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THE BLACK KNIGHT  作者: じゃみるぽん
二章・学園
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【2章・王立魔法学園】14

ガゼフ=フォースターはウィンスターズ家に雇われた男だ。セレスティーナ公爵令嬢の誘拐を依頼され闇ギルドの男が婚約者を切り離している隙に”安全確保として同行してもらう”というのが今回の仕事だ



「銀髪どころか紫髪まで見つからねーじゃねーか、あいつら何処にいるんだ……」



周りより豪華な鎧を纏った男は鎧の金属音を鳴らしながら学園内を捜し回る



「-------ここか、高位な結界だな…更に認識阻害付きか…」



▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢



ガゼフがアルス達の居場所を見つけた時、死神はまだ少し血痕が残った片手斧を握りガゼフが向かった所に歩き出す



▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢



「ちょっと、アルスどうするのよ!絶対面倒臭い事になるわよ!」



ガーネットが呆れた様子で言うが、実際アルスは結界で時間稼ぎをした方だ。呆れられる筋合いはない



「目的が分かるまで此方から動けなかったからね、向こうから来るなら迎え撃つのみだな」



「そうだな、上手く事を運べばフォースターを一人消せる」




アルスの発言に殺害を催促する様な発言を加えるカルセイン




「アルス、他のSクラスの皆はどうするの?」




「そうだな…………「大丈夫か!!皆っ!」」




アルスがセレスティーナの質問に答えようとしたその時、ガゼフがアルスの言葉に重ねるように大声を出しながら模擬戦場に入ってきた




「私はここに駆けつけた王国騎士なのだが、安全確保の為ここの皆には一旦教室の方に戻ってもらう」




どうやらアルス達を此処から移動させたい様だ、ガゼフは安全確保と言っているが、今の所危険など無い為かSクラスの皆は少し首を傾げている



「たかが侵入者で私たちが動く必要があるのかしら?自分の身は自分で守れるわ」




そう言うのはグレイス、他のみんなも同意見の様で頷いている




「騎士の俺に従いたくないのか、それとも貴族としての矜恃かは知らないが、学生の内は目上の人に従うべきだぞ」



「まぁ……いいわ、別に移動しても何かある訳でもないでしょうし……行きましょう、皆さん」



アルス達を除くSクラスは騎士の言葉が不満でも特に理由が無い為、断れない




「どうする?アルス、皆ここを出て行くわよ?」




「そうだな……俺達も動きたい所だが……俺に客が来てるようだから先に行ってて。カルセイン殿下二人を宜しくお願いします」




「俺はお前みたいに女好きじゃないからな傍に侍らすのも周りの目が痛い、早く戻れよ」



(こいつ、まるで俺が趣味で侍らしているみたいに言うじゃないか……)




アルスはカルセインにセレスティーナとガーネットを預けて、一人別の模擬戦場の出口に小走りで向かう




まるで自分を誘い出す様な視線と気配の方へ向かったところ、そこには白い仮面を被り、全身を隠す程の黒いローブを纏った男が立っていた




黒いローブから出ている腕には片手斧が握られていて容姿と武器を持っている為、侵入者と直ぐにわかるが、アルスは『空間知覚』で死神を知覚出来なかった事に疑問を持つ




「アルス=シス=エルロランテだな、依頼達成の為此処で死んでもらう」




「いきなりだな、なんで俺がお前の場所が分かるのか、とか聞かないのか?」



「王女の護衛も務める男だ、それくらいできて当然だろ、それに俺が分からせてやったんだ」




「『鑑定』-----どうやらその様だな、【斧術 8】なんて初めて見たぞ、随分マニアックな武術を修めているな」




「鑑定持ちか、良いところの坊ちゃんって所だろうが無効や偽装が一般化された現代では無駄なスキルだな」




「へぇー、偽装してるのか……でも偽装で【斧術 8】は意味ないだろ?」




「低すぎるとかえって怪しまれるからな。この仕事において怪しまれる事は死に繋がる」





「……そうか、そうか、怪しまれる事は死に繋がるか………その通りだな」




アルスと死神の間に緊迫した空気が流れる、死神が斧を握る手の力を強める




「舐めるなよ……餓鬼、敵を侮ると命を落とすぞ」






「まぁ……いきなり斬り合うのは俺も望まない--------取引をしよう」




アルスと死神の間の緊張感が一層高まる、そしてアルスは死神にある取引を申し入れた。アルスは最初、死神を殺すのも構わないと考えていたが死神の容姿を見てふと思いついたのだ



それは



白い仮面という、アルスの聖騎士殺しの言い訳である仮面の男の存在の確立とアルスにあった聖騎士を殺す程の実力という畏怖の払拭が死神の存在で可能だからだ



アルスは死神にまずお金で死神に今回の任務の内容を聞く



「俺はこの任務に金貨200枚、任務達成で追加報酬を貰う事になっている」





「----500枚だ」




「何?」




「金貨500枚で任務内容を教えろ、内容によっては情報料としてもっと払う」



アルスは一貴族の息子でしかないが、第三王女の護衛任務で毎週実家のエルロランテ伯爵家に金貨50枚の報酬がある、3週間ほどの報酬と元々の貯蓄で支払う事が出来る




「……ほぅ、興味深い………いいだろう元々そこまで面白くない依頼だ」




アルスは死神からセレスティーナ誘拐の手助けの依頼を聞く、犯人はウィンスターズ伯爵家。あのパーティーでセレスティーナを売女と呼んだ貴族の家だという事が分かった



「それは……….許せないな、情報感謝する…ほら白金貨5枚だ、同じだろう?」




「確かに受け取った、それで護衛様はどうする?」




「そうだな……まずヘルムント=シス=ウィンスターズは消す。ウィンスターズ家は……従兄弟の家に不正を洗い出してもらう、闇ギルドを雇っていて騎士の買収の時点で十分裁判に掛けれる」




「……ほぅ、面白い。その内容に俺が含まれていないがどういう事だ?」



「お前は闇ギルドの人間だ、闇ギルドは国から追われる存在、そして先程言った俺の従兄弟の家が血眼で探している組織でもある。------そこでだ」







「俺が個人的に支援するのはどうだ?その代わり闇ギルドで上げられる依頼を教えて欲しい」



「エルロランテ伯爵家でも無くてか?」



「あぁ、アルスとして、王女護衛のアルスとしてだ」



「王族すら味方につけるというのか?」



「多少顔が利く、闇ギルドは無理でもお前一人なら十分守れる」



「--------契約成立だ、アルス=シス=エルロランテくれぐれも返り討ちに遭うなよ」




「ハハハ、大丈夫だ数年前のヘルムントの能力は鑑定で把握している、余程の神童でない限り俺には勝てないよ」






人知れず行われた闇ギルド所属メンバーの買収と裏切りはたった一時間で行われた。血も流さず、互いの利益を創り出し平和的に





▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢



アルスが死神と契約している時、学園の広場には数台の馬車があり、学園を出る様な準備をしていた



「あの、フォースターさん我々はどこかに行くのですか?」




そう聞くのはセレスティーナ




「あぁ、私の持つ権限を使いSクラスの皆には各家に帰ってもらう」



「実家にですか?」



騎士ガゼフの言葉に驚くオロバス




「ねぇ、カルセイン少し急すぎない?セレスも含めて皆疑い始めたわよ」



「そうだな、実際将校の位の騎士には学園の規則に外れた命令を学園に出す事は可能だが、物事の決定が早すぎる、教師も誰かに買収された可能性が高いぞ………」



ガーネットとカルセインが考察する、学園の教師の買収は大問題になる。政治的観点で中立である王立魔法学園のどちらか片方の勢力への加担は国を支えていく将来の人材を潰す事になりかねないからだ




各家それぞれに馬車が用意されていて各馬車に乗り込んでいく



馬車は学園を出て丁度アルスと死神が話し終えた頃、セレスティーナは自分の家とは違う方向に馬車が向かっている事に気づき目の前にいる騎士に尋ねる



「こちらの方角に私の家は無いのですが?」




「安全確保の為少し迂回しております」




騎士の男はそう言うが、未だ危険にさらされていない現状では受け入れ難い




(何処へ行くのでしょう……?)


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