バンカーの風上にも置けない桃太郎
シリーズ化したいです。
その昔、鬼ヶ島重工の卑劣な妨害工作により、村民は貧困の一途を辿っていた。
村長が抗議文を提出するも、鬼ヶ島島議会議員の圧力により揉み消され、村長である翁は芝刈りへ出向を余儀なくされた。
翁の芝刈り出向に怒りを露わにしたのが、翁と長い付き合いである婆であった。
婆はグループホーム『サンズリバー』に潜む反鬼ヶ島重工のメンバーと集い、川へ洗濯へ。そこで川上から流れてきた機密事項である桃を手にした。
桃はかつて鬼ヶ島重工で経理を担当していた鬼子の物であり、その中には元気な男の子が入っていた。
「これは……!!」
婆はその男の子を『桃太郎』と名付け、対鬼ヶ島重工の切り札として育て上げた。
──そして桃太郎が大きくなり、ついに鬼ヶ島重工の不正を暴くために役員会へ乗り込もうと旅に出た!
桃太郎は鬼ヶ島重工へ行く前に、イヌの下を訪れた。
「卑劣な鬼ヶ島重工に立ち向かうべく、どうか! ……どうか、力を貸して頂きたい……!!」
しかしイヌは一つ失笑を飛ばすと、椅子に座り桃太郎を見下すような目付きをした。
「君ィ……まさかと思うが、きび団子一つで我々『お供連合』が簡単に動くと思ってないかね? 先ずは頭を下げないと…………」
「村民は皆、鬼ヶ島重工の仕打ちで明日をも知れぬ身。私の頭一つで事が済むなら、幾らでも下げましょう!!」
桃太郎は頭を深々と下げ、土下座までしました。
「ま、良いでしょう……」
桃太郎はイヌを味方に付け、続いてキジ、サルを味方へと引き入れました。
そして、鬼ヶ島重工役員会当日──
「えー、それでは、村民は皆殺し。村は焼き討ち、宝物は全て略奪……それで良いかな?」
予め根回しがされた役員会では、村の人々の凄惨な末路が決まりかけていた。
「──お待ち下さい!!」
桃太郎が颯爽と現れ、止めに入った見張りを突き飛ばした!
「何だね君は!?」
「村民が一人、桃太郎であります!!」
桃太郎の登場に、鬼達がザワついた。桃太郎は鬼達を冷静に、かつ怒りに満ちた顔で睨みつけ声を大にて叫んだ!
「村人を皆殺しにし、村を焼き払うなど言語道断!! 憎しみは必ず連鎖し、貴様等を滅するだろう!!」
一番奥で静かに構えていた大鬼が、桃太郎の隣を指差した。
「……お隣さんはそう言ってないようだが?」
「!?」
桃太郎が隣を見ると、なんとお供の三匹が鬼に恐れをなして白旗をあげていたのだった。
「桃太郎君。やはり私は長いものには巻かれた方が良いと思うな」
「それが鬼達の御意思である」
「無駄な抵抗は止めるんだ」
ここに来て、お供達が裏切り、桃太郎は孤立無援となってしまった!
「…………クッ!」
桃太郎は俯き考えた。そして──
鬼と一緒に村を焼いた。
「鬼には勝てなかったよ…………」
読んで頂きましてありがとうございました!!
(*´д`*)