【2章・王立魔法学園】5
「それじゃあ、アルス君手伝ってくれるかー」
「はい」
ゼアル先生と模擬戦場の中央で向かい合う
「俺は皆がどんな武器を使っているのかあまり知らないから、どんな武器でも使える身体強化の魔法のコツと使い方を教えていくぞー」
「「「はい!」」」
「それじゃあアルス身体強化魔法をしてみろ」
「『極・身体強化』しました」
「お前には教える事は無いかもしれないが、体の一部分だけ強化する事は出来るか?」
「出来ないです」
「よし、皆も見ておけ身体強化魔法は身体の一部分だけ使用する事も出来る、魔力の消費を抑える事も出来る非常に便利な技だ」
そう言ってゼアル先生はアルスに両手でデコピンしてくる
(おぉ、これは凄い…)
「あれ?アルス痛かったか?」
「はい、右手のデコピンが左より明らかに痛かったです!」
「そうだ、練習すれば片手のみでの強化も可能という訳だ」
最初にゼアル先生が疑問形で聞いてきたのはアルスがデコピンに無反応だったからだろう。アルスは三年間の長い鍛錬で全身の隅々の骨と皮膚が再生に再生を繰り返し硬くなっているため、身体が丈夫になっており、人一倍痛みに慣れている
「それぞれの身体強化のレベルは違うと思うが使い方でいくらでも上回る事が出来る、やってみろー」
「「「はい!」」」
エリゴスとオロバスの二人はコツを掴んだのか片足で上に跳んでいる
アルスも指のみの強化はまだ出来ないが手足だけなら出来るようになった
「すまないがコツを教えてくれないか?」
セーレがアルスに聞いてきた
「セーレさんか、セーレさんは魔力を左手だけ流す事は出来ますか?」
「難しいな、どうしても魔力を絞れない」
「んー、そうですね………魔力を極力使わないで身体強化してみては?」
「やってみるよ」
セーレも無事体の一部分の強化に成功した。セレスティーナとガーネットも成功している
「よーし、皆出来てるようだな、次の時間は少し模擬戦するぞー、解散」
授業が終わりセレスティーナとガーネットと学園の中庭に座り、学園について話していた
「そういえば、アルス入学式の時セレスの手を握ってたけど何かあったの?」
「そうです、最初に握ったのは私ですけど恥ずかしかったです…」
ガーネットに問われセレスティーナが頬を紅潮させながら言う
「あれは……ボーッとしていただけですよ」
「セレスの手を離すのを忘れていました」
アルスは笑いながら言う
「セレスとガーネット殿……ガーネットは先程の授業どうでした?」
「そうね…やってみれば意外と出来るものね」
「セレスの言うとうりね、まだまだ学ぶ事は多いかもしれないけどね」
二人が学園を楽しんでいるのを聞いていると『空間知覚』で中庭のアルス達に近づいてくる人達を知覚する
「セレス、ガーネット誰か来たよ」
「「えっ?何処?」」
「俺の右斜め後ろ40メートル」
「あー、凄いわね後ろから分かるなんて、流石は私の護衛だわ」
「流石ですアルス」
「多分あれは……生徒会の皆さんよ」
(生徒会か……そういえば義兄さんは久しぶりに会うな……)
「やぁ、義弟元気だったか?」
ゼロ副会長はアルスの姉であるマリア=シス=エーデガルドの夫、マルコ=シス=エーデガルドの弟でアルスからしたら義兄さんに当たる人だ
エーデガルドは辺境伯として獣王国がある東の辺境にある家でアルスが10歳の時に婚約を結び14歳の時に結婚したらしい
らしいと言うのはアルスは当時セバスの地獄の鍛錬をしている真っ最中であり、学園卒業してから直ぐ結婚した事を知らなかったからである
15で婚約、18で結婚は意外と世の中では政略結婚と言われるが、アルスの姉マリアはアルスと同様に両思いでの結婚だったらしい
「お久しぶりです、10年振りくらいでしょうか?」
「そうだな、10年振りくらいだな。首席になるとは流石だな結界魔法は上達したか?」
「はい!その話で一つ」
「お、どうした?」
「俺も婚約しました」
「何っ、アルス!公爵令嬢とかっ!!」
「はい!……なんで分かったのですか?」
ゼロはアルスの後ろに居る二人の女性のどちらかだろうと予想し、片方は赤い髪に王族特有のオレンジの瞳を持つ女性という事でガーネット第三王女だと分かり、銀の髪は数年前病で倒れた公爵の娘が持っている事を知っておりそこから導き出した事を言う
「王族との婚約は大々的に王国中に広まるからな、それが無かったということは、銀の髪のお嬢さんが婚約相手だろうと踏んだのさ」
「ごめんなさいね、セレスティーナさん、ガーネット殿下。ゼロは義弟が入学してくるのを楽しみにしていたのよ」
アナスタシアが二人に謝る
「いえ、大丈夫ですよ」
「私も大丈夫ですよ、あと殿下は付けなくていいですよアナスタシア会長」
「あらそう、分かったわ。セレスティーナさん、ガーネットさん」
「「精霊魔法を持つ二人に会えて光栄だわ」」
セレスティーナとガーネットに小柄な少女が二人迫る
「私はルナ」
「私はミナ」
「「宜しく!!」」
「「此方こそ宜しくお願いしますルナさん、ミナさん」」
「そういえばゼロ義兄さん、お姉様は元気ですか?」
「そうだな……去年の夏に一度帰っただけだが、二人共仲良くやっていたな」
「そうですか、良かったです」
「首席のアルスと今すぐ戦いたいが、これ以上後ろのお嬢さんの目に耐えれないからな、俺たちは帰るよ」
「会長っ、ルナミナ、帰りましょう」
「えぇー、まだアルス君と喋ってない〜」
「私達も、雷魔法の事色々聞きたい〜」
ゼロ達生徒会メンバーが帰っていく、それから暫くアルスはセレスティーナとガーネットと姉の事、ゼロの事を色々話したりして次の授業まで時間を潰していた
ゼロの髪型の表現が中々難しいんですが、歪のア○○ガムの黒水影○の髪型をハーフアップにしましたみたいなのを想像してくれれば




