鉱山
現在僕たちは鉱山に来ている。ミナはピッケルを持てないので作業には加わっていない。
「いのり、休憩にしよう。」
作業を中断するとミナが嬉しそうに近づいてきた。肉体労働は高校生の時のバイト依頼だったので疲れた。とにかく作業中の汗が目に染みた。
「いのりはほどほどでいいよ。女性に肉体労働は似合わないし。」
「そんな事言うけど能力的には私の方が力あるんですからね!」
と右腕を折り曲げ力こぶを見せてくる。華奢な体のどこにあれだけの固い鉱石を砕く力があるのか不思議だ。休憩していると何処からか助けを呼ぶ声が聞こえてきた。
「おーい、誰か近くにいないか?いたら返事してくれ!」
声のする方へ近づいてみると所々血まみれで倒れている男性が数人いた。腕や足が本来の方向とは逆に向いていることから骨折は間違いなく頭を強く打ったようで額から血液が流れている者もいた。
「何があったんですか?」
「落石だと思う。ただいくつかの岩はまるで意思があって動いているような感じだった・・・」
石だけに意思を持っているのかは不明だが周囲を見渡すと確かに不自然な形の大岩が転がっていた。時々目があったが襲ってくる様子はいまのところはないようだ。
「ミナ、周囲の岩がなんなのか調べることはできる?」
「あれはアイアンロックです。最近発見された魔物で多くは鉱山に住んでいます。詳細は不明ですがわずかですがマナを保有しています。おそらくその影響で動くはずのない大岩が生命体として覚醒したものと思われます。今はマナを放出し過ぎたため休眠状態のようです。」
「そうか。ならまずは怪我人達の治療が先だね。」
「ミナ、この近くに薬草かこの人達を治療する手段は何かある?」
「でしたら、この近くに摩周湖があります。ふだんは霧に覆われている湖なのですがその場所に高濃度のマナを感じます。その湖の水を使えば怪我も治癒できます。しかし噂ではありますが昔から巨大生物が住んでいると言われていますのでくれぐれもご注意ください。」
「分かった。ミナは道案内を頼む。いのりはここに残ってこの薬草で怪我人達の治療を頼む。皆さーん、水筒を一時お借りします。」
「あぁ、頼んだぞ!」
俺とミナは湖へと向かった。




