夕べはお楽しみでしたね
数日の徒歩による移動、途中で魔物に襲われ盗賊から逃げたりしながらも俺とセリアは小さな町にたどり着く。
「ここで待ってて」
「了解」
セリアの指導もあって、今ではある程度の会話も出来るようになってきていた。
セリアは通りで俺を待たせると、町の路地へと消えていった。
しばらく待っていると、町中を走る老人と少女の姿が目に入ってきた。
そして、それを追いかけるエプロンを付けた太った中年の男性。
「待て~! 食い逃げだ~!」
「走れマディウス」
「様を付けんか~!」
「待て~!」
なんだか愉快な逃走劇を眺めていると、セリアが後ろから声を掛けてくる。
その表情は少しすっきりとしているように見えた。
「宿屋探しましょ」
「う、うん」
立派な見た目の宿屋に着くと、従業員に部屋へと案内される。
豪華な内装から高そうな宿屋だということが想像できた。
案内された部屋の豪華さに俺は思わず声を出す。
「凄いね」
「うん......」
セリアは俺の感想にそう答えると。
「先にお風呂入ってきて、お湯張ってあるから」
「う、うん」
俺はセリアに促されるまま風呂へと向かい、久々の湯船に身を浸した。
「はぁ~」
思わず声が漏れる。
「どう? 気持ちいい?」
セリアがそう言いながら風呂場へと入ってくる。
「ちょ!」
俺はセリアの姿に驚いて、湯船に沈む。
その姿はタオルを巻いているだけだった。
「ふふ、身体洗ってあげる」
「え? いいよ、そんなの」
「いいから!」
セリアは強引に俺を湯船から引き上げると椅子に座らせて、俺の背後に回り込んだ。
そして、俺の身体を丁寧に洗いながら話しかけてくる。
「詳しくは話せないけど、私はとある任務に失敗して捕まってたの。
でも、その任務も密売組織の黒幕を報告できたから、無事終了できたわ。
カツは覚えていないみたいだけど、あの時わたしを助けてくれたのはカツだと思う」
俺の身体を洗う手が止まり、布が床に落ちた音がした。
背中に柔らかい物が押しつけられ、セリアの手が俺の胸に回される。
「......ありがとう」
そう言ってセリアは両手を俺の下半身へと動かしていく。
すでに破裂しそうなほどに興奮している俺の下半身はセリアの指先が触れただけで、その興奮を吐き出してしまった。
風呂場に沈黙が流れる......。
「ごめん」
俺は何故かセリアに謝った。
セリアは無言で俺の少し、うなだれた下半身を掴むと優しく刺激をしてくる。
見る見る威厳を取り戻す俺の下半身。
「ほら、もう大丈夫だよ」
セリアはさっきのは無かったことにしようと言う感じで、そう言った。
なにが大丈夫なのかは、よく分からないがセリアもその気のようだ......。
俺はセリア腕を取り、俺の目の前へと引っ張った。
「あ! そんなに見ないで......」
セリアは恥ずかしそうに顔を赤らめる。
白い肌には、よく見ればいくつかの傷跡がある。
俺は豊かな膨らみを手に取り優しく揉んだ。
セリアの口から軽く吐息が漏れる......。
俺はセリアを優しく引き寄せて唇を重ねあう。
セリアも俺を受け入れるように腰を動かして自分の中に俺を受け入れた。
その後も湯船で寝室でと、明日宿屋の主人に「夕べはお楽しみでしたね」と言われそうな程に、俺とセリアは身体を重ねあった。
****
豪華な広いベッドは昨日の情事を物語るように乱れていた。
俺は窓の隙間から射し込む光に当てられて目を覚ます。
腕の中ではセリアが一糸纏わぬ姿で、気持ちよさそうに寝息を立てていた。
(こんなにゆっくり寝たのは久しぶりだな)
「おはよう」
俺の言葉にセリアが少し身をよじり。
「もう少しだけ」
そう言って足を絡めてくる。
その滑らかな肌の感触に刺激され、寝起きからもう一回戦始まるのだが......。
****
「もう、カツったら元気なんだから」
「嫌だった?」
俺は少し意地悪そうにそう言ってみる。
枕が飛んできた。
「お湯浴びてくる」
セリアはそう言って俺の視線も気にせず、裸のまま風呂場へと向かっていった。
(一晩で随分と恥じらいが無くなったもんだ......)
俺はそんなふうに思いながらセリアの形の良いお尻を見つめていた。
風呂場から流れてくるセリアの鼻歌を聞きながらベッドに仰向けになる。
正直、自分でも自分の性欲というか体力に驚いていた。
以前の俺ならこんなには出来なかっただろう......。
ふと、視線を黒い左腕に向ける。
最初は肘の少し上だった黒と肌色の境目が肩の下にまで進んできている。
そしてはっきりしていた境目は色が混じったように曖昧になっていた。
肌の表面は固くなり、鱗状の瘡蓋のような物があちこちに出来てきている。
ベッドの上で天井を見ていると、ぽろりと歯が一本抜けた。
その下からは、次の歯の先端が顔を出している。
(まじかよ......)
俺は抜けた歯を見ながら心の中でそう呟いた。
今年で25になった俺は当然のように全ての歯は生え変わっている。
「カツもおいで~、身体流してあげるよ~」
風呂場からの甘い誘いに、俺は抜けた歯をゴミ箱に投げ入れて風呂場へと向かった。