ランクアップ
俺たちは冒険者ギルドにクエスト報告に来ていた。
「それでは査定をしますので鉄鉱石を出して貰えますか?」
「あのー、ここだと全部は出せないかもしれないので場所を変えませんか。」
「鞄が2つだけですよね?確かにどちらも大きな鞄ですが私の空間把握能力は完璧です。構いません、ここで査定をします。」
「僕は忠告しましたからね。」
近い未来、起こるであろうリアクションに少し左の口角が上がってしまったが構わず机の上に鞄から鉄鉱石を出した。大きな長机であるためまだまだ余裕があるようだ。これで全部だと思ったのかミシェルさんがドヤ顔でこちらの顔色を窺っている。まだおかわりがほしいようだ。
「ミナ、この机に全部、鉄鉱石を出して!」
「了解しました、マイマスター。」
ドドドドドッ。鉄鉱石が次々と机の上に放出されていく。ミシェルさんは目の前の光景が理解できないのか硬直している。その音を聞いたギルドマスターが慌てて何事かとかけつけると、ようやくミシェルさんが正気に戻った。
「天斗さん、ストップ!これ以上は机が重さに耐えられません。」
「ミナ、ストップ。」
「了解しました、マイマスター。」
「他の冒険者の目もあるし奥で話をしよう。私が対応するからミシェル君はそのまま業務を続けて。あと、天斗君、悪いが一度回収を頼めないか?」
「分かりました。ミナ鉄鉱石の回収を頼む。」
「了解しました、マイマスター。」
鉄鉱石を回収しギルドマスターの案内で奥の部屋へと案内された。
「ここにあるコンテナ二つに鉄鉱石を入れてくれ。残りは材料が減ったときに頼む。たくさん出されても置き場所に困ってしまうからな・・・」
そこは鍛冶の材料を保管する部屋だった。
「分かりました。ミナ、二つのコンテナに鉄鉱石を入れて山にして。」
「了解しました、マイマスター。」
ドドドッドドッ。大きなコンテナ二つ分が山になった。
「因みにあとどれくらいの在庫があるんだ?」
「コンテナ4つ分はあるかと思われます。」
ミナが答えた。
「亜空間収納を初めて目の当たりにしたが、とんでもないな・・・。女神が現れてから亜空間収納ができるスキル持ちも出現してはいるのだが、せいぜい車庫くらいの容量だった。この事はあまり知られない方がいいな。それにしてもこんなトンデモロボット何処で手に入れたんだ?」
「実は僕が作りました。最初は亜空間収納できる機能はなかったのですが人工知能が僕の知らない間に成長して現在に至ります。」
「成長型AIロボットか・・・そんな、ロボットを作ってしまうなんて君も大概だよ!ハハハ
何にせよ今日から天斗君といのり君をシルバーランクとする。」
ギルドマスターは上機嫌で僕の肩をポンポンと叩いた。右肩に凄く違和感を感じ家で見たら赤く腫れ上がっていたので摩周湖の水で治癒したのは後日談である。




