ルナ2
「オレの名前は武史だ。けどどうやったら元の世界に戻るんだ?」
「わからない。勇者様は知らないの?」
「まったく。けどこの剣に取り憑いている幽霊が元の世界に戻してくれるらしい。」
『汝よ、私は取り憑いてはいない。幽霊とは全く別の種であるぞ。』
「あ、ディマーごめん!」
ルナは驚いた。
「剣から声が聞こえる。」
『其方にも聴こえるようにしゃべっている。其方がいつも私に祈りを捧げていたのわかっているぞ。しかし途中から全く来なくなったようだが』
「最近国王の息子のジン様がこの岩に近づくなとみんなの前で御触れを出したの。それからは、こっそり近づこうとしても、ゴブリン達がいて行くことができなかったの。こんな天気だし、何もないところですが今日は泊まっていってください。」
たしかに外では雷まで鳴っていて、近くに落ちたようだ。このまま外にでるのは危険なので、お言葉に甘えて泊まることにした。けど女の子の部屋に泊まるのも気がひける・・・。
女の子の匂いがする。彼女がいたことのないオレはドキドキしてしまいルナからしたら変な人に見えたかもしれない。ルナはお茶を出してくれた。元の世界にあるミルクティーのようなもので暖かくて甘い。この世界では、ルハナと呼ぶそうだ。ここに来て、心がホッとした。たしかに異世界に来てずっと気を張っていたようだった。気がつくと身体の節々も痛い。いつのまにか武史は眠ってしまった。
武史が目覚めると昨日の雷雨がおさまっていた。窓から光がはいってきてその光で武史は起きた。目を開けると目の前にはルナが眠っていた。よく見ると可愛い。透き通る肌にきれいな赤い唇、そうやって眺めているとルナの瞼から涙が溢れてきた。
「お父さん、お母さん・・・」
武史は起こさないようにルナに毛布をかけ、静かに部屋をでた。この世界についてしるために外を散歩した。改めて見ると今まで見たこともない草花があり、川の水は澄んでいて、小動物も生き生きとしている。オレのいた日本に比べて自然が豊かである。
20分くらい散歩をしているとルナの声が聞こえた。オレを呼んでいる。
「勇者様、危険な植物もいるので気をつけてくださいね。」
「そうだな、伝染病とか日本にない病気がうつっても嫌だな。けどなんで勇者様?すごい違和感なんだけど」
「それは・・・いいの!私が呼びたいから呼ぶの。そんなことより、勇者様を街に案内したいんだけどいい?」
「そんなことって・・わかったよ!ありがとう。」
ルナは街を案内してくれるらしい。帰る方法も探すが、少しお腹が空いている。こちらの世界の食べものが楽しみだ!