ミナ
ーミナ視点ー
私はマスターにより新たな命を頂いた。このご恩は一生を掛けてでも返さなくてはいけないと思う。いのり様も良くしてくれている。いつもマスターの隣にいることから推測するときっと2人は親密な関係なのだろう。マスターを独り占め出来ないのがとても残念だが仕方がないことだ。私は所詮機械なのだから。それにしても毎日私の周りに集まってくる緑色をしたこの光はなんだろう?マスターより頂いたアーカーブのデータを検索しても答えが見つからない。2人の周りにも集まっているが目の前を横切っても全く気付いた様子が見られない。見えていないのだろうか?この光が一体なんなのか?この先マスターより質問をされるかもしれない。その時になって分かりませんでは私の存在意義が薄れてしまう。私は言わばマスターの頭脳なのだから。何か手がかりとなる情報はないだろうか?そういえば気になる情報があった。数日前エリスという女神が地球に現れ1年後に世界征服のためにメビウスに住む者が侵略しにくると。彼女はこうも言っていた。地球人がマナを取り込めるようにDNAを書き換えると。この光が影響しているのだろうか?それよりも緊急に解決すべき事案がある。もしもこの先マスターが遺跡に行くとなった時に私は移動できないため留守番をすることになる。そうでなくてもいずれ移動手段は必要になってくると思う。今後のためにもマスターにお願いしてみようか?と悩んでいると2人の声が聞こえてきた。
「なーいのり、今後のためにレベリングをしようと思っているんだけど俺たちは戦闘スキルがないし武器もない。ミナが完成して思ったんだけど持ち運び出来たら凄くいいと思わないか?」
「そうね。それができたらいいんだけど現状だと制作費用が足りないし持ち運びするとなると重量が戦闘の支障にならないかな?」
「じゃーん!これ試作品なんだけど試してみてもいいかな?」
「えぇ?いつのまに作ったの?ところで何で私に聞くの?」
「ミナって一応会社の財産だし許可が必要かなーって。」
「私にそんな権限はないけどね。いいわ、パパには私から説明しておくから。」
球形で白色。自立できるように両サイドに羽となる部品が取り付けてある。エネルギーは光を利用した自己発電でお尻にあるコンセントで電気の供給もできる。すでにデータはインストール済みだ。バッテリーが満タンで24時間活動可能で、もちろん予備バッテリーもある。
「ミナ、一回電源を落とすね。」
「了解しました、マイマスター。」
電源を落とし人工知能を差し替え再び電源を入れた。
「ミナ、調子はどうだ?」
「信じられません。自由に動けます。」
球形のミナが羽をばたつかせ空中を飛んでいる。あぁーさすがはマイマスター!私の悩みをすでに考えておられたとは!どこまでもお供します。




