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THE BLACK KNIGHT  作者: じゃみるぽん
二章・学園
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【2章・王立魔法学園】12

ゴォウゥ



謁見中にも関わらず、主役のアルスを雷帝は連れ去る。これにはアルスも反応できなかった、危険を感じなかったから反応しなかったというのもあるかも知れない



気付いたらアルスは沢山の騎士が居る所に居た


騎士と言っても王国の騎士ではない



鎧の柄から見て帝国の騎士だろう。アルスは突然アトランティス王国からストロヴァルス帝国とエスト神聖王国の国境の帝国軍本部に居た



「よし、アルス君ちょっと着いてきて」



雷帝に連れられて一際大きい砦に入っていく、周りは帝国の旗や、王族の髪色である赤が基調のアトランティス王国と違い、青い外壁に白い石像がとても映えている砦だ



「あの、雷帝さん俺はどうして此処に?」



「俺は耳が良くてな玉座の間の中の会話は扉の外側からでも聴こえるんだ、アルス君あのままだと聖騎士殺しを認めざる負えなかっただろ〜?」



(それは耳が良いとかのレベルでは無いのでは……?怖い……)



「因みに近衛騎士団長はもっと耳がいいからな、恐らく扉の外に俺がいる事は足音で気づいていると思うぞ、俺の魂胆に気付いたのかな〜?」



「そ、それは?」



「いや、君でしょ?聖騎士殺し。別に無理に認める必要は無いけど俺は君が殺したと思っているよ」



(雷帝は一時的に俺を助けてくれたのか……)



何故雷帝はアルスが殺したと思っているのだろうか、近衛騎士団長も玉座の間の発言からアルスの聖騎士殺しを確信しているだろう



「あと……」



「あと……?」



「弟子にならない〜?雷帝の弟子に」



アルスの雷魔法は高レベルに達しているが未だ数年間9から10にレベルが上がらない


魅力的な提案だが、学園生活もあり、王女の護衛任務もある



「勿論、アルス君が王女の護衛をしていて学園に通っている事は知っているよ、形だけでも良いんだ」



「形だけですか?」



「そう、形だけアルス君は炎帝が君の護衛対象の王女の師匠をしている事は知っているだろ?」



勿論、知っているアルスがアロンダイトを持ちウルグに剣の修行をつけてもらう前からの話で学園に在学中は炎帝と修行はしていないとガーネットが言っていた



「はい、それがどうかしたんですか?」



「実はね、今回”運良く”いい火魔法……まぁ精霊魔法を王族である第三王女が得た事で関係ないけど。炎帝が修行をつける事は本来、炎帝という名の継承準備であり、次代の炎帝を決めるしきたりみたいな物なんだ」



確かに今の炎帝は確か三代目の炎帝だ、頂点に立つ者としてそれなりの実力がいるのだろう。もしコネや賄賂で炎帝に弟子入りした場合、炎帝の質は落ちていくだろう、爵位の高い貴族はこの炎帝という一つのブランドを身内もしくは自分の家だけに縛るだろう




縛られる事で本当に実力の有る火魔法を持つ者が出ても活躍できる場は炎帝に奪われる事になるだろう



今回の炎帝は王族を弟子に迎える事で貴族派の貴族に炎帝というブランドを取られなかったと言えるだろう



それは勿論同じ”帝”がつく雷帝も同じだろう



「この謎のしきたりって俺にも適用されるんだよ〜初代だからさー余計に貴族の圧がすごくて…」




砦の中を並列して歩く二人が実は国の根幹に関わる事を話しているとは思えない




「だから私ですか?」



「そうだよ。あと、俺の家は男爵だから一度爵位の高い家に吸収されると二代目以降がね……」




「独占されますね」




「そうそう、頭いいね〜。それと一番ビビッときたのが君どうやら『雷霆』無詠唱で撃てるらしいじゃん?」



「はい」



「まぁ、雷霆が使えると言うだけでレベルが8以上なのは確定だけど………因みにレベルは???」



「9です」



「凄いね、良い魔法の師匠が居たんだね」



アルスの魔法の師匠はエルロランテ邸の執事であるセバスである、セバスは鑑定しても偽造されていて本来の力が分からないがアルスより強いだろう、ウルグと同様、旧王国流剣術を用いても勝てる気がしない



「……そうですね、厳しかったですけどお陰で上達しました」




「うん、いいね。俺が付けば10に上げれるが、どうする?」




「受けます、宜しくお願いします師匠」




「此方からも宜しく。正直、玉座の間から連れ出した理由が無くてさ、これは十分に理由になるかな〜?」



(おい、まじかよ)



笑いながら言う雷帝はとても貴族とは思えない程ラフな印象を受ける。戦争で敵を殲滅した人物とはとても思えない



雷帝はアルスを連れ一つの扉を開ける。中を覗くと一人の男性と二人の女性がいる一人は有名でアルス自身見た事がある女性。炎帝カルナだ



炎帝カルナは平民の出だが精霊魔法に選ばれ精霊と契約をしたカルナを先代の炎帝が弟子にした事で有名だ



(炎帝………雷帝の用事………あ、)



「紹介するよ俺の弟子アルス君、炎帝カルナ、エスト神聖王国枢機卿カトル=フォルマーレ、聖女エスメラルダ=フォルマーレだ」



アルスは倒れそうになる、何故自分はここまでトラブルに巻き込まれるのか、これが神の采配なのだろうか、だとしたらアルスは善神だろうと殺意が湧く



アルスが望む安泰と幸せとは遠ざかっている気がして今後が心配になる



「初めまして、アルス=シス=エルロランテです。かの高名な炎帝殿、枢機卿殿、聖女様に会えた事を神に感謝を」



「今の神に感謝はいらん……初めましてアルス殿今回、炎帝殿に亡命を要請したカトル=フォルマーレです。アルス殿とは個人的に話したい事が沢山あるのですが……」



「は、はぁ……ではまた今度時間をとりましょう」



「有難うございます!」



アルスは枢機卿と握手を交す、最初に枢機卿からなにか聞こえた気がするがはっきり聞こえなかった。教会の人物に会う時は神に感謝をしろ。とウルグに教えられた



(神に感謝するのは忘れなかったんだけどな……)




「聖女様も宜しくお願いします」



アルスは聖女とも握手をする。聖女はとても美人で修道服のような服からでも胸の主張が激しい、全身から艶かしい印象を受ける。透き通る様な髪色もとても綺麗だ


(こんな人が王国来たら貴族がパニックになるな………悪い貴族に引っ掛からないといいけど……)



「………………」



「ん?どうされました聖女様」



黙ったままの聖女に困惑し、自分の対応が悪かったのか焦っているアルス



「あぁ、アルス殿、エスメラルダは”言葉が話せない”のです。エスメラルダは嫌がって黙っている訳では無いのです………」



アルスは忘れていた目の前の同年齢であろう女性が同じ神器持ちだという事を



「それは…………神器を持った時からですか?」




エスメラルダがコクコク頷く、何故知っているのかという表情で



どうやら、エスメラルダの持つ聖杖エストが犠牲に選んだのはエスメラルダの声の様だ


今、荒れているエストで聖女という地位にありながら言葉を発することが出来ないのは、法王の操り人形状態だっただろう。国の上層部から酷い扱いを受けた可能性もある


聖杖エストは名前の通りエストの建国に携わっている神器だろう、聖女になり聖杖を持つだけで声を奪われるのは聖女という地位と釣り合いが取れないだろう



「今まで大変でしたね、王国には貴方をしっかり理解してくれる人がきっと居るでしょう、大丈夫ですよ」




「おっと〜、弟子よ婚約者を増やす気かーい?」



雷帝のツッコミに場の皆が笑う



「ち、違いますよ」




笑い声すら聞こえない、顔は笑っているが口から音が出ない笑いは犠牲にした物の大きさを実感させてくる



アルスは無償でハデスから魔剣アロンダイトを譲り受けたと信じている



しかし、そんなに甘い訳が無い。心の何処かで何を犠牲にしたのか時々探してしまう



アルスは犠牲にした物を知らない、神器側から教えて貰えないのか、それともただ知らないのか



アロンダイトを手に入れた時からあった疑問だ



最近、一つ思い付いた物がある、記憶だ




しかし、アルスは赤ん坊の時の記憶はあまり思い出せないものの一歳なら今までの記憶がしっかり存在している


しかし、アルスには唯一存在しない記憶があるそれは10歳の洗礼の儀式前の二日間と洗礼の儀式前だ



その時の記憶がどうしても思い出せない。ガーネットもクシャトリアと会った時、喋った時、教会に向かう馬車、全てが消えていたのにも関わらずガーネットの護衛でクシャトリアと同行していた事は受け入れる事が出来ていた



果たして神器の犠牲は二日間の記憶なのだろうか、たった二日の記憶で釣り合いが取れるのだろうか、この二日に何かあったのだウルグもメイドも”口調とテンション”以外何も変わっていないと言っていたあの二日に何かが



「まぁ、師匠とかどうですか?聖女様。雷帝だし財力はあると思いますよ」



エスメラルダは首を横に振り否定する



「振られましたね……師匠、どんまいです」



「いや、お前が勝手に言っただけだろ〜」



また部屋が笑いに包まれる。笑っていた炎帝も突然思い付いたように真顔になりアルスに話し掛けてくる



「ところでアルス君、本当にエルの弟子になったのか?今後が大変ですよ?」



「はい、弟子入りさせて頂きました。確かに周りの圧力は高まるでしょうが…そこは炎帝殿のお弟子さんが何とかしてくれるでしょう?」



「ハハハ、面白いですね……確かに王女ですから何とかなるでしょうね。護衛を守る護衛対象ですか……面白いです」




和気藹々とした炎帝や雷帝、枢機卿との会話は2時間程続いた



「ところで、アルス君いつ帰る?明日学園だろ〜?」



「そうですね、あまり学生の身で戦場にいるのは良くないでしょうしそろそろ帰ります」



「そうだな〜この負け戦が終わったら正式に雷帝の弟子入りの報告をするか〜、まぁその前に今直ぐ陛下には弟子入りを伝えないとね。怒られちゃう」




「はい」



炎帝と枢機卿に挨拶して帰る準備をする。時空間魔法か雷魔法どっちで帰るか迷っている時、エスメラルダが寄ってくる



『お気を付けて下さい、王国に行ったら必ず挨拶に伺います』



筆談だ、紙に書かれた言葉にアルスは頷き



「ありがとう、その時は皆で歓迎するよ」



そう言った後、雷帝の『迅雷』で玉座の間の扉の前に立つ、体感数十秒、光の速さより遅く音の速さより速い『迅雷』は本当に便利である



「よし、陛下と近衛騎士団長はまだ居るな…入るぞ」



ガチャギギギギィ




「遅い。後、五月蝿いぞ、雷鳴もそうだが魔法で移動するのは王城の前までにしろ。城内が焦げる」



そう言うのは近衛騎士団長だ国王もやれやれといった表情をしている



「いや、なんで近衛騎士団長は焦げるとか分かるのさ〜」



「雷魔法の常識だろ、後、音だ雷が散っているぞ周りの物が焦げる音がする」



すごい地獄耳である、アルスも迅雷使用時は気を付けなければ家事になるかもしれない



「もういい、フロイド。エルよ、いい報告か?」



「陛下と近衛騎士団長にとっては」



「ほぅ……言ってみよ」



「アルス=シス=エルロランテを弟子にしま〜す」



「やはりか……お前がアルスの存在を知ったあの時から思っていたが……魔法だけじゃなく行動も早いな……お前は」



国王が呆れた様子で言う、近衛騎士団長も納得する様に頷く。二人から30分程説教される





「発表は戦争が終わってからだろう?その時は召集する。下がっていいぞ」



「「はっ!」」



アルスと雷帝は報告を済ませて王城を出る、雷帝は戦場に戻ると言って雷を纏い去っていく



(俺も学園に戻るか……)



学園に戻ったアルスは案の定ガーネットとカルセインから説明を求められ雷帝に弟子入りした事を全て話す



セレスティーナはヴァイオレットとガーネット、カルセインと一緒いてアルスの突飛な数時間の事を一緒に聞いて楽しんでいた



「それにしてもアルス、カルナ様と2時間も喋っていたの?」



セレスティーナには枢機卿と聖女が亡命しようとしている事は知らない為、雷帝と炎帝とアルスだけで話していたと思っているのだろう


ガーネットとカルセインは亡命の事を知っている為炎帝が居るという事はエストの二人が居ることを知っている為アルスに質問しない




「ねぇ、カルセイン。セレスには言っていいんじゃない?」



「…………そうだな良いだろう」




セレスティーナにエストの二人の事を教えるガーネットとカルセイン、そして聞けば聞くほど顔が暗くなるセレスティーナ



「ねぇ……アルス、婚約者を増やすのは良いけど、必ず私に相談してね……」



「するよ、ていうか婚約前提で話しないでっ」








▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢



王都---闇ギルド---



「この依頼を受けたい」



「はい、〈セレスティーナ=ディズヌフ=アーバンドレイクの誘拐及び輸送〉ですね。了解しました」



一人の白い仮面を被り、黒いローブを纏った男が依頼を受け、受付の女性が対応する


ここは闇ギルド、暗殺や誘拐を主に行う違法ギルドである。依頼は主に貴族から出され依頼対象も貴族が多い



「今回の依頼は依頼主からの協力があります。ウィンスターズ伯爵家へ向かって下さい。そこから依頼主からの説明があると思います」



「あぁ、了解した」


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