閑話:ある受付嬢の呟き
ニーナ。あなたには悪い事をしたと思ってるわ。
反省してる。
あなたが目を輝かせてケーキを頬張っていた姿を、お見舞いに持って行ったクッキーを嬉しそうにかじる姿を、それを思い出すと心が痛むわ。
でも、あなたのその警戒心の無さと食い意地のおかげで、あの子と毎日お昼を一緒に過ごせるようになったの。感謝してるわ。
朝、昼と間近であの子の匂いを嗅ぎ、あの子が使ったカップでお茶を飲む――
この至福の一時を思うと――あなたが腹痛で苦しんでいる事なんて些細な事よ。
勘違いしないでね。悪い事をしたと思ってるし、反省もしてるわ。
後悔はしていないというだけよ。
でも、あの子には謝らないといけないのかしら?
『姫』って最初に呼んだのは私なの。
だってそうでしょ? あなたは私のお姫様なの。お姫様をそう呼ぶのは当たり前でしょ?
それに、それを言いふらしてるのはマーカスさんよ。
あとダンジョンやオーダーの事をちょろちょろお漏らししてるのも彼よ。
ロジャーさん達はなんであんなの飼ってるのかしら?
マーカス……まぁ、カス。
ウフ。あら失礼。
それにしても惜しかったわぁ……
あの人達が割り込んでこなかったら、今夜にでもお風呂であの子と肌を合わせられたかも――いえ、あの様子だと絶対に誘いを受けたはずよ。
お風呂にはしゃぐあの子を優しくリードして……。
……腹いせに適当な噂でもマーカスに吹き込もうかしら?
――あら、もうお茶が……。
幸せな時間ってどうしてこうも早いのかしら……。
さ、午後のお仕事に向かいましょ。
そういえば――、クソガキは上手くやれてるかしら?
薬草は綺麗に摘めるようになったようだし、もう大丈夫よね。
…………
……あれ自分で摘んだのよね?
2016/05/09改行箇所修正 2016/07/07… 2016/09/28段落修正 2017/07/23再編集




