街 イルシ
ルナの小屋から20分ほど歩くとイルシという街に着いた。
イルシはティフタン国の保護に入っているらしく貿易が盛んで衣服、食糧、娯楽様々なものに富んでいる。ルナは週に1度街に来ているようで顔馴染みがたくさんいる。
「おーい、ルナちゃん。隣に連れているのは旦那さんかい?」
こんな声が歩くたびに聞こえて来た。
その度にルナは白い肌を真っ赤にして膨らませている。かわいい。
街を歩いていていろいろ気付いた。まず、この世界は魔法が普及している。火を使うにも、水を使うにも、風を使うにも魔法を使用している。その代わり電気といったものは無い。発展の仕方が今まで住んでいたところと違う。
そして、ティフタン国はその魔法を統括しているところで普通の凡人ではしようが出来ない魔法をアイテム化して幅広くの人が使えるようにしている。オレも魔法を使用してみたい。そんなことを考えながら歩いていると掲示板にいくつか情報があった。
「・巨人族の発見求む。
・水の精霊を一緒に探そう。
・奴隷の馬族売ります。
・国王のご子息がお忍び街にきている。
などなど・・・」
『巨人族か・・・懐かしいな。」
(知っているのか?)
『知っているも何も巨人族は私の盟友だ。ひょっとしたら私の力を取り戻す方法を知っているかもしれない。』
(それなら巨人族を探そう。)
『そうだな・・・早く私の力を取り戻してくれ。そうしないと・・・』
「はい!イルシ特製の鯖パフェよ!美味しいから食べてね♪」
元の世界と同じ生き物も存在するようだ。・・・って冷静に見ている場合では無い。
パフェになんと鯖が突き刺さっている。しかも口がパクパク動いているから実に気持ちが悪い。
「ええと、ルナはこれ好きなの?」
「うん!美味しいよ!」
「えっ・・・でも覚悟が・・・」
「いいから食べてみてよ!」
鯖を一口食べて見る。甘く磯の香りがした。元の世界の魚のように生臭さはまったく無いものの複雑な味だ。