【プロローグ】
初めての作品です。誤字脱字報告待ってます!
少し改善してみたのですがどうでしょうか?
改善に改善を重ねておりますので気長に読み進めて頂けると幸いです。因みに自分で良く改善されていると実感できているのが6、7章辺りでそこから読んで頂いても構いません! 話分からなくなりますけどね。
当たりが赤一色になった森、足元にはホーンラビットのものと思われる角が幾つも転がっていて巨木の幹にある四本の爪痕、直径五十センチ程の足跡は異常事態を想起させる程奇怪で恐ろしいもの。赤一色になる程の血は恐らくホーンラビットから出たものと見て間違いないだろう。ホーンラビットは群れで行動する魔物であり、単体で捉えるとあまり大きくないが個体数が多く、この出血量も納得出来てしまう
しかしその数が多いホーンラビットをこの様な無惨な姿に変える生物など存在するのだろうか
足元を見ても周りを見渡しても在るべきホーンラビットの魔石が見つからない事から別の魔物に食い散らかされたのだと推測出来るが、冒険者であるニヒルには少し残念な事だった。討伐証明をして報酬が貰えないからだ。討伐証明というのは通常その魔物の角や牙、体の一部で行われる。ホーンラビットの場合は角だが魔石も金に換金出来る為回収することが多い。例え自分が討伐していないとしても討伐証明をすれば報酬が貰えるこの仕組みは冒険者達にとって日々の生活を潤わせる大切な機会なのだ
「気味が悪いな……」
この場所に強力な魔物が居た事を頭では理解しているが目の前に報酬が転がっているかもしれないという絶好の機会を逃す訳には行かず、砕け散った魔石や角を求め辺りを血眼になって探索していた
探索して暫く経った頃、突然自分の影にもう一つ巨大な影が重なる。日が落ちたのかと錯覚する程地面が暗くなり、何が起こったのか少し混乱してしまう
(-----ん?)
 
  
直ぐにニヒルの【直感】が発動して真後ろにいるであろう”何か”から飛び退こうとする。服の後ろを犠牲にして何とか回避に成功してニヒルその”何か”の正体を確認した
『鑑定』
°°°°°°°°°°°°°
《キングベアー・亜種 》
[スキル]
【狂化】
【隠密】
【硬質化】
°°°°°°°°°°°°°
「キングベアー・亜種だって!?」
グォォォォォォォォォォォォォォォォォ
「くっ………『下・身体強化』」
目の前には巨大且つ通常個体より遥かに前腕が発達した突然変異個体キングベアー・亜種が居た。膂力任せの薙ぎ払いによって粉砕された岩の破片がニヒルに襲いかかる。腕による直接的な攻撃は回避したものの、その風圧で少し後方に飛ばされ数メートル転がってしまう
「うっ…」
突然の激痛に目線を下に落とすと岩の破片が大腿、そして右上腕を穿いていた
「『弱点看破』……弱点無しか……俺死ぬな……もうちょっと俺が強ければ……」
再び立ち上がり走ろうとするも怪我をした自分の足は縺れ、前向きに倒れてしまう。既に息は上がり、視界が霞んだ様に見えずらくなっている事から死を覚悟したニヒル
「あぁ…終わりか…」
キングベアーの巨大な腕が振り下ろされる
グシャッ
謎の光が体を包み込みニヒルは息絶えた。ランクEの何処にでも居るような冒険者ニヒルはその最期を看取られる事無く、ただの肉塊となって散ったのだった
▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢▢
「ん?何処だここ…」
目を開けると白を基調とし、絵画、牡丹柄の花瓶などが飾られている部屋にいた
自分の最後の記憶が曖昧であった自分が何者であるのか、そして何時から大きいベットで寝ていたのか
「おはようございます、アルス様」
「あぁ、おはよう」
自然と口から出た。起床してすぐメイドのユリスが服を脱がそうとしてくる事に何故か恥じらいを感じて一瞬後退るものの自分が何故恥じているのか分からず困惑する
困惑しながらも恥じらいを悟られぬ様に取り繕うアルスはふと鏡に映る一人の少年を見つめて凝視した
(なんか俺の身体幼くね?)
アルスの頭髪は紫がかった髪色で瞳は灰色、昔の父の髪色や瞳の色を引き継いでいるのだろう。父の瞳は灰色だった気がする、目の前の姿見に映る自分自身にアルスは数秒思考停止する
「アルス様、先程旦那様が起きたら執務室へ来るようにと仰せられておりました」
「ん?何故?」
「えっ!?まさか忘れたなんて言わないで下さいよ」
「あーーー、“洗礼の儀式”の事ね、勿論覚えているよ。準備出来次第直ぐに向かうよ」
“旦那様”とは勿論父上の事だ。そして“洗礼の儀式”は十歳になると教会へ出向き、洗礼という名のスキル付与を行う大切な行事の事だ
(この身体十歳なのかぁ…)
何故、洗礼の儀式なるものが分からなかったのか、それは単純に“知らなかった”からである
しかし、知らないというのはあくまで“冒険者ニヒル”の知識内でという事、この肉体の主であるアルスの知識にはあった。十八年もの人生で知らなかったというのは恐らく貴族の者だけの秘匿事項とかそんな感じの事だったのであろう
この世界の英雄に貴族が圧倒的に多いのも納得できる。貴族は冒険者からして“強すぎる程”のスキルを持っている場合が多い、だが決して英雄が冒険者、貴族以外に居ないという事でも無いのだが
冒険者はランクによって強さが測られる。パーティー全体で評価を出し、それをパーティー全体のランクとして定める場合もあるが、それでもパーティーメンバー 一人一人のランクに重きを置く
ランクは下から順に
Fランク 冒険者の49%を占める
《採集、人助け、などなど》
Eランク 冒険者の19%を占める
《採集、低級の魔物 討伐、などなど》
Dランク 冒険者の12%を占める
《採集、低級から中級程の魔物の討伐、、などなど》
Cランク 冒険者の10%を占める
《中級の魔物討伐、護衛任務》
上級の魔物には複数パーティーでのみ受注可能
Bランク 冒険者の7%を占める
《中級から上級の魔物討伐、護衛任務》
Aランク 冒険者の2%を占める
《基本フリー、上級以上の魔物討伐、》
Sランク 冒険者の1%を占める
《基本フリー、貴族の護衛、戦争への参加》
となっているランクが上に行けば行く程、極端に人数が減っていく、ランクは簡単には上がらない
FからCはクエストをこなしていれば上がることも可能だがBはAに、AはSによる推薦が必須であったりする
Sランクになるには、その国の元首が称号を与え、受ける側は戦争への参加を承認しなければSランクになることは出来ない
貴族が洗礼によってスキルを得るのに対し、冒険者は自ら死地に出向き、起死回生の冒険をする事でスキルを得る場合が多い。しかし、剣術、弓術、槍術、体術、感覚的スキルなどは魔法スキルなど魔力を使うスキルに比べ、スキル会得者に教えを乞うことでスキルを得る事もある、鑑定もここに属する、そのため一概に冒険者が不利という訳でもないのだ
三日後、洗礼の儀式に向かわなければならない、因みにこの国の学園に入学するのは十五から。後五年、この多い時間でアルスは強くならければならないと頭の片隅にこびり付いている不快な記憶がそう思わせていた
思い起こすだけで吐きそうになるあの時の惨状を頭から消し去ろうと頬を叩き自分を鼓舞する
「-----あっ」
アルスは自分の父に呼び出されている事を完全に忘れていたのだ。扉を勢い良く開き、廊下を駆ける。自然と体が向かうその先に目的の父が居るのだろうと自分のものでは無い記憶に身を委ねるのだった
読んでいただき有難うございました!!!
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