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THE BLACK KNIGHT  作者: じゃみるぽん
一章・物語の始まり
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【1章・貴い一族】

アルスとセレスティーナは人だかりに近づき近くの青年に尋ねる


「何かあったんですか?」



「どうやら貴族と貴族が揉めてるらしいぜ」

「全く貴族ってやつはどいつもこいつも…………………ん?お前らもまさか貴族か?」


着ている服から判断したのか青年が尋ねてくる


「まぁ、そんなとこです」



「ハッハッハ随分と礼儀がいい貴族もいたもんだ、俺はこの辺で帰るが、あいつらに巻き込まれるなよ!じゃあな」



青年は帰っていく、巻き込まれるなと言うが何が起こっているのか少し気になってしまう



「セレス、見に行かない?」



「大丈夫かしら?」



「危なくなったら全力で守るからさ、護衛だし」



「………それじゃあ、私の護衛さん行きましょうか」



「はい、お嬢様」



 アルスとセレスは人垣を掻き分けて中に入っていく、中では二人の貴族が言い争っていた。アルスが聞く限り争いの種はどうやら平民であるアルスより少し幼いくらいの少年が剣で有名になると夢を語っていた際、アルスと同い年くらいの貴族が少年の夢を真っ向から否定したところから始まったらしい


そして、セレスティーナと同い年くらいの貴族の女の子が少年を庇い、少年を否定する男の子を批判


批判された男の子と少年を庇う女の子の舌戦が今の状況だ


「セレスはどう思う?」


「そうね、あの男の子はキツい事言っているけど、この世界で有名になるためには家の格が重要なのは事実なのよね……」



「そうだね……平民には洗礼の儀式のように他人に自分の才能を見てもらう機会も無いからね」



 

 平民である少年は洗礼の儀式を受けることが出来ない、洗礼の儀式の存在すら平民は知らないからだ。仮に平民が噂を聞きつけ教会に行っても司祭が取り合わないだろう、中々厳しい世界なのだ



「でも…アルス、少年は才能がないって決まったわけじゃないよね……?」



「そうだね…….でも、ダメだ」



「……え?どうして?」



「“鑑定で視た”あの子は剣術スキルを持っていない」



「そうなのね……あの二人は?」



「勿論視たよ、二人はどうやら今年の洗礼の儀式を騒がせた有名人だよ」



「え?今年ってそんなに凄かったの?」



「あぁ、男の子の方は剣聖スキル持ち、女の子の方は氷魔法スキル持ちだね」



「凄いわね……」



 剣聖の男の子は恐らく剣に誇りに思っているのだろう、剣のスキルも持っていないような少年が夢を語っているのに腹が立ったのかもしれない、だが女の子の方はどうだろう、この大通り、人通りも多いこの場で大声で“人が集まっているところ”で言い合う事なのだろうか、少年を庇うにしても、口から出る言葉は“庇ってあげている”“貴方より私の方が上”と、まるで少年を庇う私は偉いと言っているような発言ばかりだ


一体、少年を貶しているのはどちらなのか、アルスにはこれが茶番にしか聞こえなかった



「セレス、帰ろう…」



「…アルスは助けないの?」



「そうだね、所詮は貴族のしょうもない自己満足の茶番だよ……」



「……そう」



アルスはセレスティーナとその場から立ち去ろうとした瞬間、剣聖の男の子が剣を抜こうとしたのを見た


ゴォウゥ


 アルスは『迅雷』で剣聖の男の子の横に移動し鞘から抜き出そうとする剣の柄頭を抑える。男の子は驚愕した顔でアルスを見て剣を抜こうとする力を強めるがアルスが更に力を込めて抑える






「やめとけ…怪我人が出るぞ、あの女の子の実力を測りたいんだったら正式な決闘を申し込むんだな」



ゴォウゥ


アルスはまた『迅雷』を使いセレスティーナの横に移動する



「帰ろうか、セレス」


「はい!」



最後に帰る時、何故かとても嬉しそうだったのは気の所為だろうか、



▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢



アルスとセレスティーナはアーバンドレイク公爵邸の一室でアーバンドレイク公爵と話をしていた



「いやー、今回は有難うねアルス君」



「いえいえ、とんでもございません。自分もとても楽しませていただきました」



「そうかい?セレス、何かいい事でもあったのかい?」



「そうですわ!実はアルスからピアスをプレゼントして頂きましたの」



「へぇーそれは凄いね、んー、中に入っているのは雷魔法かい?」



「分かるんですか、お父様?これはアルスの雷魔法です!」



「まぁ、属性を当てるくらいならね……凄いねアルス君、君雷魔法も使えるのか……」

「洗礼の儀式で得たのかい?」



「いえ、洗礼の儀式では時空間魔法を頂きました」



「ほぅ、随分と稀有な魔法を得たね…どのレベルで扱える?勿論、魔法レベルの話ではなく使える技の事だ」



「技によっては一日数回しか発動できない技が大半ですが私の知る限りでは時空間魔法と雷魔法は網羅しております」



「……流石と言うべきか、恐ろしいというべきか…」

「セレスよ少し席を外してくれ」



何故セレスティーナを退席させるのだろう、何か大事な話があるのだろうか



「分かりました」



セレスティーナが出ていく、部屋にはアルスと公爵しかいなくなった



「アルス君……君が修めている剣術の話をしようじゃないか」



アーバンドレイク公爵が旧王国流剣術の話を切り出してくる



「大昔の話だ、私も祖父に聞いただけで定かではないんだがエルロランテ家と私のアーバンドレイク家は嘗てアトランティスとは違う国に仕えていたそうだ」


(そうなのか、初めて知ったなハデスの言っていた滅びた国の事かな)



「その国ではアルス君が使う剣術が広く浸透していたらしい、私が独自に調べてみた結果、昔の国にそのような剣術があった事が記されている文献が見つかった、アルス君の剣術と私は言っているが文献によると王国流剣術らしい、その王国はもう無いから我々は旧王国流剣術と呼んでいる」



(この剣術を多くの昔の人が使っていたなんて昔の人はレベルが高すぎないか……?)



「でその王国の事だがエルロランテ家とアーバンドレイク家は家系図などから当時から残っているのがわかるのだが、アトランティス王国には当時の王国を知る家が王家を除いて他に無いのだ、異常としか思えないんだ」



アルスは驚いた幾ら昔の国とはいえ一国の存在を知らないというのは何故なんだろうか



「そこでな私はエスト神聖王国にいる親戚を訪ねたのだよ………どうなっていたと思う?」



「申し訳ありません、分かりかねます」



「一家丸ごと元々いなかったことになっていたのだよ……驚くだろいつの間にか消されていたんだ」



「一家丸ごと……」



「勿論、近くの住人や教会の司祭を訪ね回ったさ」



「……どうだったんですか?」



「成果はなし……オマケに宿に聖騎士が神への冒涜とかいう難癖付けて私を連行しようとしてきてね」



「神への冒涜ですか…………怪しいですね」



「あぁ、まるで滅びた王国の事を知る者を消そうとしている様だろ?」

「最近、エストも何やら企んでいる様に思えるし、エルロランテ家としてこの異常は知っておいて損は無いと思う」



「……私はどうすれば?」



「アルス君は話が早くて助かる、ちょっとセレスを呼んでくるよ」


そう言って公爵は部屋を出ていき、セレスを連れて部屋に戻ってくる。アーバンドレイク公爵邸の執事らしき人が公爵に耳打ちをして何かを知らせている


「良いタイミングだ、部屋にお呼びしてくれ」



公爵が執事に指示を出す



(一体誰を呼んだのだろう…)



ガチャッ



再度扉が開き執事とウルグが入ってきた



「父上っ!?」



「私もアーバンドレイク公に呼ばれてな」



「エルロランテ卿久しいな要件は伝えた通りだ」


(一体父上と、アーバンドレイク公爵は何を企んでいるのだろう…)



「単刀直入に言うぞ、アルスとセレスで婚約を結ばないか?」



「「えっ?」」



 アルスは絶句した、セレスは顔を真っ赤にしている。アルスは出会って1ヶ月後程しか経っていないセレスとの婚約の話に言葉が出ない



「どうだアルス、お前セレス嬢のこと好きだろ」



ウルグが攻撃してくる、そしてウルグの言葉でもっと顔が赤くなるセレスティーナの反応で追撃を食らう



「…………何故父上が知っているんですか……」




「そうかそうか、アルス君はセレスに気があるのか〜」

「セレスはアルス君の事をどう思っているんだ?」



「ふぇっ!?……………お……お慕いしております……」



アルスは自分の顔がどんどん赤く熱くなっているのを感じる



「それでだ、双方気があるのが分かったところで私とエルロランテ卿の出番だ」



 恐らく公爵は婚約の調印の事を言っているのだろう、アトランティス王国では貴族の婚約の際、双方の家の当主の調印が必須であり、調印が無ければ婚約していると認められず、結婚する事も勿論出来ない



 一見お互いの意見を重視したとても考えられた規則の様に見えるが実際は違う、貴族には爵位がある、爵位が低い者は高い者に逆らう事は難しい為半ば強制的に婚約を結ばれる事も無くは無いのだ



 しかし、エルロランテ家とアーバンドレイク家は爵位は伯爵と公爵で差があっても爵位の差以前にお互い仲が良く、アルスとセレスティーナがお互いを慕っているという理想系であると言える



「私はセレスティーナ嬢と婚約したいです」



意を決してアルスが言う



「わ、私もアルス様と婚約したいです」



セレスティーナが言う



「決まりだな…アルス、セレスティーナ嬢おめでとう」



「おめでとうセレス、アルス君」



「「はいっ!」」



二人の父から祝福の言葉がかかる



「………実は今回の婚約だが…決して政治的意図がない訳では無いんだ」



(やはり、エストなどの件だろう…)

アルスは思案する



「近年、エストの動きも怪しい…家は公爵だ、何かと政治利用されてもおかしくない、辺境の貴族に嫁入りするか、はたまた王族に取られるか、一人の親として自分の娘を安全な所に置いておきたい」



「アルス君なら…いや、アルス君にしかセレスを任す事は出来ないんだ」



アーバンドレイク家は公爵である、爵位が高い分色々な家から縁談が来るのだろう



「アルス、これからセレスティーナ嬢はお前の婚約者だ、大切にしろよ」



「二人の事を邪魔する者は殺しても構わない、くだらない事を考える貴族も多いからな…」



(殺しすぎるのも後々厄介になりそうだけど…)



「はいっ!ありがとうございます!」



アルスはウルグと公爵に感謝の気持ちを伝える




アルスとセレスティーナは出会って僅か一ヶ月で婚約者となった

質問等あれば!

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