第四話 うちの家族とこの世界
うう~。
一日に二話ずつの投稿はなかなかつらいであります。
トン、トン、トン、トン。
朝の七時。
俺は朝食を食べに一階へと降りる。
家は四人家族であり、自室は二階にある。
ちなみに家の家族の名前は父親のアラン、母親のリズ、兄のラウルで最後が俺だ。
尚、兄は現在十六歳で今は将来この村で役に立つためといって王都で軍に所属している。
十五歳の時にいったのでちょうど二年ほどになるのかな?
半年に一回のペースで手紙を送ってきているのだが、それなりに活躍しているらしい。
俺も、将来旅なんかをしていれば会うこともあるかもしれないな。
さて、現在は十歳になって初めての朝食。
俺が少し前に行った農地改革のおかげでそれなりに裕福になっているこの領地では朝食も以前に比べてかなりよくなった。
大変満足である。
あんまりできすぎると、何か疑われたりしたら困るのでほどほどに見せるのにとても苦労したよ。
わざわざ、一年間ぐらいずっと土を触ったりして、そっちに興味を持っているようなふりをするとかな。
幸い、俺が前世の記憶を取り戻すよりも前も本が大好きだったから、文字を覚えたいといったのもさほど不思議がられはしなかったのは幸いだった。
この家には大して本はないのだけど、それでも何冊かはあったのでそれを読んだりして楽しんでいた物だ。
今では、その本の何ページ何行目といわれればその文章を言えるレベルだぜ?
まぁ、これは能力のせいという理由がとても大きいとは思うんだけどな。
で、まぁ、その結果いくつかこの世界について分かったことがある。
一つ目はこの世界は地球でいうところの文明レベルは中世のルネサンスより前だろうということだ。
その理由の一つとして、本がすべて手書きであり、活版印刷がまだ発明されていないと思われることがあげられる。
まぁ、一部の分野に関しては魔法がある分進んでいるんだけどな。
例えば明かりなんかは顕著だな。
今現在、すでにLEDかのような全く熱を持つことのない明かりなんてのもあるようだからな。
残念ながら、家にはないのだが。
二つ目は魔物もしくはモンスターと呼ばれる地球では見なかったようなやつらがいることだ。
我が家にあった本の内の一つである『危険度別魔物一覧~ゴブリンからドラゴンまで~』という本に様々な魔物についてが書かれていて、とても面白い物であった。
ちなみに、我が家にあった本は両親が読んでくれるような物語を除くと、
『危険度別魔物一覧~ゴブリンからドラゴンまで~』
『薬草と毒草、きのこと毒きのこ』
『歴史~国家と他民族の関係~』
『呪文集~基礎から発展まで~』
の四冊があった。
どれも面白くためになる本でこれのおかげでいろいろとはかどったといえよう。
そして三つ目はこの世界には迷宮、ダンジョンなどと呼ばれる正体不明の洞窟(の様な物)があるということだ。
ゲームの世界なんかではごく普通にあるものだったけれど、現実にはどういうものなのだろうか?
イメージは狭い洞窟なんだが、『危険度別魔物一覧』によると、どうもそうとは限らないらしい。
まぁ、これは実際に行ってみないと分からないからな。
旅に出たときの目的地の一つとして入れておくとしようといった程度だ。
まぁ、以上の三点がこの世界において重要そうなことかな。
他にもいろいろとあるけど、とりあえず、俺が興味を持ったのはこんなところであろうか。
あぁ、最後にもう一つだけ加えるとすると、俺はどうやら、通常の魔法は使えないらしい。
精霊魔法系統のスキルを持っていると、どうも人間が使う魔法は使えなくなってしまうのだそうだ。
これについては残念ではあるが仕方がない。
どうにかがんばって精霊魔法を使えるようになりたいな。
やっぱり、魔法が使えるっていうのは憧れるしね。
今日からでも少しずつ練習していこっかな。
おいしい食事に舌鼓を打ちつつそんなことを考えていると、ふとこの朝食なんかにも能力って使えないのかな?と思ったので早速使ってみることにする。
ちなみに、今日の朝食はパンに焼いた肉と野菜をはさんだものだ。
この世界、いや、少なくともこの村には米はないのが少し残念ではあるのだが、どうやら前世の俺はパン大好きだったようで今のところ米がなくてもそこまで困っていたりはしていない。
まぁ、あったらうれしいな程度である。
ともあれ実際にやってみた。
まぁ、パンはパンだから、他の二つだな。
肉
村の外の森の近くで取れたウサギ(享年三歳)の肉。
野菜
村で栽培されている葉物系の野菜。
「私が丹精こめて育てました」 (バルブロ 年齢四十三歳)
ふむ、地産地消は大事なことだよな、うん。
だがな、そろそろいい加減にしろや。
なっ、分かるだろ?
俺は別にそんなことを求めていたわけじゃないんだよ。
第一、これっていったい何から参照してるんだ?
しかも野菜のほうにいたっては生産者の顔写真つきだぜ?
生産者のバルブロさん(女性)の顔が見たいとか二十一世紀の日本のスーパーじゃないんだから別にそんなことは求めていないんだよ!!!
そんなことを考えていると母親が話しかけてきた。
「ウィル、どうかしたの?
何か考え事?」
「あっ、ううん。
なんでもないよ、ママ」
若干顔に怒りが出ていたのか心配そうにこちらを見てきたが、なんでもないよと誤魔化す。
ちなみに、呼び方がママなのは変え時が分からなくてズルズルと来てしまったからだ。
そうだな、十歳になったことだし、そろそろ呼び方を変える頃かもな。
「そう、ならいいけど」
「あぁ、ウィル。
今日は狩猟に行くか?」
「うん!」
「そうか、それじゃあ一時間後に出発な」
「分かった。
それじゃあ準備してくるね」
おぉ~、久しぶりの狩猟だ。
このあたりは魔物は少ないとはいえ、それでも多少はいるため、それの討伐も含めての狩猟だ。
俺がついていくのは一週間ぶり位になるのかな?
やがて旅に出るんだったら狩猟がうまくなっておくことに越したことはないからな。
地道なことからこつこつとだ。
というわけで、狩猟の準備をするべく、俺は自室へと戻るのであった。
「あっ、そういえばクラスに対して参照を使ってないじゃん。
使ってみるとするか」
部屋に戻って狩猟の準備をしている途中で自分のクラスに対して能力を使ってみようと思い立ち実際にやってみることにする。
まぁ、どうせまた適当な感じになりそうな気はするがな。
ともあれ、やってみなければわからないので、念じてみるといつもと同じように目の前に文字が浮かび上がってきた。
狙撃手
遠距離から一手で戦況を変えることもできる、そんな存在。
遠距離攻撃に対してプラス補正が入る。
効果はレベル依存。
レベル五現在
効果①:パッシブスキル。遠距離攻撃に対してダメージ効率五パーセント上昇
効果②:パッシブスキル。遠距離攻撃の射程が五パーセント増加。
効果③:アクティブスキル。視力向上(現在の視力から十パーセント上昇。)
効果④:アクティブスキル。隠密能力に五パーセントのプラス補正。スキル『隠密』の成長に若干のプラス補正。
図書館の番人
本などの知識の詰まった図書館の番人にしてリーダー。
すべての本から協力を得ることができる。
効果はレベル依存。
レベル五現在
効果①:アクティブスキルの『複写』、『検索』、『参照』を得る。ただし、スキルレベルの如何にかかわらず効果は安定していない。
効果②:精霊たちからの協力を得やすくなる。ただし、言うことを聞いてくれるとは限らず、その度合いは精霊との親密度に依存する。
効果③:読んだ本の内容を完全に記憶することができる。ただし、記憶はできても一部分のみしか開くことはできない。
効果④:全スキルについて若干のプラス補正。
おぉ~。
なんだ、やればできるじゃないか、参照スキルよ。
というか、参照スキルはクラスの特殊能力みたいな物だったんだな。
それでレベルが低いから、まだ安定していないと。
なるほどなるほど。
いろいろと分かってきたな。
これをみるかぎり、レベルが上がっていけば上がっていくほど能力も安定していくみたいだし、さらに強化もされていくんだろう。
いいな、これ。
ゲームのレベル上げなんかは大好物だった俺からすれば、こういうのは大歓迎だな。
よし、とりあえず矢の準備をしておこっと。
それにしても、この狙撃手のスキルもなかなか強いんじゃないか?
遠距離に関する補正はかなり高いみたいだし、それに、隠密の上昇というのもなかなかいいスキルだな。
猟を行うときなんかにこんなスキルがあればかなり役に立つこと間違いなしだろう。
レベルが上がっていけば更に上がるだろうしな。
残念ながら、他のクラスについては知らないんだが、猟をしていればいいクラスでこんなに強いってとは思わなかったな。
う~ん、一般的にこういうものなのかな?
さてと、ナイフなんかの準備も大丈夫だし、忘れ物はないな?
じゃあ、そろそろ時間だし行くとしますか。
あっ、その前に、ここのスキルについても見ておくかな。
えっと、『複写』を調べると……、
①複写機を使って、元の文章・書類などと同じ物を写し取ること。コピー。
ex)書類を複写する
②同じ物を二枚以上同時に書き写すこと。
ex)カーボン紙で複写する
③一度移してある物を更に移すこと。また、絵画を複製すること。
出典:大〇林
……。
若干『参照』スキルを見直した俺が馬鹿だったよ。
クラスに関してはしっかりと出してくれたんだから、スキルに関しても出してくれればいいじゃないか!!
裏設定についての補則をここで一つ。
基本的に祝福前は能力の伸びがかなり悪いです。
これは、神の加護がないからだという風に言われています。
ですので、主人公のステータスも別に低いということはありません。
現段階では中の上程度といったところですかね。
更に言うと、主人公の第一クラスである狙撃手はかなり珍しいスキルであり強いです。
普通に猟師をやっているとクラスは猟師というクラスになりますし、基本的にはクラスでメリットとデメリットが存在します。
この辺に関しては後々説明していくつもりです。
次回は森での冒険とやっと、や~っと幼馴染が出てきます。
とはいえ、まだまだ序盤ですし年齢的には十歳なんですけどね。
次回『森と獲物と幼馴染と』
お楽しみに~。