【幕間・勇者の仕事】
「くっ……祠堂!此処は任せろ!」
一人の男が叫ぶ
「ダメだ父さん!!それでは父さんが持たない!!」
一人の男が叫ぶ
「ここで共倒れして皇の血を絶やすわけにはいかんっ!!」
「大丈夫だ……俺にはまだ奥の手がある」
「……っ……父さん…俺は周りの雑魚をやる!」
もう一人は周囲の騎士を蹴散らし貪り喰らっているワイバーンに突っ込んでいく一人の男は慈温=皇そしてワイバーン突っ込んでいくのが祠堂=皇である
「……何だこのワイバーン」
祠堂は顎と翼が以上に発達したワイバーンを前にたじろく、祠堂は突き出してきたワイバーンの前脚を剣で防ぐ、ワイバーンの重い攻撃を喰らい腕が悲鳴をあげる
ワイバーンが噛み付こうと飛び込んでくる。祠堂は横腹を剣で切り裂きながらワイバーンの飛び込みを受け流す。振り返ろうとしたらワイバーンの翼で吹き飛ばされ木に叩きつけられる、
「……ぐっ…」
ワイバーンの追撃を紙一重で躱しワイバーンの眉間に突き刺す、突き刺した剣を足場に空中に飛びワイバーンの背に乗る剣を眉間から背中にかけて切り裂く
(ふぅ……終わったか……)
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一方慈温=皇は謎の女と対峙していた
身体から“神々しさ”を感じる
「…………お前、神だろ」
『▉▉▉▉▉』
「生憎俺はお前の言葉が分からなくてな」
『▉▉』
「…………………いくぞ神器解放」
慈温=皇の持つ剣から白い光が出る、聖剣カリバーンの持つ能力『全能力強化』発動時の光である。膂力から脚力、体力、自然治癒能力、思考能力まで全ての能力が大幅に向上する力だ
『▉▉▉▉▉▉▉▉▉▉!!』
「前倒した神は人の言葉喋ってたんだけどな…」
知能が低いのだろうか慈温と対峙している女の発する言葉が慈温には理解出来ない。聖剣カリバーンを振りかぶり謎の女に向かって振り下ろす
慈温の放った一撃が衝撃波となって謎の女を襲う、砂埃が霧散するとまだ無傷の女がいた
『▉▉▉▉』
「神器解放の一撃でも傷一つつかないとは……」
(ならば直接斬り伏せるまで!!)
慈温は女に肉薄し膝蹴りで女の脇腹を蹴る
「▉▉▉▉!!!!」
女の身体から骨の折れる音がする。間を開けず慈温はカーフキックで女の膝を蹴る、女の左膝が砕ける音がする
(終わりだっ)
慈温は女を袈裟斬りにしようとカリバーンを振りかぶる
カリバーンの刃が女の皮膚で止まる
(此奴……体の内部が柔らかいのに皮膚は異様に硬いっ!)
『▉▉▉▉▉▉▉▉!!』
カリバーンが通らなかった慈温は右フックで女の顎を砕く、同時に女の身体から出た太い針のようなもので脇腹を穿かれ、剣を持っていない左手を引きちぎられる。向こう側が見えているような穴が慈温に開き、左手を失い、大量出血で一瞬怯むが、すかさず慈温は女の砕けて開きっぱなしの口にカリバーンをねじ込む口から喉まで貫通させ、そのまま地面に突き立てる
(…………っ……終わったな…)
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「父さーーーんっ!!!大丈夫ですかっ!?」
「左手がっ!それに貫通してるじゃないですかっ!」
祠堂が帰ってくる、向こうは片付いたのだろう
「大丈夫だ、左手は戻らんが腹はじきに治る」
「祠堂、俺は今回の一戦で左手を失ってしまった」
「………はい」
「年々神は少なくなってきている、しかし強力な神が表舞台に出てくる事も多くなってきた」
「………はい」
「左手を失って神と戦うのはこれ以上無理だろう」
「そんな……」
「勇者の交代の時だ、これからはお前が勇者を名乗れ」
「………は…はい」
「これが“神器”聖剣カリバーンだ、これを受け取るかはお前自身が決めろ、皇の一族は代々この剣で神を殺してきた、神を殺すのが仕事であり、役目だ。“神器”の犠牲は知っているな?」
「………魔法が使えなくなるんですよね?」
「そうだ、一切魔法が使えなくなる」
「それでもっ!!受け取ります!」
「……魔法が使えなくなってもか?」
「はい…俺は元々大した魔法が使えません、神器によって魔法が使えなくなっても戦い方は変わりません」
「そうか…だが魔法を捨てる以上、剣に自信を持て、これからは宜しくな、新しい勇者さんよ」
「俺も今から死ぬわけじゃない、助言くらいはしてやれる」
こうしてオニキスでの勇者が交代して新しい勇者が誕生した
次は本章行きます!




