幸せはすぐ側に。
「好きです。」
定番の校舎裏。
私はずっと片想いをしていた人を呼び出して告白をした。
彼は少し困った顔をして、
「他に好きな人がいるんだ」
と、目をそらして言った。
「うん、わかってた。好きな人の好きな人くらい。ありがとう。」
それから私は、彼が少しでも振ったことを後悔すればいいと思ってダイエットをしたり、仕草や態度を女の子らしく意識して変えてみた。
周りの友達は、
「痩せて綺麗になった」とか
「女子力が高い」とか言ってくれる。
でも肝心のあなたは、私がどんなに努力をしても私じゃない。
私がダイエットをしても、
いくら内面を変えても、
私のことを少しも見ていない。
「せっかく頑張ったのに無駄だったのかな…。」
彼があの子を見ている姿を見て思わず涙が溢れそうになった。
私は幸せになれないのかな…
「少しも無駄なんかじゃねーよ。」
振り返ってみると彼の友達。
「聞こえちゃったかぁ〜…」
思わず目をそらして笑った。
「うん。まだ好きなんだな。」
隣に座って優しく問いかけてくる。
私はその問いかけにびっくりして
「え、私が好きなこと、知ってたの?」
と、思わず聞いた。
彼はニコッと笑う。
「俺も、好きな人の好きな人くらい、わかってるからさ。」
時が止まったかのように驚いて私は固まってしまった。
風は少し暖かくなってきた。




