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協定

「昨日は、ごめん」

「アオイさん、ずっとチャンスを伺ってたんだろうね」

「なんか怖いな......」

俺は、そのストーカー的な行動に、少し身震いする。


 でも、圧倒的な実力を持ちながらも、そこまで強引には来ないあたりは少し救われているのかもしれない。


 アオイさんは性欲を満たしてあげれば、その後は暫く大人しい。


「......気持ちは分かるかも。だから、そんなに怒れないんだよね」

「え?」

「......もうカツ無しじゃ生きられないって事!」


 そう言ってセリアは俺に抱きついてきた。


「私、強くなるから」


 セリアは俺の胸の中でそう呟いた。

****


 今日も清涼シャンプーは大繁盛している。


 衛兵たちの要望により夏の間に限って、週2回の営業を週3回に増やしていた。


 回数を重ねるごとに、魔法の扱いにも慣れてきたのだが、俺はふと疑問に思った。


 そんなに魔法が難しくないということに......。


 セリアから聞いた話では無詠唱で魔法を扱うのは高度な技術だと聞いていたのだが、俺は『水の魔法』の一部の魔法をたった1日で、イメージするだけで使えるようになっていたのだ。


 セリア曰く、使う回数が多かったからではと言われた。


 普通の魔法使いでは考えられないほど何回も呪文を唱え魔法を使うイメージを覚えていったのではと。


 衛兵の人たちは脳筋なのもあり、そもそも魔法の用途が特殊なため、それほど深く考えていないようだが、通常では考えられないほどの魔力を俺は日常的に使っているらしい。


 

 今では同時に4人のシャンプーをしながら『氷の魔法』の温度低下を周囲に使っている。


 まだ、覚えたばかりなので無詠唱では使えないが、クーラーのないこの世界。

 元の世界での冷房の効いた部屋に慣れていた俺には、夏には必須の魔法になりそうだ。


 ちなみに『氷の魔法』は、かなりの魔力が消費されるので、一般にはあまり使われない魔法らしい。



****


 一方、セリアは任務の合間を使い、アオイさん相手に剣の稽古を受けていた。


「筋は悪くない」


 アオイさんはそう言って、剣を打ち込んでいく。


 言葉での指導など無い、見て覚えろと言わんばかりの激しい稽古だ。


「ぐはっ!」


 セリアは腹部への攻撃を受けて膝を突いた。


「今日はここまでだ」


「くっ! まだまだ出来ます!」


「ここまでだ」

アオイさんは、静かな口調でそう繰り返した。


「......はい。ありがとうございました」

セリアはうなだれながら、そう答えた。


「約束......楽しみにしている」

アオイさんは地面に膝を突くセリアに背中を向けたまま口元を怪しく歪めてそう言うと、訓練所を後にした。


****


 家に帰り、セリアの鎧を外すと、その痣だらけの身体に驚いた。


「ど! どうしたの!?」

「う、うん。......少し訓練でね」


 俺はセリアを抱き抱え2階のベッドへと運ぶ。

 そして、薬屋のディックと共に開発した薬効成分高いオイル(かなり高級品)をセリアの身体に優しく塗り込んだ。


 そして『闇の触手』で包み込み、打ち身の場所に注意しながら優しく筋肉の張りを解していく。


「ありがとう」

セリアは俺(触手)に包まれながら、少し震えた声でそう言った。


「いいんだよ、今夜は俺が作るからセリアは休んでて」


「うん。......私、強くなるからね」


「え? う、うん」



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