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30 『内股』膏薬

ルブルム=りっきーという事実が判明したり、ヴァイスがルブルムの次は自分という態度を取ったりして、豪華食べ放題の回です。

カエルレウムの部屋でゲームで遊ぶ。

今日は野球ゲームで対戦だ。

ルブルムもいて、僕とカエルレウムの対戦を後ろで見てる。


「いやー、それにしてもまんまとだまされた! ルブルムも人が悪いな!」


僕とルブルムの関係性の種明かしをされたカエルレウムが、ピッチャーを操作して投球しながら笑う。

変化球の使いどころが上手くて、なかなかヒットを打てない。


「りょーくんの性癖をこう、ど真ん中ストライク! ってね」


ルブルム……このルブルムが、あのりっきーさんなんだよな。

正直、ちょっと信じられないというか、あんまり信じたくないというか。


「で、りょーたの『魔龍』はどうだった? すごかっただろ!」

「うん、想像以上。すっごくよかった……素直に認めるしかないね」


姉妹喧嘩もやめて仲直り。

険悪な雰囲気も不機嫌さも、もうすっかりない。


「りょーくんにはカエルレウムもアヘアヘ言わされたんでしょ? むしろ『龍殺しの剣(ドラゴンスレイヤー)』なんじゃない?」


こうなると姉妹仲はいたって良好というか、あの口喧嘩の後だったから安心したというか。

でも、話題が僕のアレというのは勘弁してほしい……


「そういう話は、せめて僕がいない時にして!?」


さすがに注意しておこう。

気恥ずかしいというかいたたまれないというか、対応に困る。


「ははは! りょーたの負けだな!」


思わず、ど真ん中ストライクの球を打ちそこなう。

僕が操作するバッターが、凡打で打ち取られて試合終了のコール。

僕の負けでゲームセットの表示が、画面全体に表示された。




その後、カエルレウムはもう眠くなったらしく『何か忘れてる気がするが寝る』と言い出したので、僕とルブルムは外へ。

城内の廊下を、のんびりと歩く。


「ねえ。ルブルム」

「なに?」


……これは、考えないといけない。

しっかり聞いておこう。


「りっきーさんのフレンド解除してもいい?」

「ダメ!」


即答。まあそうなる。

でも『中の人』がルブルムだと思うと、どうしても付き合いにくいんだよ……


「やだ! フレンド解除はやだ! ブロックもやだ! 散々利用して慰み物にして飽きたらポイ捨ては嫌だー!」

「ちょ、おい、言い方!」


人聞きが悪い!

僕はそんな鬼畜外道じゃないぞ!


「まなちゃんにもベルさんにもできないこと、してあげるから! だから捨てないでぇー!」


何だそれ。

愛魚ちゃんはともかく、頼めばアレとかアレとかいろいろしてくれるベルリネッタさんにもできないこと?

ちょっと待つことにしよう。


「見ててよ……《高潔の証(ライチャスネス)の鎧(アーマー)/Righteousness Armor》!」


ルブルムが自分を対象に呪文をかける。

着ている服が光ったかと思うと、一瞬で銀色に光る鎧に変化した。

露出度が高めで、なんだか見覚えがあるというか、これはもしかして……


「ユリシーズのコスプレ!?」

「そう!」


ルブルムが今着ている鎧は、あの騎士ユリシーズの格好にそっくりだった。

よく見ると、髪形まで呪文でユリシーズっぽくしている。

手の込んだコスプレだ。


「すごいでしょ。イラストで見えない部分はそれっぽく程度だけど、再現度は高いと思うよ!」

「うん、すごい」


ユリシーズの姿になったルブルムが、その場で回ったり体をひねったりしている。

動いてみても隙がない。

もうこれはリアルユリシーズだ。


「ゲームをやりこんで、キャラを使い込まないと、ここまでの再現は無理……だから……」


だから何だろう。

もしかして、もしかしたら……


「この格好でエッチしてあげるから……側にいさせて……?」

「うっ!?」


コスプレエッチのお誘い!

それは確かに……ベルリネッタさんに頼んでも再現度は落ちるだろうし、愛魚ちゃんにはとても言えないし。


「あ、でも」

「キャラを汚すのはどうか、って言い訳はなしだよ! エッチな絵とか本とか、どんなのが良かったか……りょーくんが今までどれだけユリシーズを汚してきたか、全部知ってるんだからね?」


性癖筒抜け。

『ネットの向こうのりっきーさん』と思って全部自分から話していたからだ。

このルブルムはとんでもない爆弾キャラに仕上がってしまっている。


「ただこの格好になるだけじゃなくて、ストーリーイベントの台詞も全部頭に入ってるし……」


しかし、なるほど確かにこれはあの二人には無理な、ルブルムだけにしかできないことだろう。

しかも外見だけでなく内面もというのは、ただ着替えるだけでは到底無理だ。


「……りょーくんのお気に入りのエッチな本も、内容覚えてるから、その中の好きなシーンで、いいよ……」


そ……それはヤバい。

性癖が筒抜けということは、好み直撃のガード不能攻撃を繰り出せるということか!

これは……断れない……


「フレンド解除なんかしたら…………してあげないんだから」


くっ……

やっぱり僕の負けじゃないか。

素直に負けを認めて、ユリシーズのコスプレのルブルムを寝室に連れ込んで、愛でる。


* ルブルムがレベルアップしました *


結局、お気に入りのエッチな薄い本のシリーズ二冊目から『ユリシーズが魔法で感度を増幅されながら陵辱され、必死に耐えるシーン』のイメージで燃え上がってしまった。




王様ベッドでルブルムと過ごした状態のままで寝て、翌日。

起こしに来たベルリネッタさんの視線が生暖かい。


「りょうた様もようやく『食欲旺盛』になられたようで、わたくしも嬉しいです♪」


『食欲』って言うけど、普通のご飯の量って意味で言ってないよね?

むしろそれって『性欲』って意味で言ってるよね?


「お召し上がりになりたい『献立』も、ご気分に応じて手配いたします♪」


『献立』って言うけど、ご飯のメニューって意味で言ってないよね!?

『夜のお相手セレクト』って意味で言ってるよね!?


「ただし、わたくしにも『準備』がございますので……できましたら、お早めにお申し付けくださいませ♪」


ベルリネッタさんだから確信して言える。

これは『私を食べて♪』的な意味の『準備』だな……




とりあえず頭を冷やそう。

中庭にあるベンチで、ぼんやり過ごしてみる。

噴水もあって、憩いの場って感じ。


「あ、了大さん」


そこに通りがかったのはヴァイスだった。

あっという間に近づいて、僕の隣に座る。


「聞きましたよ? ルブルムさんを、しっかり堕とされたとか」


ルブルムについてはなんというか、自作自演みたいなところがあるから……複雑な気分だけど。

とはいえ、本人も『堕としてほしいと思ったから堕ちた』と言ってた。

堕としたという認識でも、間違いではないんだろう。


「今日はですねえ……『成功報酬』をいただきたいなあ、と思いまして♪」


この言い方と表情は、完全にアレだ。

たっぷり搾り取るつもりの時のもの。


「ルブルムさんを堕とせるまではと思って、あたし……これでも我慢してたんですよ?」


思えば、ヴァイスにはおっぱいで二度『授業料』を取られたけど、逆に言えばそれだけだ。

そのヴァイスが、我慢してたというのは、たぶん……


「ルブルムさんすら堕とした了大さんの《ピー!》で……あたしの《ピー!》も、堕としてください♪」


……やっぱり。

真魔王城でのここまでの体験で、さすがに察しがつくようになってきた。

おっぱいでしてもらうのは僕は気持ちよかったけど、ヴァイスはそうでもなかっただろうから、そういうことじゃないかなって。

ルブルムの件を抜きにしても、サキュバステクニックのおかげでとても助かってるし、これからもきっとお世話になるし。

それを考えると、ここでヴァイスに冷たくはできない……というか、ここまで来たらさらに一人増えても同じことじゃないかな……

ダメだ。

もう思考がうまく働かない。


* ヴァイスがレベルアップしました *


結局、誘惑に負けてしまった……

白昼堂々ヴァイスを寝室に連れ込んで、全部出し尽くすまでその爆乳ボディを味わった。

でも、ヴァイスには聞いておきたいこともある。


「ねえ、ヴァイス……皆、僕にすごいって言ってくれるけど、本当かな? ヴァイスの感覚とか経験とかで、客観的に教えてほしいんだ。お世辞はなしで」


ヴァイスという女が欲しくなって欲求のままに犯したのも嘘じゃない。

でも、これを聞きたくてヴァイスに僕を味わってもらった、というのもある。


「本当ですよ……お世辞抜きで、了大さんはすごいです。あたしも堕ちちゃいました♪」


経験豊富なサキュバスのヴァイスまでもがそう言ってくれるなら、こっち方面の『強さ』は問題ないんだろう。

でも、戦うとか呪文を使うとかの『強さ』は、まだまだ全然だ。

浮かれていないで、もっと鍛えなきゃ……




翌日。

さすがに危機感が募る。

なんだか今週はエッチしてばかりのような気がする。

今日は真面目に取り組もう……と思いつつ朝食を済ませたところに、カエルレウムが凄い勢いでやって来た。


「りょーた! 今日はわたしの部屋に来い!」


ゲームで遊んでる場合じゃないんだけど……と思ったら、凄い剣幕。

遊びに誘いに来たような雰囲気は、とても感じられない。

迫力に気圧されながら引っ張られて行って、否応なしにカエルレウムの部屋へ。


「何か忘れてると思ってたんだが……思い出したんだ」


部屋に入ってもカエルレウムは、どのゲーム機にも一切手をつけようとしないで、真面目な表情。

忘れてたことって、何だろう?


「わたし、りょーたと一度しかヤッてない!」


脱力した。

真面目な顔して言うことがそれ!?


「だって気になるだろ! ルブルムは寝室に連れ込んで、念入りに何日もかけて、自分のものにしたんだろ?」


確かに、それについてはカエルレウムの言う通り。

僕もルブルムも認める事実だ。


「でもわたしは、硬い岩の陰での、あの一度だけ……いや、二度?」


思えば、最初に会った日に《ドラゴン化》で暴走してしまって、それを止めるために魔力を使い果たしたカエルレウムに、僕から魔力をあげた……というのが、カエルレウムと最後まで行ったいきさつだ。

どうも『成り行き』のせい、という感じで、関係性があいまいだった。


「とにかく! わたしだってもっとりょーたとヤりたい、柔らかいベッドでヤりたい……あれっきりでポイはいやだ!」

「ちょ、おい、言い方!」


まあ、言い方はともかく、カエルレウムはそう思ってたのか……

そういえば、僕とカエルレウムの間柄はどうなのか、という話を忘れてしまっていた。

いい機会かもしれない。

聞いてみよう。


「りょーたは、わたしにとって……? うーん……」


考え込むカエルレウム。

うんうん唸って、何やら指折り数え始める。


「ゲームで遊んでても楽しいし、ゲームしなくても側にいたいし、側にいないと思うと会いたいし……他の男が寄ってきても、りょーたの方がいいし……」


なんかいっぱい挙げられてる。

ゲーム屋でナンパされても断ったり、断るのに僕の名前を出したりしてたんだっけ……


「僕のこと……好き、なの?」


うっかり言っちゃったけど、調子に乗ってるかな?

まあ、違ったら違ったで……


「……そうだな。わたしはりょーたが好きなんだ、うん」


……合ってた。

カエルレウムが考え込むのをやめて、着ていたゆるいシャツを脱ぐ。

あとはパンツ一枚しか身につけていなかった。

そこ以外は裸体が、巨乳も何も丸見えだ。


「りょーたが好き……で、好きな男とヤりたいのは……変じゃないだろ?」


変じゃない。

体も気持ちも隠そうとしないカエルレウムは自然体で、素直に僕に全部許そうとしてくる。

そんなカエルレウムが、とても魅力的に映って……


* カエルレウムがレベルアップしました *


……結局、昼食も抜きで長々とカエルレウムに熱中してしまった。

体中がベトベトになってしまって、夕食の前にお風呂を用意してもらうほど。

カエルレウムもベトベトだったから一緒に入って……つい、もう一度……


* カエルレウムがレベルアップしました *


いつか誘惑に負けて、こうなるんじゃないかと思ってたけど……

今週はベルリネッタさん、愛魚ちゃん、ルブルム、ヴァイス、カエルレウムと、とっかえひっかえのハーレム生活。

ダメ人間まっしぐらかもしれない……




向こうの次元に帰ろうと支度を済ませたけど、一緒に帰る愛魚ちゃんの視線が痛い。

さすがに羽目を外しすぎた。

愛魚ちゃんは僕一筋でいてくれてるのに、僕は浮気者で……


「今週の了大くんって本当……《内股膏薬》って言うか、あちこちの女にベタベタしてさぁ……」


耳が痛いし心が痛いし否定できないし。

でも、他のみんなも僕のことを好きになってくれてるのを、無下にはできない。

どうしよう……


「私にも、ちゃんと……ベタベタしてね……?」


できるだけ努力しよう。

鍛練して、魔王に相応しい強さも身につけていこう。

みんなの愛情に、見合う男になるように。




◎内股膏薬

内股にはった練り薬が右側についたり左側についたりするところから、あっちについたりこっちについたりして、節操のないこと。

しっかりした意見や主張がなく、その時の気持ちで動くこと。


この作品は全体的に「実験作」という性質がありますので「よくある」「ご都合」と言われそうなハーレム展開も、変に意外性を求めすぎずに自分でも書いてみることとしています。

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