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摩周湖

俺達は摩周湖に来ていた。やはり辺りは濃い霧に覆われていた。一旦霧の中に入ってしまうと迷って出ることは困難だろう。


「ミナ、この水を使えば怪我も治るんだよね。」


「はい、これだけ高濃度のマナを含む水ならば、おそらく完治するでしょう。」


僕は水筒に水を掬った。そんなに優秀な水なら怪我人の分とは別に持っていきたかったな・・・


「マスター、それならば私をお使いください。」


ミナがそう言って大きく口を開けた。また心を読まれた。ミナに嘘はつけないな・・・


「最近習得したばかりの亜空間収納です。まだレベルが低いため何でもというわけにはいきませんが50mプール一杯分くらいの収納が可能です。」


えっ?ミナさんがとても優秀で何でも出来ちゃうんですけど・・・もしかして僕、霞んでない?


「鉄鉱石も持って行かないといけないし、半分だけ水の収納をお願い!」


「分かりました。では予め複数用意していたペットボトルに小分けにして収納しておきます。」


ミナが湖に入り湖水を収納していった。


「皆のところへ帰ろう。」


「了解しました、マスター。」


特にトラブルもなく採掘現場へ戻ることができ、預かった水筒を皆へ返す。


「いのり、ただいま♪」


「お帰り、どうだった?」


「この通りばっちり!」


早速水筒に入れた水を傷口にかけると瞬く間に傷が塞がっていった。骨折している部位を本来の位置に戻し水をかける。その様子はまるで皮膚で水を飲んでいるかのようだった。これ、ゲームとかでよく見るエリクサーなのではないかと思えるくらいの効果だった。完治した人達の背中を眺めていると周りの大岩達が微かに微動していた。マナが復活したのだろうか?


「マスター、おそらく怪我をした人達は襲われたのではなく事故で落石に巻き込まれただけではないかと思われます。先ほどからマナが満たされているにも関わらず、こちらの様子をじっと観察していたようでお襲う気が全くありません。ただ所々割れているようですが・・・」


「言ってみれば、こいつらも被害者だったのかもしれないな。ミナ、ここに転がっている鉄鉱石を拾って俺たちも帰ろうか。何本かペットボトルを出してくれ。」



「了解しました、マイマスター。」


ミナが鉄鉱石を集めている間に僕は一つ一つ大岩に水をかけていった。街へ帰るため踵を返すと後からピョンピョンと跳ねて追いかけてくる陰があったがそれに気付いた頃はすでに周囲は真っ暗だった。

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