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THE BLACK KNIGHT  作者: じゃみるぽん
二章・学園
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【2章・王立魔法学園---武闘大会編】22

「次は、セレスだね。セレスは精霊魔法を授かって一年も経ってないからそこまで無理する必要は無いよ、副将というのを重く受け止める必要も無いからね………あと」




アルスはセレスティーナに近寄り耳元で周りに聞こえないように言う



「もし何か聞かれても精霊と契約している事は言わない方がいいよ」




「わ、分かったわ。じゃあ……皆行ってくるね」




セレスティーナが舞台に上がったはいいものの中々試合が始まらない、アルス達に手を振りながら舞台に上がりかれこれ20分は経過していて対戦相手も既にいるにも関わらず審判が一向に現れない



(なんだろう……なんだか嫌な予感がするな)




『お待たせ致しました、担当するはずの審判と現在連絡が取れなくなっており、代わりに私が審判を務めさせていただぎます』



新しい審判はアルスの鑑定では特に問題は無いように見えるがその前にどうしても前の審判が気になる



(------『空間知覚』---お、居た『空間移動』)



アルスは空間知覚で決勝戦という大事な試合があるのにも関わらず”何故か”闘技場の外にコソコソしている数人の人影を知覚して空間移動で直ぐ近くの場所に移動する



(あれは………冒険者かな?)




アルスの目の先にはガーネットまでの試合を担当していた審判を荷車に乗せている三人組の女冒険者が居た



「リーダー、誰かいる」



(へぇ、気付くんだ)



「何者だっ!姿を見せろ場合によっては我等殺害も厭わないぞ!!」



アルスは渋々三人の前に出る



「殺すぞと言われて出てくる人はいないと思うぞ」




「しかしお前は出てきた、その服学生か?」




「あぁ、出て来ないと殺すんだろ?一体誰なんだ?そこの奴は」




一見隠れているのがバレてノコノコ出てきた学生と冒険者達だがアルスは三人の鑑定をして背後関係を探ろうとしている所だ



°°°°°°°°°°

《クロー》


[スキル]

【槍術 7】

【上・身体強化】

【弱点看破】

【水魔法 3】


°°°°°°°°°°


°°°°°°°°°°

《ラケス》


[スキル]

【槍術 7】

【上・身体強化】

【直感】


°°°°°°°°°°


°°°°°°°°°°

《アトロス》


[スキル]

【槍術 7】

【上・身体強化】

【風魔法 3】


°°°°°°°°°°



この結果でアルスは先程ラケスという女性に見つかった事が分かりラケスにより一層警戒する



「そこの奴とはどの奴を言っているのか分からないが、どうしてそこまで私たちを警戒する?」



リーダーらしきクローという女性は警戒している事に気付いたようだ



(鋭いな……)



「警戒ですか……まぁ僕から見たら貴方達が殺人を犯した犯罪者のように見えてしまって」




「ほぅ……まぁいい、今直ぐここから去れ、これ以上この場に居座ると色々まずい事になるぞ」




「-------そうですね、間違いないです。お邪魔しました」



アルスはクローの忠告に間髪入れずに承諾してこの場から歩いて去る



三人組の冒険者はアルスの予想外の行動に硬直してしまう



アルスは三人の視界から見えなくなる場所まで来ると空間移動で元居た場所に帰る




「いいのか?リーダー、あの餓鬼をそのままにしておいて」



「構わない、我等は護衛の任務に来たんだ、深追いして仕事を増やす訳にも行かない」



「私も直感が追うなって言ってる、あの子供…正直怖い」



「ラケスがそこまで言うなら追わないけど……」





▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢




闘技場の舞台端に戻りセレスティーナの相手生徒の名前を聴きながら三人の冒険者について色々調べたい欲求が出て来てグロウノスをこき使おうと考えていたが根本的な問題に気付く



(どうやってグロウノスと連絡とるんだ………?)



闇ギルドの所在も分からないアルスは気まぐれでグロウノスと接触出来ているのが現状でアルスの方からグロウノスに直接逢いに行く事は無い



(まだ、ここに居るかな………あとで叫んで呼んでみようかな……)



そう考えている間にセレスティーナとシロッコ=セーズ=ヘルブリンディという学園長の息子との試合が始まる



シロッコはどうやら氷魔法使いのようで手に持つ剣には霜が付いている



アルスの鑑定は防がれ詳しく見る事は出来ないが氷魔法のレベルがとても高いのだろう



神に手が届くと言われるレベル10のスキルは今の所見た事は無いが雷帝が恐らくそうだろう、舞台上に居るシロッコがレベル10という可能性は低いがレベル10だとしたら面白い試合になりそうだ



▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢



「宜しくお願いします、シロッコさん」



「はい、宜しくお願いします。個人的に精霊魔法士と戦うのは初めてで楽しみです」



『副将戦、初めっ!!!』



セレスティーナとシロッコは開始と同時に走り出す。セレスティーナから発せられる風とシロッコから発せられる冷気がぶつかり合い観客席が凍えるように寒くなる



セレスティーナとシロッコは凄絶な剣戟を中央で繰り広げ、氷塊や突風が舞台上を暴れ回るように舞う



「《鉄壁なる風の鎧》『風装衣(ふうそうい)』」



「『(あられ)吹雪』」



セレスティーナの詠唱で発動された魔法は風を纏い自分の体を守るという単純な魔法だが風の精霊魔法士が使う『風装衣』はアルスの『雷装衣』より強力であることは最近明らかになっている



『霰吹雪』は一粒一粒が拳より小さい氷の塊の吹雪で一粒一粒のダメージでは無く継続的なダメージが大きい



シロッコの霰吹雪はセレスティーナの風装衣によって無効化されていき、セレスティーナがシロッコの剣を吹き飛ばす



一瞬隙が生まれたシロッコだがセレスティーナが詰める前にセレスティーナは真横から突然現れた大きな豹に体当たりされ吹き飛ばされる



▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢



この豹が出て来た瞬間アルスの斜め後ろに座っていたグレイスが観客席から立ち上がり叫んだ



「あれは『氷白豹(アイスパンサー)』!!!私でもまだ詠唱しないと安定しないのにっ……」



「グレイス、『氷白豹』って凄い魔法なのか?」



「えぇ、元々数が少ない氷魔法士の中でもあの魔法で白豹に満足な動きを加えられる術士は稀なのよ」



「動き?」



「アルスも魔法を動かす事はあるでしょ?」



「あぁ、一応あるが……生き物の様には動かさないな……雷魔法にあのような魔法は無い」



「へぇー首席でも使えない魔法はあるのね」



「少しくらいはあるさ、それに使えないではなく存在しないんだ」



「どちらも変わらないわよ」



「いや、大分変わる」



「変わらない」



「変わる」



「ちょっと、グレイスさんもアルスもそれまでにして!グレイスさんあの豹についてもう少し教えて?」



アルスとグレイスの言い争いはガーネットによって鎮められるが元々言い争う程の事だろうか



「そうね……いまセレスティーナに体当たりした白い豹の動きは生き物のようでしょう?」



「あぁ」「えぇ」



「あそこまで精密に魔法を動かすのは相当な魔力量が必須だわ、私はまだ一直線に走らせるだけで精一杯なのよ……」



「それはそれは……」



「そこまでの魔法……セレスは大丈夫かしら?」



ガーネットはグレイスの説明を聞きセレスティーナが心配になっているが舞台上のセレスティーナは実際吹き飛ばされたが大して傷付いていないように見える



▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢



吹き飛ばされても無傷なのは風装衣のお陰だが受け身をとれているのはこの一年間の努力故だろう



回り込んでも長い尾で叩かれる



立て直したセレスティーナは風弾で白豹を怯ませ眉間に剣を突き立てる、白豹が生き物のように見えるためこの一連の動作も狩りのようにしか見えない



綺麗に砕け散った白豹に驚きを隠せないシロッコだが氷塊を飛ばしセレスティーナに攻撃しながら肉薄する



シロッコはどうやら剣の腕はそこまで高くないようでセレスティーナの力強い一太刀を肩に受けてしまう



魔法と武術は鍛錬において両立することが難しい、そのため魔法と剣術のどちらかは持っている才能で補う必要がある



精霊魔法を得たセレスティーナはその分剣術に時間を割いている、剣術も滅龍騎士特有の自分より大きい対象を得意とする剣術を少し取り入れているようで白豹を瞬殺したのも納得出来る



肩から流れる血液は数秒で凍る



シロッコは臆することなく魔法と剣で攻めたてる



セレスティーナの風装衣は剣を通さなければ魔法も砕く、まさに鉄壁であり、シロッコの顔に焦りが出てくる



セレスティーナの突風とシロッコの吹雪は勢いを増す



シロッコは次々と氷塊を落としてセレスティーナを攻撃するものの風弾で撃ち落とされる



シロッコは氷柱で自分とセレスティーナを空中に突き上げる。空中戦に持ち込むつもりらしいが、セレスティーナの風魔法は空中にも対応するようでシロッコの連撃で多少形勢逆転したが負けじと対抗している



「素晴らしいです……ここまで精霊魔法というのは差が生まれるものですか……」



「お褒めに預かり光栄ですが…個人的には剣の腕を評価していただきたいところです」



「そうですか……私に剣の腕を評価する事は出来ないです。うちのクラスには化け物が居るのでね……」



「やっぱり剣聖スキルというのはそこまで凄いのですか………やはりここで勝たなければっ」



シロッコの氷が蛇のように地面を這ってセレスティーナの足元を狙うが紙一重で躱され、距離を詰めたセレスティーナに左足で顔面を蹴られ横に数メートル吹き飛ぶ



受け身に成功して上手く立て直したシロッコは剣を手放し両手を前にかざし等身大はある氷塊をセレスティーナに向かって放つ



セレスティーナはその氷塊の正面に立ち剣を振り下ろす



魔法は使っていない普通の斬撃は氷塊を真っ二つにする。風装衣はとっくに切れており白龍の剣で行った事なのは確かだ



氷塊の断面に思わず息を飲む観客



舞台上の二人にも数秒の沈黙が流れる



沈黙を破ったのは降参の一声



シロッコ=セーズ=ヘルブリンディの小さな降参の呟きは沈黙の会場で審判にもはっきり聞こえた



『勝者っ、セレスティーナ=ディズヌフ=アーバンドレイク!!!』




一年生の武闘大会はアルスの出番が無いまま優勝を迎えた



勿論この結果に不服な者はいるが、Sクラスが優勝という事について不服な者は居ないだろう、何かとお騒がせなアルス=シス=エルロランテの実力を見ることが出来ない、戦うことが出来ない、魔法が見たいなどアルス個人に向けての不満だ



別にアルスか悪い訳でも無いが三勝したら勝ちのルール上、五番目に戦うアルスの出番は少ない



アルス自身、両親や専属メイドになるため修行中のヴァイオレットに自分の力を見せたい気持ちはある



しかし、神器持ちのアルスはアロンダイトを鞘から抜いた瞬間、この場のもう一人の神器持ちに勘付かれる可能性がある為、中々難しい面がある



(平和だ………)

いつもありがとうございます!

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