【2章・王立魔法学園---武闘大会編】21
最近、原神でやっと稲妻行けまして興奮が止まらないです笑
エリゴスとAクラス生徒の戦いは熾烈を極めていて水を纏うエリゴスの剣は相手生徒の『火弾』とぶつかり凄い量の水蒸気が発せられている
どうやらエリゴスはアトランティス王国の剣術に少し自己流の動きが加えられているようでストレイフの戦い方に比べ大分空中にいる時間が長いように感じる
水を纏うエリゴスの剣、恐らく水の魔法剣だろうか、先程から水魔法しか纏っていない、一本につき一つの魔法しか込める事は難しいのだろう
魔法銃は一発一発込められる魔法を変える事が出来ることはしっているが、剣や槍は厳しいのだろうか
エリゴスの剣は本来の剣の長さより水魔法により時折延ばされ相手生徒の意表をついている
相手生徒は火魔法の『火炎流』でエリゴスを襲うがエリゴスは直ぐに水魔法で壁を作り防いでいる
相手生徒は杖を武器としており常に距離をとる戦法のようだがエリゴスは数メートルをひとっ飛びで詰めて高速での剣戟を見せる
アルスはエリゴスの剣戟を平気で防ぐ相手生徒とその杖に驚くが、同時に今いるのが決勝戦の舞台という事を思い出し謎に納得する
ストレイフと同じようで同じでは無いエリゴスの剣術は一見体力の消費が激しく、短期決戦に向いた剣術に見えるが、かれこれ8分は試合をしていてるが動きに鈍りは見られない
しかも相手は所々詠唱火魔法を何度かエリゴスに直撃させていている
「エリゴスっ!!!」
Sクラスの皆が名前を叫んでいるが一方のエリゴスはそこまで危うい訳でもなく、冷静に有効的な一撃を常に狙っていた
(Aクラスはレベルが高いな……王国流剣術を完全に研究してきたような試合の運びに距離のとり方………強い……が、-----”師匠”の技には対応出来ていないっ!!!)
エリゴスは空中高く飛び、そのまま相手生徒に斬りかかる
相手生徒は上からの斬撃を防ぐ為杖を横にして防御の姿勢をとるが遅かった、横にした時にはエリゴスの剣に似た水で出来たような剣が二本横腹を左右から切り裂いていた
鮮血が舞うと同時に杖を持つ腕が緩んだ相手生徒の肩をエリゴスは本命の剣で切り裂く
エリゴスの最後の技は水魔法として教えられることは無い完全なエリゴスのオリジナルの技だろう、突然現れた二本の剣は予めオリジナル技の存在を知らなければ避けることの出来ない技だろう
見るからに重症の相手生徒は治療師の方々に運ばれていく惨状だけ見るととても歓声を上げることの出来ない状況だが会場は歓声が鳴り止まない
「お疲れ様、エリゴス凄い技だったよ」
「ありがとう、アルス。このまま行けば大将まで届きそうにないな」
アルスはエリゴスに労いの言葉をかけ、エリゴスが三勝の可能性を口にする
エリゴスの勝利も束の間、次鋒戦の開始が近付きガーネットが魔法の杖を持って舞台に上がっていく
「ガーネット頑張れよー」
「えぇ、勿論。セレスも見てなさい炎帝に教わった最強の精霊魔法を」
アルスはガーネットの戦闘を見た事がなく、今までただの護衛対象であり、王女としか見ていなかったが今日の試合でガーネットの見方は少し変わるのかもしれないと思った
杖を持つガーネットと相手生徒の大剣は舞台の端に居ても迫力の格差が大きく感じる
「王女殿下と対戦出来て光栄です………が、Sクラスを流れに乗らせる訳には行きません!」
「私もあまり戦う事自体は経験がないので対戦と呼べる物が出来るか不安です…………が、私も優勝の為、そして王家に属する物としては負けるなど断じてありません!」
『王立魔法学園、次鋒戦、初めっ!!!!』
「《精霊よ、我に炎の力を、永遠に燃え大地煮える滅却の炎》『炎熱地獄』」
ガーネットが詠唱を行うと同時に闘技場の舞台が割れ、割れた地面から溶岩が噴き出し闘技場の気温が一気に上がる
(これが………火の精霊魔法の力か……)
アルスは目の前の光景が信じられない
平らだった闘技場の舞台は完全に破壊され溶岩と炎が吹き出る形容するなら正に地獄といった状態になっており相手生徒は困惑を隠しきれていない
闘技場の観客も目の前の変わりように歓声どころか声も出ていない、気温かそれとも恐怖か、汗を流す者もいる。一部の貴族はこの状況を面白そうに眺めていてウルグもその中の一人だった
「ガーネット第三王女……凄まじいな、アルスの護衛など要らないだろうに……セバスだとこの状況をどう切抜ける?」
「そうですね……旦那様の様に体は頑丈ではありませんし……まずは魔法で地面を覆いの安全を確保した後、近接格闘に持ち込めれば何とかなるかと」
「なるほど……その手もあるな。魔法をメインに戦う魔法士が近接手段をあまり持たない事を利用した戦い方だな」
「こう考えるとアルス様は隙がないですね」
「----そうだな」
ウルグとセバスは目の前が火の海という状況にもかかわらず笑い合う
ガーネットの成す事、やる事に実の父が反応しない訳もなく、当然アトランティス国王は目の前の光景をとても喜んでいた
「フロイド、現炎帝とガーネットはどれ程の差がある?」
「正直、徐々に差は縮まっていると思われます。炎帝カルナは精霊と契約を交わしている事もあり差はまだあるものの数年後には実力が拮抗するという事も有り得ます」
「誠に見事だ」
国王とフロイドの会話でフロイド側に多少のお世辞が含まれているかと言われたら実はあるのかもしれないが、精霊と契約した者とそうでは無い精霊魔法士の差は測りきれない物であり断言できないのが現状だ
「これは私の精霊魔法によって作り出した舞台よ、私以外は長くは持たないわ、降参するのが身のためよ」
「舐めるなぁぁぁぁ」
ガーネットの挑発に引っかかった相手生徒は大剣を振りかざし割れて突出した地面部分を上手く飛び移りながらガーネットに迫る
「無駄よ、火に包まれたこの場で火の魔法師の有利さを考えるべきね----『双炎』」
地面から飛び出した二つの炎の柱は空中にいる相手生徒に刺さるように当たる、『双炎』の炎の柱は物理的な殺傷能力は無く身体に穴が空いたりはしないが高温による火傷で腕が使えなくなることは多々ある
今回はガーネットが威力を抑えたのか火傷はそこまで見られないが舞台の熱と双炎の熱で相手生徒の大剣は溶解してとても剣とは言い難い形状へと変化していた
「…クソがぁっ……」
大剣が熱されたのか相手生徒の手から大剣が落とされる
『勝者、ガーネット=ヴァン=アトランティス!!!』
審判が相手生徒が戦う事の出来ない状態になったのを確認して勝敗を告げる
治療師に運ばれていく相手生徒を見ると後遺症が残ったりはしなさそうでアルスは安心する
(威力落としたのかな……)
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「お疲れ〜、凄かったわガーネット!!」
「見ていてくれた?これが精霊魔法よ」
セレスティーナは試合が終わりガーネットが帰ってくると高速で駆け寄り興奮している、そしてガーネットは体を反って腰に手を当てて「えっへん」と擬音が付くような体勢だ
「アルスも凄いと思いますよね?」
「そうだな、あれだけの範囲を覆うほどの火魔法は見た事ないからな、さぞかし消費する魔力量もとてつもない量なんだろう?」
「はぁ……それは褒めているのか探っているのか分からないわよ」
「ハハハ、ごめんごめん」
緊張感という言葉が存在しない世界に居るかのようなSクラスの雰囲気はこれが決勝戦で次の試合こそ優勝を決める戦いである事を忘れているようだ
次は中堅戦、セーレの試合だがセーレの得意武器である双剣と相手生徒の使う槍は相性が悪い、相手は水と土の魔法を使えるようで槍術もレベルが6と中々ハイスペックであった
数分の格闘の末、セーレは敗北し、中堅戦はAクラスの勝利となった
中堅戦で一番大きかったのは相手の『水牢』や『流水斬撃刃』に対応する事が出来なく後手に後手を重ねる様な試合運びになってしまった事だろう
「皆……ごめん……勝てなかった、正直舐めてたよ…自分がSクラスに入れた事で自分の力を過信してた…ごめん」
「大丈夫よ、セーレ。皆気にしてないわ、それに最後にはアルスも居るしセーレの次は私と同じ精霊魔法が使えるセレスよ、心配いらないわ。」
「ガーネットさん…」
「そうだな、この武闘大会の勝ち負けはそこまで重要じゃないからな。多くの観客は結果より内容を見ているぞ」
「--------ストレイフ……それは、励ましているのか?」
数分の試合で対戦する二人の情報が全てわかる訳では無いのは当たり前だが、攻め方や使用出来る魔法、使用する武器など外面的な情報はある程度分かる。 しかし
卒業を控えた三年生の試合には王国騎士団の将校クラスが多く集まり優秀な人材を探す、こういった人達は外面的な印象よりも試合の最中の動きであったり判断能力を見て騎士団へと勧誘する事が多いとされている
つまり案外ストレイフの言っている事は正しいのかも知れないが、それはあくまで試合の内容が良かった場合だ、アルス達にはクラスメイトという事もあり自然と悪くないように思ってしまうフィルターがかかってしまう、その為、第三者から見た中堅戦というのが実際の判断において大切になる




