ジン
初めての味に舌鼓をうっていると、鐘がなった。
「緊急警報、緊急警報、10km先にレザリア国の旗を掲げるゾンビ兵を約千体ほど確認。王国ウィザード隊は門前に集合してください。また各家でプラズマウォールを展開し、いつでも王宮に転移できるよう緊急アイテムの準備をしてください。」
隣国から敵襲が来ているらしい。
ウィザード隊員らしき人達が人の波と逆に門の方に向かっていった。こんなみんなが慌てている中白馬に黄金の鞍をつけ、呑気に逃げる人を見ている一際異彩を放つ白髪の同い年(20歳)くらいの性格の悪そうなイケメンがいた。
「早くジン様もお逃げください。」
側近が言っていた。
「何故、あのような下劣怪物どもに我が行動を変えなければならない。我は昨日の一件で腹の虫が収まらぬ。この怒りどのようにして収められようか。」
考えを決めたように、門に向かっていった。
(さっき、ジン様って呼ばれていたよな?あのゴブリンたちの主人か?だとしたら顔を見られるのは不味いな)
とっさに顔を隠した。
なんだろう。さっきの奴は。一目見てワクワクしてしまった。
ルナを八百屋の人にかくまってもらい門の外が見える見晴らしの良いところに移動した。
ウィザードが100人ほど門の前に集まっていた。ディマーの力で五感が強化されていたので耳をすませて聞いてみた。
「何故、騎士団や多くのギルドが不在のタイミングでこの街を狙って来た。誰か内通者がいるのか?」
「いや、それか今日はジン様がいるからこの街を狙って来たのかも・・・」
ウィザードたちが思い思い話している。戦いに集中出来ていない。遠距離から炎や氷、風、雷などの魔法を使っているがゾンビ兵は100体も減っていない。また、ゾンビ兵は倒してもすぐに蘇生し進軍してきた。残り門まで200mほどに近づいて来た。その時門の扉が開き先ほどの白髪がゾンビたちの前に姿を表した。
「下劣なゾンビめ。その姿を見ているだけで目が腐るわ。我のから消えろ。上位呪文ジオラル・サンドラ・カオス」
白髪がそういうと全身が眩しくて見えないくらいの光を放った。その光は無数の稲妻となり天空に向かい1つに集まり柱となりゾンビ千体を飲み込んだ。
光が消えるとゾンビ千体は全て塵も残さず消滅していた。