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THE BLACK KNIGHT  作者: じゃみるぽん
三章・忍び寄る神の手
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【3章・国の均衡】4

アルスは『空間移動』で学園に戻り、セレスティーナと待ち合わせる



少々予定外の事が起こったが待ち合わせの時間に支障はきたしていない



「おはようアルス、何か久し振りな気がするわ」



「ハハハ、大袈裟だな〜。聖騎士の事は心配してくれないの?」



「そこは信頼よ。アルスは負けないと思っていたし、あの聖騎士は……死にたがっているような目をしていたわ」



セレスティーナの言葉には確かにアルス自身思う所がある


聖騎士マスティマは蘇ったは良いものの前回より覇気がなかった。それにアルスを確実に殺すなら無防備な時を狙うはずなのだ、決闘という形での勝負は公平すぎた



「マスティマは最期に強すぎる力は身を滅ぼすと言っていた。彼は恐らく自分よりもっと強い人物に会って感化されたんだ、全く……エストは恐ろしいよ」



Sクラスまでの長い道のりを歩き、アルスとセレスティーナはそれぞれの席に着く



アリティア先生は授業の始まりと同時に問題用紙と解答用紙を配る



「早速だが、テストを始めるぞぉー。全て授業でやった範囲だ、頑張れよー」



アルスは開始と共に問題用紙に目を落とす。一問目は魔法の知識問題でアルスはスラスラ解き進める。二問目、三問目も同じ、そして四問目は歴史に変わったが、これも迷わず進める事が出来る


少し迷い五問目に時間をかけるが、全て時間内に終わらせる



「よーし、終わりだペンを置け〜」



先生の合図でテストが終わる、皆満足な出来の様で不安な表情は一切見られない



「今日はテストだけだから帰っていいぞぉー。アルスは少し残ってくれ」



アルスはアルティア先生に呼ばれて一人教室に残る



「何でしょう?先生」



「先日、王立魔法学園にアトランティス国王陛下から王命が下ったんだが……」



「---内容は?」



アルスは前のめりになりそうな体を抑えて静かに聞く



「”王国の事情により、王立魔法学園の上級院・下級院の制度を廃止して両院を合併する”との事だ」



「-------それを俺に教えるというのは、陛下から他に何か伝言を預かっているのでは?」



「よく分かったな、勿論この事自体はクラスの皆に言うつもりだ、だがこの伝言だけは他の皆の前では言えないんだ…………」



数分躊躇い、決心した様にアリティア先生はアルスを見据える



アリティア先生の表情は憐れむ様な、でもアルス自身は不快にならない表情だ


「”合併により学園内の治安が悪化し、ガーネット、カルセインに危害が及ぶ場合、敵性分子の制圧、排除を命じ、国王の名において安全と報酬を保証する”………………………だ………すまないアルス……」



両院の合併は何の意味があるのだろうか、制圧と排除を命じられるのは置いといてもどうしても合併というのが引っかかるアルス


安全と報酬が国王の名で保証されているというのは喜ぶべきか、それとも何かを企んでいる国王陛下を警戒するべきなのか今はまだ分からない



「アリティア先生が謝らないで下さい、俺はガーネットの護衛が辛いと思った事は無いし、自分の立場を国が保証してくれているなんて寧ろ喜ぶ事じゃないですか」



「しかし………おかしいとは思わないか?いくら何でも学生の背負える重荷では無いぞ……?」



「俺は貴族を理由に甘えたりはしませんよ、それに十歳の時から既におかしい人生を歩んでましたし、それに並ぶ重荷も背負ってます」



▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢


〜王都〜



アリティア先生の話の後、セレスティーナと王都の喫茶店で紅茶を飲む、学生は貴族も平民も服装が統一されている為、喫茶店や商店で変に気を遣われないのがとても良い



セレスティーナには王命の話をしたが特に慌てふためく事も無く、階級の違いを思い知らされた



(公爵の娘恐るべし……この程度の王命は日常的なんだろうなぁ………)



「アリティア先生は大変ね、自分の生徒が王から殺人を要求されるなんて教師としての倫理観がおかしくなるんじゃないかしら」



アトランティス王国は貴族が多い故、貴族間での争いも比例して増えている。しょうもない争いから泥沼で血みどろの争いまで様々なものがある


今回はアルスが巻き込まれたが、以前にもこの様な王命はあっただろう、たまたまなのだ


今回アルスが選ばれただけでたまたまなんだとアルスは歴史を学び思う


歴史書などはその当時の王の政策を美化し、正当化する傾向があり、後世には美談ばかりが知れ渡る。現在のアトランティス国王は今までの”素晴らしい”政策で増えたアトランティス貴族を減らそうと考えており、アルスに命じた制圧と排除はその一歩だと二人は考える



「まぁ、気は楽になるよね」



「そう………ね、権力で塗りつぶす時代はいつか終わるのかもね」



「そうだね、何年後になるのかなー。その時は間違いなく内乱が起こるだろうね〜」



二人の席の前後に位置する客は話の内容の過激さに終始苦笑いを浮かべながら震える手で食事をしていた



軽い食事と休憩を済ませたアルスとセレスティーナ店を出て、少し歩いた所の大きい商会での久し振りの買い物を楽しんでいた



「「「いらっしゃいませー」」」



店内には色んな物が売られていて魔石を使った道具のコーナーは人気なのか所々売り切れている


アルスとセレスティーナはそれぞれ欲しい物を購入して学園の寮まで配送してもらう。店側から元気な別れの挨拶を受け二人は外に出るが少し歩いたところでアルスは歩みを止める



「ねぇ……セレス。俺が婚約者って事を伝えてない人っている?」



「多分いないけど?」



「見覚えある人がつけてきてるんだけど?あの滅龍騎士団の副団長さんが」



「え、ミストレイが!?何処何処?」



セレスティーナは首を四方八方に振りミストレイ=バージェスを探すが勿論目に見える範囲には居ない



「あの、時計塔見える?」



「えぇ、何とか」



アルスが指さすのは王都の中心にある時計塔。二人の位置からは時刻がギリギリ見える程度の距離でセレスティーナにとって人なんて到底見えない



「あの距離を保ってついてきてるんだよ、彼女。どうする?」



「会いに行きましょう!挨拶も兼ねて♪」



アルスは了解と言わんばかりに二人の前の空間を歪ませた後、手を繋ぎ入って行く。周りの人は急に人が消えた事に驚き、腰を抜かす人も居た
















「ミストレイっ!」



ミストレイは突然背後から聞こえた声に驚き、剣を後ろに振り抜く



バリィン



アルスの結界の崩壊と共にミストレイは声の主がよく聞き慣れたセレスティーナと気付き、ハッとした表情で姿勢を正す



「すいませんっ、お嬢様!急に現れたもので敵襲かと思いましたっ…」



「良いのよミストレイ、謝るならアルスに謝って?自慢の結界が破壊されて相当ショックを受けているわ」



「これはっ!申し訳ないエルロランテ殿、私の剣は特殊な力を持つ故、触れる物を崩壊させてしまうんだ……」



実際アルスは見た事があり、性質は予め知っていたのだが驚く様子を演出する



「凄いですね……それに私の名前はアルスでいいですよ」



「では、アルス殿。改めてすまなかった、貴殿の為人がどうしても気になり後をつけた。実力は申し分ないようで安心したよ」



ミストレイは剣をしまい握手をする様にアルスに手を差し出す、アルスはそれに応えてミストレイと握手を交わす



「ねぇ、ミストレイ。今日ついてきたのはこれだけじゃないんでしょ?」



「はい、お嬢様。ご存知の通り、我等滅龍騎士団は20名の団員を冒険者二名の襲撃で失い、当初予定されていたガリウス第二王子の護衛任務を降りることになったのですが、先日その冒険者二名がガリウス第二王子の先遣隊員として入国したことを確認しました」



「……えっ、それ…」



滅龍騎士団を襲撃したエストのSランク冒険者マスキュラーはどうやらガリウス第二王子と何らかの繋がりがあるようだ。エストの冒険者が何故オニキスに居るガリウス第二王子の先遣隊としてアトランティスに訪れるのだろうか



目的がはっきりしない



何が目的なのだろうかアルスは頭を必死に回転させて考察する



「----これはあくまでもザナトス団長が言っていた事ですが、今回の帰国に伴いガリウス第二王子は本気で王位を狙いに来ている、謀反も考えられると言っておりました」



「ガリウス殿下が謀反ですか……滅龍騎士団が傍に居ると行動を起こしにくいと考えての犯行だったのでしょうか……」



ミストレイが滅龍騎士団団長の意見を出すとセレスティーナも納得した様に俯いて考え込む



しかしアルスはどうしてもエストの冒険者がわざわざガリウス第二王子の為になるような事をしたのかが腑に落ちない、最初からエストの法王と結託していたのか何らかの情報網で計画を知っていたのか。過程はどうであれ目的が読めない



「そこで私の本来の目的ですが、滅龍騎士団長ザナトスからアルス殿への伝言を申し上げます……”冒険者二人は頼んだ”………以上です」



「「……え?」」



「お、俺は学園がありますし、セレスの傍を離れるなんて出来ません」



混乱していて下手な言い訳をするアルス



「あ………追加で伝言を預かっているので読みますね、”我等は人員が少なく冒険者二人まで手に負えない。もし断るようならばお嬢様との結婚は出来ないと思え”………………との事です」



騎士団長の決めつけるような伝言に少しイラつきを覚える



「-----それは少し調子がよすぎでは?其方の騎士団長が認めなくてもアーバンドレイク公は既に認めて下さっているっ!……俺が従う義理は無い」



セレスティーナは急に大きい声を出したアルスを心配しているのか、アルスの袖を小さく掴む



「無礼なのは承知しております……しかs「何日後ですか?」……え?」



アルスはこれまで自分の意思関係無く人の下につき無理矢理働く事は無かった、ガーネットの護衛も興味で、聖騎士と戦ったのもセレスティーナやガーネットなど自分を含めた環境に悪影響を及ぼすと考えたからというのが理由の一つに挙げられる



絶対王政のこの時代に永遠と指図を受けずに生活するのは不可能なはずなのだが、年々その王政も傾き始めているとアルス自身思う



「受けますよ、その仕事。何日後にどこに向かえば?」



「あ、ありがとう………感謝するアルス殿、日時は……”何かあるとするならば一週間と二日後に予定されている式典の途中だろう”という事だが大丈夫でしょうか?」



アルスは頷き冒険者二人の装備と容姿、武器を思い出す



(変装どうしようかな………出来れば悪者って感じがいいな……)



金と銀の煌々とした鎧の敵は決まって黒の鎧を身に付けていると相場が決まっている



この時、実はミストレイが心配の声を掛けてくれているのだが、アルスは鎧の調達に懐かしいあの武器屋にお願いしようと考えていて、素材からデザインまで妄想して完全に楽しんでいる



「どうしたの?アルスそんなにニヤニヤして」



「ん?どんな変装がいいかなって」

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