ミニマリストになれない
顔だけでも明るくしよう、と、心的疲労を拭い去れないまま、心持ちだけの笑顔を作っている。これから仕事。接客業の人たちは、倦怠を下敷きにしながらこうやって笑っているんだろうか。きっとそうだという気がする。
職場の近くのギャラリーでは展示会をしていて、目に留まったのは美しいガラス細工のベッドライトランプ。とても綺麗だけれど、これを使う生活が想像できない。美しすぎて息が詰まりそうだ。
私の原風景はどうしたって、幼いころ暮らした小汚い家だ。雑然とした部屋、安物好きな父、その理念の下に揃えられていた家具や日用品の数々。
自分の居場所をモデルルームのように綺麗にしておくなんていう事態にそもそも慣れていなくて、何もない空間を見るとすぐに散らかしたくなる。