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図書館の番人  作者: トリブレイシオ
第一章 祝福の儀式と森の精霊
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第五話 森と獲物と幼馴染と

遅れました~。

データが消えるという大惨事。

バックアップをとっておいてよかったと痛感した筆者なのでした。


再利用っていいですよね。(今回の場合は二重の意味で)

「おーい、準備できたか?」

「あっ、できたよ。

 ちょっと待ってて」


 そういって俺はいろいろな道具なんかをつめたリュックサックを背負い、弓を持って下へと向かう。

 初めて森に行ったときからずっと使っているお気に入りの弓だ。

 まだ大きさは大きいけどもう少しすれば多分ちょうどよくなるだろう。

 俺は新品の物よりもどちらかといえばずっと使っている手になじんだものの方が好きなタイプなのでこの弓をずっと使っていこうと思っている。

 まぁ、完全に壊れてしまった場合は仕方がないけれど。

 この弓はフードをかぶったちょっぴり怪しめの人がくれた弓で、最初は大丈夫なのかなと思ったけれど、実際に使ってみるととても手になじむいい品であったのだ。

 いつか会うことがあればぜひお礼を言いたいものだ。


 というわけで俺は森への準備が整ったことをもう一度確認して外へと向かう。


「忘れ物はないな?

 今日は三時間程度入るからいいな?」

「うん、大丈夫だよ」


 そういうが子供の言うことだからかもう一度チェックされて、俺は森へと向かうのであった。




「おっ、薬草見っけ」


 森の中で薬草の一種であり、うまく調合すれば低級ではあるが回復薬となる薬草だ。

 最近は調合についても教わっているのでまだ成功率は高くはないものの自分でも作ることはできるため、自分の練習に使う分をこうして補充していくのだ。

 自分で使うものは自分で調達、これ調合師の基本なりとは師匠の弁。

 まぁ、当たり前といえばあたりまえだよな。

 これが調合を教えてもらうときの第一条件だったのだ。

 というわけで森に入ってから俺は薬草なんかをどんどんと採取していく。

 もちろんとりすぎは厳禁なのでほどほどにだ。


 まぁ、いうなれば里山と同じイメージだな。

 人は山から食糧や木材などをもらうことができ、山は人間の手が加わることによってさらにその山のバランスを整えてもらう。

 寄生ではなく共生、ともに利益を与えあう存在。

 うん、いいものだなぁ~。

 お互いが助け合って生きていく、地球の人間にもこういう点が必要だったと今ではそう思えるよ……。

 とまぁ、ちょっぴり詩人になった様な気分で採取を続ける。

 父さんも採取を中心に森の中の見回りを行っている。

 魔物の痕跡などを探しているのだ。

 基本的に魔物は人を見ると襲ってくる習性をもっているため、人間からすれば完全な悪であり即座に討伐されなくてはならないものとなっている。

 間違って村にでも侵入されたら大騒ぎになるからな。


 おっ、これはいいものゲットかな?

 木の陰に隠れていたさっきまで取っていた薬草のちょうど上位互換になる薬草を見つけ、自然と頬が緩む。

 最上級には程遠いが(最高級の物はこんな場所ではなくもっと空気中に漂う魔力が多い、つまり、魔物が強いエリアにしか生えていない)それでもここら辺で取れるものとしては最もいいものに分類される。

 この薬草のほかにいくつかの素材を用いれば、普段作っている回復薬よりも回復率が倍近くになるそうだ。

 とはいえ、俺にはまだこのレベルの調合なんてできないんだけどな。

 師匠に渡せばきっと喜んでもらえるだろう。

 おっ、このきのこもいいな。

 そんなこんなで森の中でいろいろと素材を見つけていくのであった。




「いた」


 森に入って大体二時間程度であろうか。

 薬草やキノコなんかを十分な量確保した俺と父さんは本日の昼食兼夕食を求めて狩猟を開始していた。

 今現在の獲物は鳥(参照スキルの結果、キジの仲間らしいということが判明している)が一匹だ。

 そして、次なる獲物を求めて森の中をうろついていたのだがそんな中で一匹の獲物を見つけた。

 イノシシだ。

 結構な大きさではあるが、前に狩ったこともある獲物だ。

 とはいっても、前回は主に父さんが仕留めたんだけどな。

 というわけで、とりあえず父さんを呼び寄せる。


「父さん、いたよ、こっちこっち」


 呼び方を変えるいい機会でもあると思ったので呼び方を変えて父親を呼ぶ。

 一応前世の記憶があったせいでパパと呼ぶのはなかなか恥ずかしかったからな。

 そうやって呼び寄せる。


「ん?

 どこだどこだ……。

 あぁ、あのイノシシか。

 よく見つけたな」

「ふふん」


 ちょっぴり得意げな俺。

 褒められると調子に乗るタイプだからな。

 もっと褒めてくれてもいいんだぜ?

 とはいえ、狩りで調子に乗ると簡単にけがをしてしまうので慎重にならなくてはならない。


「イノシシを狩るときの注意は覚えているか?」

「突進が速いから気をつけることと鼻が鋭いから風下から行けってことでしょ?」

「そうだ。

 まぁ、加えるとするならば近距離の場合は牙や噛みつきに気をつけろってことだな。

 お前の場合は大丈夫だろうが。

 ウィル、お前がやるか?」

「やる」

「よし、任せたぞ」



 任されたので、音をたてないように慎重に近づいていく。

 俺の射程に入った時点で息をひそめて機をうかがう。

 弓の準備ももうすでに完璧だ。

 イノシシが逆方向を向いた瞬間、俺は瞬時に立ちあがり、弓を引いた。


 シュッ。


 矢が空気を切り裂き、見事イノシシの後足へと命中した

 おそらく後ろ足の腱が切れたであろうイノシシは地面に倒れもがいている。

 近づくと怪我をする恐れが高いので遠くからもう一射して完全に沈黙させた。


「おー、弓の実力をあげたな、ウィル。

 いい狙いだったじゃないか」

「ふふん。

 これでも猟師関連のクラスだからね」

「そういえばそうだったな。

 まぁ、それでもずいぶんと上達したじゃないか」

「本当は一撃でしとめたかったんだけどね」

「まぁ、それは後々慣れていけばいいさ。

 相手を一射で動けなくしているんだから問題はないしな。

 さてと、それじゃあさっさと解体してしまうか」


 そういって父さんは倒したイノシシのほうへと向かい、俺もそれに続く。

 倒すのはいいんだけど、持ち帰るのは大変そうだな。

 どうしたって俺は子供なので、筋力的には全然まだまだだと言わざるを得ない。

 まぁ、その一方で家の父親は身長もかなり高く、体格もいいためイノシシぐらいならばもてるのだが。

 ちなみに関係ないがかなりのイケメンである。

 そんなことを考えつつ、イノシシの処理を行っていく。

 血抜きなどをしておかないとさすがに重いしな。

 そんなこんなで処理を終えた後、父さんはイノシシを担ぎ、俺は先ほど獲った雉を持ち森の入り口へと向かうのであった。




 だんだんと森の出口が近づいていく中、俺はふと、『参照』のスキルを人に対してつかったらどうなるんだろうかということを思った。

 というわけで実際に使ってみる。











 名前:ウィリアム=スワンソン

 年齢:十歳

 種族:人族

 レベル:五

 クラス:狙撃手   図書館の番人   

 所属:スワンソン家

 賞罰:特になし

 スキル:一覧▼




 ふむ、これを見る限り、ステータスチェックをしていたときも参照のスキルを併用していたと考えて間違いはなさそうだな。

 見えている画面はあの時と同じだしな。

 さてと、ここからが本番だ。

 俺は前を歩いている父さんに向かってスキル『参照』を使用する。

 すると一瞬の間の後にこんな文章が浮かび上がってきた。











 名前:アラン=スワンソン

 スワンソン家の大黒柱。

 今から十八年前に当時ともに旅をしていたリズと結婚する。

 その後家督を継ぎ、二児の子供に恵まれる。

 アリンガム家に使える従者の一人であり、現当主アンドリューとは幼馴染である。




 ふ~ん、こんな風に出るんだ。

 俺の物を映すときと出方が違うのは仕様なのかな?

 そんなことを考察しつつ、森を抜け村へと戻っていくのであった。

読者「おい、どういうことだ。

幼馴染が出るって題名にも前回の後書きにも書いてあるじゃないか。

どう考えてもそれっぽい『クレア』や『ソフィー』がでていないとはどういうことだ。」

トリ「まぁまぁ、落ち着くんだ。

よくよく見返してみてくれ。

どこにも主人公の幼馴染などとは書いていないだろう?(得意げ)」

読者「……。」


ゲシゲシ。


トリ「痛い、痛いって。

分かったよ、誤るから許してくれ。

ごめんって。」


とまぁ、そんな落ちでした(笑)。

期待していた方は大変申し訳ない。


次回、今度こそヒロインが出ます。

今回は本当です。

えぇ、本当ですとも。


ふりじゃないのよ?

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