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キャラは作者の知識で生きも死にもする

作者: RK

 キャラクターの知識は作者の頭の中にあるものです。

 なぜなら、キャラクターというのは作者の妄想から生まれた存在だから。

 出所が同じであれば、知識は共有しているのも当然なわけです。

 さて、ここで天才という設定を持つキャラクターがいるとします。

 このキャラクターの天才をたる部分を発揮するには、作者が天才でなければなりません。

 しかし、作者の全員が天才であるはずがありません。

 ならば、天才じゃない作者に天才キャラは書けない?と言われるとそうではないでしょう。

 勿論、知識は必要です。並程度にはないと話になりません。

 ですが、天才キャラを天才に見せるには、魅せる演出、というのがあればいいのではないでしょうか?

 同じことをやっていても、演出によって見せ方を変える、という手法ですね。

 見える角度が違えば見えるものも違う。

 例えるならマジックショーでしょうか。

 後ろから見てしまえばくだらない仕掛けのものも多々あります。

 ですが、正面から見れば得体のしれない、しかし目を惹くパフォーマンスの数々に驚きの声を上げざる得ない。

 小説は文章のマジックショーと考えるのがいいのかもしれませんね。

 馬鹿正直に

 剣を振った。受け止められた。刃が欠けた。敵は強い。


 と書くよりも


 剣閃が宙に弧を描く。数々の死を生みだしてきた死の線。しかしそれは途中で遮られた。

 ギィン!金属と金属がぶつかり合う甲高い音が響いた。それと同時に剣を持つ腕に重い衝撃が走る。

 敵の振るった剣がこちらの剣にぶつけられたのだ。その衝撃は凄まじい。

 名剣として名高い天才の剣の刃が欠けているほどに。

 いや、それだけでは刃こぼれなどしない。敵の技量、膂力、そして剣。そのどれもがこちらを上回っているのだ。


 と書いた方が臨場感もあって敵も強そうに見えませんか?

 私は武術などやってないのでさっぱりなんですけどね。

 なんにしても、作者の知識が必要なのは勿論です。

 調べて書かないと説得力がないからです。

 曖昧な表現に頼るのもいいのですが、ここぞ!と言う時にインパクトが薄れてしまいます。

 天才発明家が発明について説明するのに、


「『火を吹くマシーン』はたくさん空気があれば勢いよく火を噴くのだ!」


 と


「空気中の酸素を吸い込み、機械の中で圧縮。高濃度の酸素を取り込むことで炎の勢いを上げる。そう。この『火を吹くマシーン』は周囲の空気があればあるほど炎の勢いを強めることができるのだ!」


 だとどっちが頭良さそうですか?どっちも頭悪そうですね。すみません。

 でしたらフィーリングで構いません。私は化学にも詳しくないので間違っていたら赤っ恥ですが。



 あとは軍師系のキャラであれば絶対にやってはいけないのは過程をすっ飛ばすです。

 敵が来た。軍師系キャラが不敵に笑う。


「大丈夫だ」


 すると敵がバタバタと倒れて行く。


「これが私の作戦だ」

「素晴らしい!軍師系キャラよ!我が軍に入ってくれ」

「わかりました、この頭脳を使って貴方を大陸一の王にしましょう」


 何をどうやって敵を倒したのか説明しないと、作中のキャラクターよりも読者が呆然ですよ。

 私は戦略と戦術と作戦の違いが分からないので割愛しますがこれが変なのはわかります。

 今も番外編をやっているブラックナイツを率いるインド人が生んだ人類史上最大の発明の名前を冠する指揮官の話を思い浮かべていただければ分かると思います。(反逆のルルー○。)

 彼のやっている事を種明かし無しで見ていると考えたらいいでしょう。

 すると展開が突飛なだけのトンデモアニメの完成です。



 小説とは神(作者)が生み出した活字だけの世界です。

 キャラクターは神(作者)以上に賢くなることはできません。何をどうあがいても不可能です。

 作品を面白くさせるのは作者の手腕です。キャラクターを好きになってもらうには作者が頑張らないといけません。

 作者がキャラクターを愛するのは当然です。しかし、その愛を一身に受けたキャラが読者から嫌われる。

 愛されるキャラを作ったはずなのに……と嘆く前に考えましょう。

 キャラの見せ方は悪くないかと。

 頭いい設定なのに頓珍漢なことを言っていないか。

 ストーリーの展開上で発言や登場のタイミングをやらかしていないか。

 心理描写は足りているか。背景描写は足りているか。

 貴方の見せ方ひとつで、キャラの魅力は良くも悪くもなります。

 折角生んであげたキャラクターなのです。

 主人公やヒロインが読者のヘイトを稼ぐなんて展開みたくはないでしょう?


 ここまで書いきましたが、勘違いしないでほしいのは並み程度の知識を持っている事。天才でなくても天才は書けますが、天才に近づける為にはやはり知識は欠かせないのです。

 天才ではなくても、天才に近づく努力は欠かせません。

 私の体験談として、虫関連の話を書いたときに虫に生態について調べるんですけど心が折れました。気持ち悪すぎた。

 勉強には苦難が伴いますが、それがあればこそ描写を丁寧に出来るし、物語も輝きます。


 だから読者からつっこまれる、ということは勉強になる、ということを覚えておきましょう。

 悪い点を鋭く、的確に、そして丁寧に抉ってくる読者は貴重です。自分の知識が足りなかったのかが分かりますので。

 それを糧に、愛される作品を生みましょう。


 ただし、抉りすぎると作者は死にます。キャラが死ぬ前に、更新が死にます。

 マイルドにしてあげると、泣いて喜びます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] そう、そうなんだよっ! と頷きながら読ませていただきました。 [一言] 作者おバカのくせに超頭脳派主人公によるSF本格バトルのあるTS恋愛小説、というものを書いてしまった作家です、どうもこ…
[一言] 返信、ありがとうございます。 先は中途半端な感想で申し訳ありません。 「そのとおりである」と認めたあとが実際の問題ではないかと思います。 そのあとに「学べ」ば、天才でなくともそれに近づける…
[一言] >ならば、天才じゃない作者に天才キャラは書けない? 例に挙げられているものよりも、「そのとおりである」と考えたほうが簡単な気もします。
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