無の大森林〜遺跡〜



王太子達一行は遺跡の探索が終わった事で王都に帰還しようと準備を進めていた


遺跡の内部にはちらほら灯りが見られ、外の木々も邪魔になるような大木は切り倒されている



「王太子殿下、そろそろ森を出ましょう。ガリウス殿下が先に王都に着いてしまいます」



「あぁ、分かった。フロイドを呼んでこい帰還する」



一人の騎士が王太子の命令を受け馬を走らせる。二ーヴル王太子の周辺では騎士が忙しなく動いており、当然一人一人の顔を確認している暇は無い。騎士に命令を出した後、二ーヴル王太子は近くの椅子に腰掛ける。本来こういった場に王太子勿論貴族すら居ることがおかしいのだが二ーヴル王太子自身特に気にしていない様子だ



「-----二ーヴル=ヴァン=アトランティス殿、初めまして……かな?」



王太子が座る長椅子の隣に黒いシャツに黒いジャケットを羽織った短髪の男が座る



「ん?……誰だ?」



「おっと、失礼。私は闇ギルドに所属しております”骸”と申します。宜しく」



そう言って骸は隣に座る二ーヴル王太子に手を差し出すが王太子は握り返したりはしない



「----闇ギルドが俺に何の用だ?」



「実はな、あんたの弟さんが良くない事を企ててるのは…………………「非常に認めたくない事だが知っている」………だよな、ボスはあんたが死ぬのを望んでいない」



骸は口角を上げて言う、笑顔を演出している様だが目が笑っていない



「はぁ……俺は遺跡調査で疲れてるんだ、そのボスの名前を言ってくれ、俺が直接話を聞きに行くよ」



「ハハハ、騙されないぞ。ボスは既に私にあんたの護衛につけと直接命じているんだ。聞きに行くまでも無い」



王太子の探りも特に意味をなさないまま時間だけが過ぎていく、数分経ち近衛騎士団長が王太子の所に到着するが口を挟んだり、会話に入ったりする事も無く淡々と出立の準備を進めていく



帰還する準備が完全に整った一行は馬車や馬で列をなし出立する



「王太子殿下、闇ギルドの輩を同じ馬車に乗せるのは国民の信頼を無下にしているのと等しい行為なのでは?」



「ガリウスが何かを企んでいるのは事実だ、オニキスという半ば隔離されている環境であいつがどんな戦力を蓄えているのか不明な現状では万が一を考えなければ………な」



馬車の中ではゲイボルグを床に突き立て問い掛ける近衛騎士団長と実の弟が良からぬ事を考えているのを知っていながら情が邪魔をしていて複雑な気持ちなのか先程から擁護する訳でもなく敵視する訳でもない当たり障りのない発言を続ける二ーヴル王太子



護衛であるはずの骸は何を考えているのか居眠りをしている



出立して数時間経った頃、地面が揺れる程の轟音が鳴り響き馬車の中の三人は目を覚ます



「何事だっ!?」



「どうやら少し離れた前方の馬車が爆発したようですね」



「ば、爆発!?」



アトランティス王国内で爆発魔法は現在確認されていない、この爆発は火薬を用いた一般的な爆弾によるものだろうか



「私が様子を見てきます、近衛騎士団長は王太子殿下と馬車に残ってて下さい」



骸は黒いレザーグローブを付け直しながら外へ出ていく、外では爆発による混乱と盗賊と交戦する複数の騎士達がいた



盗賊の目的は人探しなのか爆発で横転した馬車などを数人がかりで物色している




(さぁぁて、君達は何処の貴族に唆されたのかな……)



ジャッケットの内側に手を入れ、ホルスターから銃を利き手で引き抜く。一人の盗賊が骸に気づき体を向け走り出そうとしたその瞬間一発の銃声が響く



骸目掛けて走り出すはずだった盗賊の一歩目は地面を踏みしめる事無く、空薬莢の落ちる音と共に膝から崩れ落ちる



骸は魔法銃ではなく、シルバー基調の自動拳銃を使う。怒声が飛び交い剣戟音が度々聴こえるこの場でも自動拳銃の銃声はとても目立つ



急な銃声音に盗賊も然り騎士までもが振り向く



「私に構うな……続けろ」



馬車を漁る盗賊、騎士と剣を合わせる盗賊、状況を把握出来ずに突っ立っている盗賊達を片っ端から撃ち抜く



リロードを挟むが引き金から指を離した瞬間に盗賊の放った風魔法の『風弾』が骸を襲い、手から銃が離れ地面に落ちる



骸が銃を落とし両手が空いたのを一番近くに居た盗賊が好機と言わんばかりの表情で抜き身の剣を握り締め距離を詰める



骸は突き出された剣をいなし、肘で顔面を殴り盗賊の膝を横から蹴り関節をへし折る



「ギャァ”ァァ”ァ………き、貴様ァ”ァ”ァ”」



盗賊の張り裂ける様な叫び声は周囲を沈黙させるのには十分な効力を持つ




蹲る盗賊にゆっくり近づき先程とは違う方の手でもう一丁銃を抜く



「煩いな、銃二丁が最近の流行りさ」



骸は膝を折り盗賊と同じ目線に腰を落として銃を盗賊の顎の下から突き立てる



バァン



「お前ら盗賊のボスは何処だっ!!話がある!!」





「俺だ、俺がこの一味を取り仕切っているミザだ」



「ミザ、宜しく。私は闇ギルドの骸だ」



「闇ギルド………………なるほどな、だから躊躇いも無く」



「あぁ、どうせミザ…お前も相当上の貴族に雇われた身だろ?貴族が絡むと流石に近衛騎士団長も自由に動けないからな………よく考えられてるよ」



骸は落とした銃を拾いに行きながら言う。そして自動拳銃のスライドを引き薬室内の弾を抜きその弾をミザに手渡す



「本来この弾はお前を撃ち抜くはずだった物だ、お前らを雇った貴族を言え………そうすれば見逃してやる」



「------ミレイア=ヴァン=アトランティス第二王妃様だ」



「あーあ、親子絡みかぁ………これは簡単には手を出せないな」



ミレイア=ヴァン=アトランティス、アトランティス王国第二王妃であり、ガリウス第二王子の実の母である。同じくガーネット第三王女の実の母でもあり、ガリウスとガーネットは同じ腹という意味でも兄弟である



骸はホルスターに銃をしまい王太子と近衛騎士団長が乗る馬車に向かい何事も無かったかのように乗り込む



「おい、骸と言ったな。”終わった”のか?」



「えぇ」



骸が乗り込むと同時に馬車が動き出す。骸は盗賊のリーダーと取引をした事を明かし背後に第二王妃がいる事を告げる。王太子は一瞬目を見開いて頭を抱えて溜息を漏らす、近衛騎士団長はただ頷くのみ



「あと少しで王都に着くが骸はそれからどうするんだ?闇ギルドの人間を王城に入れる事は出来ないぞ」



「王都のギルド本部に戻るさ、でもあんたの護衛を降りた訳では無いぞ。王都に戻ったら近衛騎士団長も国王の護衛に戻るんだろ?いつ命を狙われるか分からないからな」



「確かに王都に着けば王太子殿下と離れる事になるが”距離が離れた”だけで”手が届かない”訳では無い」



「流石ゲイボルグの保有者だな、追いかけられないようにしないとな、死に様が串刺しなんて気持ち悪過ぎる」



骸は笑いながらそう言った。王都への到着は数分後馬車の外からの歓声で分かる



王城に戻って来た王太子と近衛騎士団長は城内を歩くカルセインを見つけ、兄弟、そして師弟関係ならではの談笑に浸る



カルセインとの会話とは裏腹に二人が帰還した事で城内が緊迫した雰囲気に包まれ、メイドから城内を歩く貴族までもが何やら緊張した面持ちで二人の横を通り過ぎて行く

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