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図書館の番人  作者: トリブレイシオ
第三章 森の異変と魔物
33/36

第七話 魔法の検証

遅れました~。

因みになんですが、諸事情により十四日までは更新ペースが落ちたままだと思われます(今更)。

ごめんなさい。

ですが、やはり四年に一度なので見たいのです。

応援しているチームも残っていますからね。

 朝、目覚めた俺は昨日使った魔法のことを思い出していた。


(う~ん、あれは失敗だったなぁ。

 ほんの少し、そう、豆電球的な光をイメージしていたんだが、あれじゃあ使えないよな。

 あそこまで眩しいと日常で使うというよりは、敵の視覚を失わせるような使い方しかできなさそうだし。

 でも、そういう使い方はできそうだよな、いざというときにああいう奥の手があれば、少なくとも相手を混乱させることはできそうだ。

 もっとも、しっかりと操れるようにならないとまともに使えなさそうだし、さてさて、どうするかねぇ。)


 そんなことを考える。

 魔法を使うということを考えると、やはり、実際に攻撃できるような的が欲しいな。

 よし、作ってみよう!


 魔法で的を作ればそれ自体も訓練になるだろうと思い、外に向かう。

 森へは入れないが、村の中であれば問題はないだろうし、誰もいない丘ぐらいならばいくつかある。

 ついでにクレアとソフィーもつれていこうかなどと思いながら、俺は家の外へと向かっていくのであった。




「ねぇねぇ、何をするの?」


 あまり人のいない丘へと向かっていく途中でクレアが声をかけてくる。

 ここら辺は主に牧畜的なことをやっているせいで村の中でも匂いが特段にひどかったものの、最近は慣れたので特に気になっていない。

 羊なんかがのんきに草をついばんでいる中、クレアはちょっぴり退屈そうだ。


「実験をするんだ」

「実験?」

「そうそう。

 今からここに大きな土の壁を造るんだ」

「そんなことできるの?」

「いまからそれができるかどうかの実験をするんだ」

「ふ~ん、変なの」


 まぁ、確かに子供の目線からしたら変な感じがするのかもしれないなぁなどと考えつつ、クレアと話を続けていく。

 因みにソフィーは羊たちと戯れているようで、羊たちの白い毛の中にソフィーの髪の毛がぴょこぴょこと動いているのが見える。


「まぁ、見ててよ。

 今からここに壁ができるんだから」

「ふぅ~ん、本当にできるの?」

「それはやってみないと分からないな。

 よし、それじゃあやってみる」


 そういって俺はここに土の壁を造ろうと魔力を注ぎ込む。

 すると……。


「あれ?」

「できてるけど、小さくない?」

「うん、もう少し大きいのを作ろうと思っていたんだけどね」


 そこにできたのは大きさにして、高さ十センチ、横幅も十センチ、厚さが二センチほどのとても小さな壁であった。

 的の役割を果たすには困難な大きさだ。


「失敗?」

「う~ん、失敗かな。

 でも、失敗は成功の母って言う言葉があるし、こういうのを繰り返していかないと」

「どういう意味?」

「失敗しちゃっても、それを改善していくことが成功へとつながっていくって言うことだよ。

 失敗をうまく活かすことでそこから成功が生まれるっていうことからそう言われているんだ」

「ふ~ん、ママか~」


 ちょっぴりほほを桜色に染めながらクレアがそうつぶやく。


「そう。

 つまり、この失敗も意味のないことではないんだよ!」

「言い訳ね」

「言い訳っぽいですね」


 クレアに加えて、いつの間にかこっちに来ていたソフィーにまでもそういわれる。

 ふ、二人とも、なんかあたりが強いっス。


 さて、それはともかくとして、ここからどうしようか。

 なんかいい手立てがあれば……。


 そうだ!!

『複写』スキルを使って壁を造ろうと思えば作れたりするんじゃないか?

 そのぐらいの応用ならばきくんじゃないだろうか。

 そう思った俺はすぐさまスキルを利用する。

 思い描いたのは城の城壁のような物で、大きさに関しては小さめだ。

 まずは実験だからな。


 ……。

 最初に言っておくが、別にこれは失敗したときのいいわけとかではない。

 あくまで危険があるかもしれないからそうしているだけだ。

 そして……。




「あら?

 これは何の絵かしら?」

「大きいお城みたいですね

 すごい上手です」

「ま、まぁな」


 実際には失敗したのだが、さも成功したかのように告げる俺。

 くっ、そんなに都合よく行くわけはなかったか。

 所詮『複写』スキルは複写って言うだけあって書物を写すような効果しかなかったようである。

 まぁ、当然といえば、当然だな。

 仕方ない、この方法はあきらめよう。

 もともとそんなに期待していなかった……といったら嘘にはなるが、他にもやりようはあるだろうさ。

 ソフィーがつれていた羊を撫でながらそんなことを考える。

 若干おびえているような気もするが何でなのだろうか、動物とは不思議なものである。


 その後、俺たちはやはりソフィーが連れてきた牛に乗ってゆっくりとそこら辺を散歩していくのであった。




 翌日。

 本日は雨。

 正直言って外には出たくない天気である。

 本当は雨の日でも訓練をしなくてはいけないのであろうが、やる気があまりない。

 雨の日は雨の日なりに訓練する意義はあるんだろうけどな。


 というわけで、今日は窓から外に向けて魔法の訓練を行うことにした。

 雨の日ならば、水の魔法を使ってもばれないんじゃねと思ったからである。

 あまり外に出ている人も多くはないので、更にばれる可能性は減るだろう。

 さてと、水の魔法を使う訓練の開始だ。


 目標は庭の一角にある一メートルぐらいの岩だ。

 距離的には十メートルないぐらいで、そんなに近くはないんだが、その分だけ威力も落ちそうだし、ちょうど良さそうな気がする。

 本日は少し思いついたことをやってみようと思う。

 いや、何かというとだ、我が家にはとある一冊の本がある。

 そう、『呪文集~基礎から発展まで~』という本だ。

 ここには精霊魔法についてはほぼ載っていないのだが、通常の魔術についてはいろいろと書いてあるため、この呪文を応用できないかなと考えたのだ。

 さてさて、実際に本をとりに行こうと思ったのだが、失敗して本をぬらしてしまうのはまずいので、普通に『検索』スキルを利用して、表示させることにする。




 ------------

 はじめに


「なぜ呪文というものが必要なの?」

「杖が必要なのはなぜ?」

「魔術って使うと危なくないの?」


 魔術を知っている者ならば誰もが疑問に思うであろう。

 まずは皆が思うこの疑問に答えていくとしよう。


 まず、呪文が必要なのはそちらのほうが効率がいいといわれているからなんだ。

 勿論、わざわざ呟いたりしなくても魔術は使える。

 でも、呪文を唱えることによって、魔術を放つまでの時間は短くなるし、魔術を使うときに使用する魔力も少なくてすむんだ。

 だから呪文という物はあるんだ。

 自分で考えた呪文を使うのもありだし、現に魔術師の中でも凄腕の人たちはその殆どが独自の呪文を使用している。

 でも、その人たちもはじめは基本的な呪文というものを学んで、それをアレンジして使っていっているんだ。

 つまり、やっぱり基本的な呪文を覚えるというのは大事なことなんだ。

 この本に載せてある呪文は、先人たちが磨き上げてきた、汎用性のある呪文なんだ。

 汎用性がある分、個人で磨き上げた物よりも効率性が落ちてしまうことは否めないけれど、ここから学べることはたくさんある。

 これをうまく利用して、自分なりの呪文というものを身に着けていって欲しい。


 次に杖についてだ、

 杖っていうのはあるとないとでは魔術の使用速度や効率の面ではるかに違うんだ。

 まぁ、形は杖に限らず、指輪の形をしているものなんかもあるんだけどね。

 勿論、その効果についてはその杖によって全然違うし、人間族以外の種族では使う魔術の種類が違うから、そんなものを必要としないという場合だってある。

 ちなみに、杖は必ずしも高い物がいいというわけではないんだ。

 人によって合うもの、合わないものっていうのがあるから、自分の感覚で選ぶことをお勧めするよ。

 魔術を使う人にとっては重要な物だから、じっくりと選ぶといい。

 こういうものを選ぶときはあせっちゃだめだ。

 まずはそんなによい物でなくてもいいけど、これだと思うものがあったら迷わず買うことをお勧めするよ。

 お金なんて気にする必要はない。

 足りなければ学校から借りたっていいんだから。

 それよりも、この本を読んでいる君たちの才能を活かすほうが重要だ。

 先生たちに相談すれば、喜んで許可してくれると思う。

 勿論、あまりにも高い物なんかは厳しいかもしれないけどね。


 さて、最後、三つ目の質問だ。

 これについての答えは簡単だ。

 危ない。

 これについては否定できないよ。

 勿論、訓練していけばしていくほど安全になっていくわけだし、制御する方法だって学んでいくわけだ。

 それでも、絶対に安全というわけじゃない。

 だから、これを読んでいる人たちに忠告をしておきたい。

 絶対に自分の力を過信しないで欲しい。

 魔術というのは人の力というものを超えている。

 それを完全に制御するということは難しいだろう。

 仮に、普段は制御できていたとしても、いざというときにできない可能性だってある。

 だから、せめて心構えだけはしておいて欲しい。

 もしかしたら自分は他の人を傷つけてしまう力を持っているということを。


 さて、なんと言うか脅しのようになってしまったが、君たちはこれから、そんな事態を起こさないように訓練を行っていくことになるわけだ。

 無論、先ほど言った心構えという物は必要だが、その心構えを持つことと、魔法に対しておびえを持つということは全く違うものだ。

 確かに危険を伴う物ではあるが、魔術という物はそれ以上に世界を、そして、君たちの人生を豊かにしてくれる物だ。

 この本が読んでいる君たちが魔術というものに触れるきっかけとなってくれれば、こんなにも嬉しいことはないだろう。

 本書によって、君の人生がより良いものになってくれることを心から祈っている。


 ------------




 ふぅ。

 最初に前書きが表示されたのでなんとなく読んでしまった。

 心構えっていうものはやはり大事なんだなということを改めて認識する。


 さて、本題の水魔法のほうにいくとしよう。

 その後に書いてある目次から水魔法のページを探し、そこを表示させる。

 最も基本となる水系統の魔法は水弾と呼ばれる魔法で、これは水分を一点に集めて放つ魔法だそうだ。

 基本的な分、術者によって威力に差がでやすいそうで、上級者になれば容易に岩を貫けるらしい。

 というわけでやってみることにする。

 俺の場合、杖は持っていないから、指先に集めることにする。

 そして呪文の詠唱を開始する。


「水よ、我が指先に集まりて……あれ?」


 呪文の詠唱が終わる前に準備が完了してしまう。

 もうすでに放てる状態になっているので、撃ってみる。

 放った水弾はきれいな放物線を描いて飛んでいき、岩の手前で落ちてしまった。


「う~ん、この詠唱は全然使えないなぁ。

 なんというか、合わない気がする。」


 そもそも放てる状態なのにもかかわらず、更に詠唱を続ける意味が分からない。

 というわけで、いろいろと削ったりしながら試してみることにする。

 そして、一つの結論に行き当たった。


「だめだこりゃ」


 どうも合わないらしい。

 呪文を短くしていっても全然合わない。

 この呪文がだめなだけかもしれないが、少なくともこの呪文に関しては合わないようだ。

 う~ん、手詰まりかも。

 まぁ、とりあえず今日一日は何も予定ないし、練習することにするかな。


 こうして俺は今日一日を練習に当てることにするのであった。

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