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THE BLACK KNIGHT  作者: じゃみるぽん
二章・学園
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【幕間・バラムトレス】

そう言えば、お前居たな……みたいな?

「バラムトレス家、当主ギャスパー=トロワ=バラムトレスだ。ウィンスターズ家の処罰について尋ねたい事がある」



「はっ!」



人と馬車以外に一体何が通るのかと思う程の大きい門は門番の騎士二人がかりでないと開ける事が出来ない



ギャスパーは徒歩で門を通り少し早歩きで目的の館に入っていく



「今日は面会の予定は入れていないので何事かと思ったら、バラムトレス子爵でしたか。一体今日はどんな要件で?」



黒髪のふくよかな眼鏡をかけた男が出迎える



「お出迎え感謝する、レガイレ伯爵。少し尋ねたいことが…」



「-----では私の執務室へ、内容はある程度察しているつもりですが念の為外部に聞かれると後々面倒なのでね」



「感謝する」




▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢



レガイレという男はこの館の持ち主であり国の法務大臣だ、ギャスパーとは旧知の仲で身分の差はあれどなかなかフランクに接する事が出来る数少なく、そして稀な貴族である



「レガイレ伯爵、まずは………何故ウィンスターズ家の当主どころか当事者のヘルムント=シス=ウィンスターズまで失踪しているのか教えて頂きたい」



「やはり、それか………話すと長くなるのだが、簡潔に話すと”消えていた”んだ」



「消えていた?長くなっても構わない、詳しく教えて欲しい」



少し前、ウィンスターズ家はバラムトレス家の独自の調査により闇ギルドとの癒着や違法奴隷の売買など数々の不正が見つかり、国の調査が行われようとしていた



しかし、王国騎士がウィンスターズ家を訪れた際にはウィンスターズ家はもぬけの殻状態で人が一人として居なかった



王国騎士は逃亡を図ったとして追跡する為ウィンスターズ家の探索を行いアトランティス王国を隈無く捜索した



調査の途中でウィンスターズ家に関わる全ての人が一斉にこの時期に居なくなっていることに気付いた王国騎士はウィンスターズ家が雇ったフォースター家のガゼフ=フォースターを捜索



騎士団に所属していたガゼフ=フォースターも連絡がつかない事からこの調査は一旦打ち切りとなったのだった



「バラムトレス家の報告が間違っていた、なんて考えてはいないがこの失踪は貴族が絡んでいると思う。今のアトランティス王国は貴族の数が飽和状態でね、しらみつぶしに探すわけにもいかない。今の国王陛下は貴族の数をどうにかするとは言っていたが国でさえ把握出来ていない貴族をどうにかするのは手段が限られてくるだろ?」




「これ以上探すのは難しいという訳か……」




「そうだ、ウィンスターズ家が何処かの家に匿われているとしても表舞台に姿を現すことはもうないだろう、唯一気になるのは家人も一人残らず消えていた事だが………結論は出ないだろう」




突然”消えた”ウィンスターズ一家とその家人達、関わった者が全て失踪しているのは怪しいにも程がある



数日後、ジョン=トロワ=バラムトレスとディーン=バラムトレスは消えたウィンスターズ家を調査する為、ウィンスターズ家の内部を漁っていた



「おい、ディーン。子持ちのお前がわざわざここに来る必要は無いんだぞ」



「名前からトロワが消えても俺はバラムトレス家の一員だ。それにしても嫡子のお前は早く結婚するべきだ、俺らもそこまで若くない」



「酒と煙草にまみれている俺達なんて誰が欲しがるかよ」



「おいおい、俺を巻き込むな。妻が悲しむ……いや俺が悲しむのか」




二人は20代中盤に差し掛かっており、ディーンは数年前に結婚して子供二人に恵まれている



ディーンは次男でバラムトレス家を継ぐことはよっぽどの事が無い限り有り得ない、本人達の間に争いもないも無い為、自然と長男で嫡子のジョンに引き継がれる予定だ



バラムトレスはドッセルというアトランティスの端にある都市の一貴族でしか無いが影響力は周辺領主を大きく上回る



しかし、バラムトレスの前の名がエルロランテという事を知る者は少なくアルス達にその影響が出てくる事はないのだが




「ディーン、一通り探し回った訳だが……居たよな?」



「あぁ、上手く隠しているがこの食器の配置が動いた痕跡がある」



「そうだな、まずこの配置は見たことが無い…ここに居た者は貴族ではないな、他国の文化という可能性も捨てきれないが……少なくともアトランティス王国の者の仕業ではない」



「収穫あったな、取り敢えず……帰るぞ」



「あぁ」



▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢



「なるほど……食器の配置ですか、貴族しか気にしないというのもありますが他国でも気にしない貴族は居ないと聞きます、まず貴族の線は消えますね……法務大臣として陛下にこの事を進言しておきます」




「感謝します、レガイレ伯爵」




「良いんだ、バラムトレス家はアトランティスに必要な家だ、因みにこの数日の内に五千もの騎士を集めて虚無の大森林へ向かう計画があるのだが、バラムトレス家からは騎士を出してくれないのかい?」



「初耳ですね、もしや父上が何か断りでもしたのですか?」



「実はそうなんだよ、ギャスパー曰く、虚無の大森林は生半可な気持ちで入ると死ぬと言ってね」



「-------そうですか、父上がそこまで言うのは叔父のエルロランテ伯爵の事が大きいでしょうね」



「エルロランテ伯爵か……確か将軍でもあったよな?」



「はい、エルロランテ伯爵は過去にストロヴァルス帝国との戦争で武勲を挙げ将軍の位を陛下からの恩賜で得ています」



「エルロランテ将軍の事は知っているぞ、気になるのは息子だ、アルス=シス=エルロランテだ。奴が将校の候補なのは知らないだろう?」



「「なっ!?」」



「学生の身でありながらガーネット第三王女の護衛を務める逸材なのは確かなんだが……何かが怪しい」



「そ、そうですね。アルス自体私達は面識がありませんが実力が桁違いなのは保証出来ますよ」



「例えば?」



「ハハハハ、レガイレ伯爵もご冗談を、私達は身内を売るような事はしませんよ」



「すまない、すまない」



ジョンとディーンとアルスの邂逅はまだ先になる、しかし次々と出てくる王国の騒動に引き付けられて再開なんて事もあるかもしれない



レガイレ伯爵が言ったアルスの将校候補と言うのは単なるカマかけであり、真実では無い



それ程アルスは国の上層部に睨まれているのだ



学園では生徒をボコボコにしたり、盗賊の退治など目立つ事は一切せず大人しくガーネットの護衛を果たしているアルスだが彼を取り巻く環境が不自然にも大きい



同学年の護衛なんて言葉だけ聞いたらただのストーカーにも聴こえる



果たしてこれがアルスの気質なのか、誰かの仕業なのか



▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢



エスト神聖王国〜大聖堂〜



全身が白と金で塗られた鎧を身に付け後ろに数人の騎士を連れて歩く姿はエストの聖騎士のように見えるが西条拓斗は聖騎士では無い



一般的な騎士より強いわけでも気品がある訳でもない



しかし豪華な鎧を身に付けているのはスキル【消滅】があるから、ただそれだけだ



「お疲れ〜サイジョウ、法王様が待ってるよ〜」



宙に浮かぶ白いモヤは西条がこの世界に転移してから絡んできた謎の人型のモヤだ



「アトランティス王国の貴族は皆あんな奴隷の扱いをしているのか?」



「そ〜だよー、アトランティス王国には違法奴隷も多く出回っているんだ今日”殺した”貴族も違法奴隷でいっぱい稼いでいたようだよ〜」



「……っ…気持ち悪い」



奴隷に耐性が無いのか、それとも人を殺す事に耐性が無いのかは表情では判断出来ないがアトランティス王国を憎んでいる事は分かる



「ご苦労だったサイジョウよ、アトランティスの人間はどうだった?」



「正直言って不快な人達でした、しかし自分はまだまだこの世界を知らない、いろいろ勉強する事が多いです」



「ふむ、まぁ…いいだろう。ウルスニドラ様に感謝を忘れるな、あの方はいつでもお前を守ってくれる」



西条拓斗が部屋から去り、部屋には法王と人型の白いモヤだけが残る



「闇ギルドに依頼を」



「どのような?」



「虚無の大森林の遺跡にアトランティス王国の王太子、二ーヴル=ヴァン=アトランティスが遠征に向かう為その一行の殺害を」



「聖騎士は出さないのですか?」



「今、マスティマはアルスという学生を殺す事しか頭に無い、マスティマは感情の自制が出来るようになってから世に出す。王太子の遠征は滅多にないチャンスだ。少しでもこの世界に疑問を抱く者は片っ端から滅ぼしていく」

あと少しで雷電将軍来ますね!

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