討伐クエスト
あれから数日間、死の淵からのレベリング検証し今ではいのりも参加している。どちらも1ヶ月まえとは段違いに身体能力が上がっていることを体感している。ちなみに僕の負荷は58%、いのりは36%でミナさん曰くそれ以上だと安全に呼び戻すことが出来ないらしい。
「いのり、明日から討伐クエストを受けてみない?2人とも1ヶ月前と比べるとだいぶ強くなったし今までよりも危険は少ないと思うしどう?」
「そうねー。私も自分の力がどのくらい向上したのか試したかったしいいよ。」
「よし、決まり。じゃ、ミナ今夜も頼む。」
「了解しました。マイマスター。」
ミナに電気ショックで仮死状態にしてもらい2人は深い眠りについた。翌朝、僕たちはギルドに来ていた。
「天斗、いのり、おはよう♪今日は何のクエストを探してるの?」
「今日から、討伐クエストをしようと思っているんだけど何かお薦めはありますか?」
「そうねー、これなんかどうかしら?最近人里にキラーラビットが作物を荒らして困っているのよねー。この辺りには危険な魔物もいないようだしお薦めよ!」
ミシェルさんが薦めてくれたクエストはキラーラビット10羽で討伐証明部位は角だ。報酬はクエスト達成で5万円、状態によっては追加報酬もあるようだ。ちなみにこの1ヶ月でほとんどの動物達が突然変異してしまった。
「これにする。いのりもこれでいい?」
「天斗に任せるよ。」
「なら、準備をしてから出発だ!」
僕たちは街で準備をしてから石狩平原へと向かった。
「マスター、私達の1Km圏内にキラーラビット5匹います。」
「最短ルートで案内して。」
「了解しました、マイマスター。」
キラーラビット2匹を目視できる100mのところまで近づいている。
「僕は左、いのりは右を頼む。」
「分かったわ。」
足音をなるべくたてずに近づいたのだが気付かれたので全力で後を追う。背を向けていたキラーラビットが突然振り返り角で突進してきた。本来脅威であるはずのその突進を軽く避け手作りの槍で刺すと爆発し絶命した。
「えっ?」
討伐部位である角も一緒に爆発してしまった。
「ピッピ、お願い!」
いのりはピッピが牽制し死角に回り込んで戦っている。ちなみにいのりの武器は僕の手作り杖だ。そのままだとすぐに折れるのでチタンを芯にしている。徐々に武器や防具が増えてきてはいるが現状は供給が需要に負けている。観察していると、いのりもどうやら討伐できたようだ。見ると針を刺したような傷はあるが頭は無事で討伐部位である角も傷一つついていない。
「こっちは終わったよ!天斗はどう?」
「あぁ、こっちも終わった・・・」
「で、天斗が討伐したキラーラビットはどこ?」
「いのりの左に転がっている。」
「ん?どこにも見当たらないよ?」
いのりが注意深く見ると確かに血液が飛び散っているが肉片すら見つからない。
「それが・・・力を入れ過ぎたみたいで槍で突いたら、こうパーンって爆発した・・・」
「槍で爆発?理解不能なんですけど!ま、自分の力を制御できていないのは私もだけど、次からは気をつけてよね。」
俺の初めての討伐はいのりの説教で幕を開けた。




