ジン2
「さっきから見られているのも感に触るな。」
武史の目の前にジンがいきなり現れた。
武史は驚いた。何しろさっきまで門の前で呪文を行使していた。それなのに、ビルの5階くらいの高さのこの場所にいきなり現れたからだ。
「お前は内通者か?」
言葉と同時に蹴りが来るイメージを感じ、武史は左に体をずらした。
間一髪のところで蹴りは食らわずにすんだ。
「俺は内通者じゃ無い!」
「では、さっきの蹴りをなぜ避けられた?常人には避けられないはずだ。まぁいい。お前はこの場で私に消されるのだから。」
その瞬間、イメージが来た目の前から雷がくる。武史は察知し、左に避けた。しかし次のイメージは後頭部を蹴られる。それを察知し武史はかがんだ。
武史はジンの移動の仕方を不思議に感じた。さっきからなぜ瞬時に移動ができるのだろう?門の前からここは300mくらい離れているはずだ。またさっきも前から来た雷を避けたのにいきなり後ろから現れた。
ジンは思った。目の前にいるものは何者だ?見たところレザリア国のものではないようだ。しかし、隠れて私の能力を監視していた。今この場で消しておかないとまずい気がする。しかし間合いの取り方、闘志のオーラ何をとっても素人だ。なぜ私の攻撃を避けることができる?
ジンは生まれてすぐ呪文を唱えることができた。それを見た国王が文武において英才教育をしようとしたが、全ての講師の指導を類い稀なる才能により見ただけで習得し、1週間もしないうちに講師の力量を超える力を身につけていた。ジンは幼い頃から望むこと全てが思いのままにできていた。だからこそ、今目の前にいる謎のものに憤りを感じ、危険性を考え返答によっては抹殺することも考慮に入れていた。
・・・いや昨日ゴブリン達が話していたものにこいつの特徴が似ている。ジンは問いかけた。
「お前は昨日ディマーの遺跡にいたか?」
「遺跡?よくわからないが大きな岩の近くにはいた。」
正解だ。おそらくゴブリン達はこいつにやられたのだろう。しかし、どうやって?ゴブリン1体は並の剣士一人分の力である。それを一人で三体も倒せるのか?
「ゴブリン達はお前がやったのか?」
「ああそうだ。いきなり襲われたからしょうがなかった。けど、気を失わせただけだ。殺してはいない。」
ジンは思った。こいつはディマーの封印を解いたのか?私が何年かかっても解けなかったものを。けど、それならば今までのことが全て納得がいく。もしこいつが封印を解いたのであればおそらくあの能力を得ている。もしこいつが王国の敵になるのであればとても危険だ。ここて潰さなければならない。ジンの表情から余裕が消えた。本気の目になっていた。
武史は感じた。こいつはやばい。なんとかしてこの場から逃げないといけない。この場から去るために武史は扉に向かって本気で走った。しかし、後ろから雷をうたれるイメージを察知し横に避けた。しかし、今度は腹にパンチをされるイメージをし、とっさに両腕で防御した。しかしジンの一撃には雷の力を宿しており、感電した。電気が体を流れるとこんなに体が痛いのか。武史が思った時ジンの雷が武史の体を焼いた。体を動かすことは一切できず。生命の危機を感じた。
武史は異世界での死を受け入れるしかなかった。