プロローグ
オレの名前は黒野武史。
高校を卒業して何もすることがなくファミレスでバイトをしている。高校1年生の時からバイトをしていたからもう6年になりこの店では店長の2番目に勤務歴が長い。主にキッチンを任されていて週6日働いている。「いらっしゃいませ。ケニースにようこそ♪」今日も戦いの火蓋が切って落とされた。「和風ハンバーグにタラマヨポテト出来上がり。マサ4番長いよ!レン25卓のラーメン出来てる?」
「お疲れ様でした〜。店長今日も忙しかったですね。バイトもう少し増やしてくださいよ。みささん疲れすぎて仕事中に寝てましたよ。危うくパフェによだれかかるところだったんですからね。」
「募集してるんだけど人がこなくてね。こっちも困ってるんだよ。武史君にキッチンは任せた!もう好きなようにやっていいからね。」
「そう言って逃げないでくださいよ。」
そんなこんなで1日も終わった。今日も疲れた・・・。
帰りにちょっと贅沢にエベスビールとチェダーチーズを買った。家に帰って明日も夜更かしを見ながら晩酌しよう。そう思いながら歩いていると公園では今日も宗教家らしき人が講演をしている。
「皆さんは今の生活に満足していますか!?こんなありきたりな生活を変えたいとは思いませんか!?」
「そんな変なことってないで現実をみろっての・・・」
オレは独り言を言いながら鼻唄を歌い自転車を急がせた。途中みすぼらしい服をきた老人が倒れていた。
「大丈夫ですか?」
「飲み物をくれ・・・。それはエベスビールじゃないか。坊やそれをわしにくれないか。」
関わるのが嫌だったのですっと通り過ぎた。
しかし、後ろから「待ってくれー。君だけが頼りなんだ。」と声が聞こえた。
しょうがないから近くの自動販売機で水を買いそれを渡した。
「はい、どうぞ。」
「なんじゃ、これが水ではないか。わしはそちらの袋に入っている飲み物が飲みたいのぉ。」
「ダメです。これはオレへの1日のご褒美なんです!!」
みすぼらしい老人とコンビニの袋を引っ張り合っていた。
「そんなケチを言わずわしにくれ。年寄りを大切にしなさい。あっ!後ろからトラックが!!」
「えっ?」
思わず後ろを振り返ってしまった。その隙にコンビニの袋は取られ缶に口をつけられてしまった。もう諦め、袋ごと老人にやった。
「坊やよ、ありがとのぉ。これはお金じゃ取っておけ。」
変なコインをもらった。海外旅行の経験もないのでどこの国で使えるコインかもわからなかった。ただ晩酌を奪われ悔しかったから、違うコンビニでエベス琥珀を買い家に帰った。
ビールを飲みながら老人にもらったコインを眺めているとよくわからない文字ばかり書いてあった。初めて見る文字で昔の中国のお金?かなと思った。とりあえずもう深夜2時。寝ようと思い、シャワーを浴びることにした。
普段熱いシャワーが好きで今日も疲れた身体を癒す。髪を洗っているとなぜか途中から冷たくなり故障かなと思い目を開けた。すると目の前は霧だらけで何も見えなかった。
『問おう。汝はなぜあのコインを持っていた?あれは汝の世界には存在しないものだ。』
声・・・にしては頭に直接話しかけている気がする。
「コイン?なんのことだ?」
『災厄のコインだ。お前に災いをもたらすぞ。まあいい。お前もこちら側に来い。』
目を開けると見たこともない光景が広がっていた。