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四人の勇者vs魔王

 俺たちは今魔族の長、魔王と対峙していた。赤黒い髪に、ぐるぐるのツノを生やした男だ。何故かマントがなびいている。


「我の四天王を倒し良くここまで辿り着いた。勇者たちよ」

「え、あ、あぁ、どうも」

「どうした? 嬉しくないのか?」

「俺たち、四天王一人も倒してないぞ」

「……は? そんな訳無いだろ」

「ほんとほんと」

「そうやって我を動揺させようとしているんだろう。まぁいい。早く戦うぞ」


 魔王は、内に秘めていた魔力を放出させた。


「っ! これが、魔王本来の魔力」

「強丞。やばいよこれ。私たちじゃ!」

「ここまで来たのに。くそっ! 引くぞ!」

「おいおい。そんな簡単に逃がすと思ってるのか? 「フリーズウォール」」


 魔王が魔法を放つと、出入り口全てに氷の壁が出来上がった。


「に、逃げられない」

「雪菜。どうにか出来ないか?」

「無理だよ。こんな、凄い魔法をどうやって……」

「そうか。大海、南、雪菜」

「おうよ」

「分かってるわ」

「う、うん」

「よし。行くぞ!」


 そして、四人の勇者vs魔王の戦いが始まった。


「俺と大海で行く。二人は後方からの支援を頼む!」


 三人はは無言で頷き、直ぐ行動に移した。


「ふむ。ダメだな」


 魔王は雪菜と南に向かって持っていた槍をぶん投げた。


「やめろ!!」


 それを大海がぶん殴って起動を逸らした。それで一安心かと思ったが、魔王が南と雪菜の方に指を曲げると、槍もそっちの方に曲がった。それを強丞がギリギリのところで守る事が出来た。


「そんな力で魔王に挑もうなんて千年早いわ」


 そして、勇者たちは何も出来ずに死んだ。筈だった。


「おいおい。待て待て」


 そう言って現れたのは、黒い服を纏ったナツメだった。


「誰だ貴様?」

「そうだな。破壊者だな」

「破壊者か。何をとは言わない。お前の雰囲気でわかる」

「そうか。嬉しいよ。って事で、勇者達、ここを出るぞ」

「待て! お前が誰か分からないが、俺たちは魔王と戦っているんだ! 邪魔をするんじゃない」

「は? このまま行ってもお前達はあの魔王に負ける、いや、殺されるんだぞ。それを分かってて言ってるのか?」

「……クソ! どうすればいい?」

「そこから、逃げろ」

「おい、お前。そこは氷で塞がってるんだぞ。どう逃げろって言うんだ!」


 ナツメは、そっちの方を向き拳を振る。


「何をしている?」

「見てみろ。魔王」


 魔王がそっちの方を向くと、そこには氷が存在していなかった。


「っち!」


 魔王はそこに新たな氷を作り出そうとしていた。


「させると思うか?」


 ナツメは、魔王が魔法を放とうとする前に、集中を切らすために魔王に接近してナイフを切りつける。


「お前の目的はなんだ⁉︎」


 ナツメは後ろに意識を向け、勇者達がもう逃げたことを確認してから口を開いた。


「勇者への復讐。いや、あの王国への復讐かな」

「と、言うことは、お前は俺の仲間って事で良いんだな?」

「は? 勘違いするなよ。お前が勇者達を殺したらお前とこの国を消すからな」


 魔王は、ナツメの雰囲気に押され、頷くことしか出来なかった。


「じゃ、俺は行くから。また何処かで会おうか」


 ナツメは部屋から出て行き、そこに残ったのは腰を抜かした魔王だけだった。


「助けてくれてありがとう」

「別に良いさ」


 俺たちは、誰かよく分からない人に助けてもらった。


「なぁ、強丞」

「どうしたんだ?」

「声、聞いたことないか?」

「あ、それわたしも思った」

「もしかして。菜津芽君?」

「……声も変えれば良かったか」


 俺は、助けてくれたのがあの菜津芽だとは、全く気付かなかった。


「本当に、菜津芽なのか?」

「あぁ。「解除」」


 菜津芽がそう言うと、黒い服が消え、この世界の一般的な服に変わった。


「菜津芽君。もし良かったらだけど、私たちと魔王を倒してくれない?」


 南がそう言うと、菜津芽は申し訳なさそうに断った。


「ごめん。俺にも大切な仲間がいるし、一人行方不明だから、探しに行かないと行けないから、お前達の仲間にはなれない」

「そう。そうだよね」

「おいおい。南よ、なんでこんな奴を仲間にしようとしてるんだよ。あの弱っちい菜津芽に仲間になってもらったところで、足を引っ張るだけだろ」

「ちょっ! バカ! 何言ってんの、魔王から私たちを助けたのは、紛れもなく菜津芽君だよ!」

「あれは、ほかのお仲間に助けてもらってたんだろう? なぁ?」

「おい、大海!」

「はぁ、俺はもう行く。じゃあな」

「おい! 逃げんのか!」


 大海は俺たちの話を聞かずに、調子に乗っていった。大海の悪い癖が出た。自分よりも弱い奴をいたぶって、悦に浸る悪い癖が。


「逃げるんじゃねぇ。帰るんだよ」

「待て待て。一戦やっていこうぜ」

「お前、馬鹿か? ここまだ魔国だぞ」

「良いじゃねぇか。すぐに終わるしよ」

「……分かった。えっと、そこの……」


 菜津芽が指差したのは雪菜だった。


「わ、私?」

「そ、開始の合図頼んだ」

「え、分かった。よーい、スタート!」


 そう言った瞬間、凄まじい風が吹き荒れた。風のせいが砂が舞った。それが晴れた時、大海は泡を吹いて倒れていた。


「さ、これで勝負ついたな。じゃあな」


 それには、私たちも、私たちを警戒して周りにいた魔国の住人達も、唖然としていた。


「ま、待ってくれ!」


 いち早く意識を取り戻したのは、強丞だった。


「菜津芽、頼む。俺たちの師匠になってくれないか?」

「あぁ、いいぞ」

「断ることは分かっt、え、いいのか?」

「あぁ」


 何故か分からないが、俺のお願いを聞いてくれた菜津芽は、俺たちの師匠になった。

 その後、菜津芽の魔法? で壁を飛び越えて魔国を出た。


 その頃、ルガーノ達はと言うと。


「もう。お兄ちゃんと一緒に入れると思った直後に離れ離れになるなんて」

『しょうがないであろう。あれもあやつの考えだ。何か考えがあってやってることなんだろう』

「はぁ。お兄ちゃんの匂い嗅ぎたいな」

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