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図書館の番人  作者: トリブレイシオ
第一章 祝福の儀式と森の精霊
3/36

第三話 翌朝

「ふぁぁぁあああ。

 あ~、よく寝た」

 

 祝福の儀式を受けた翌朝、俺はベッドから起き上がり大きく伸びをしながら窓辺へと向かう。

 外は雲ひとつない晴れ空であり、まるで、祝福を受けた俺に対する天からの祝福であるかのようであった。

 

 日の光をゆっくりと浴びてから簡単な準備体操を行う。

 

 時刻は六時前。

 朝食は七時からなのでまだまだ時間には余裕があるのでのんびりじっくりやっても問題はないだろう。

 

 ちなみに、準備体操というのは柔軟と軽い筋トレだ。

 本当はもっと筋トレとかをやっておいたほうがいいのではないかと思ったのだが、自分の知識の中に「幼いころから筋トレをしすぎると背が伸びない。」という知識があったためほどほどに済ませているのである。

 

 その代わりと言っては何だが、柔軟に関しては毎日地道にやってきていたため、体がとても柔らかくなっている。

 前世での俺は体はとても硬かったらしく、足を伸ばして座ると後ろに倒れていってしまうレベルであったようだ。

 その一方で運動神経はよかったので、「もしかして体の柔軟さって関係ないのかな?」なんて思ったりもしたものの、体が柔らかければけがをしたりすることも少ないだろうし、この世界であればそういうところが生死を分けることもあるだろうからな。

 というわけで、おれは六歳のころから柔軟体操をやっているわけだ。

 子供であったということもあってか、そこまで苦労せずに今の状態まで持って行けたので、早くからやってよかったと思っている。

 前世の俺の大人になってからの柔軟なんて言うのは地獄だったからな。

 後ろから押してもまず倒れないっていうね。

 まぁ、前から押されれば簡単に後ろには倒れたんだけど。

 

 てなわけで、足を大きく開いて上体を前に倒すという基本的な柔軟運動をする。

 今ではもう、胸が地面に着くレベルまで自力で倒せるようになった。ペッタリと地面に張り付きながら、昨日の祝福について考える。

 

 それにしても、図書館の番人か。

 かなり便利そうな能力だよな。

 読んだ本の中身を全部覚えることができるわけだから、旅に出たときに、薬草なんかも全部覚えられる。

 すごく楽そうだし、モンスターの弱点なんて言うのも問題はないだろうしな。

 ん?

 あれ、なんか忘れているような気がするぞ?

 う~ん、何をしようとしていたんだっけか。

 え~っと……。

 

 あっ!!

 そうだ、自分のスキルの確認をしていないじゃないか!!

 スキルが表示されてなかったのをすっかり忘れていたよ。

 まったく、何を忘れているんだか。

 よし、それじゃあ今のうちに確認してしまいますか。

 そう思い出ろ~、出ろ~と念じる。

 すると、昨日と同じように自らのステータスが浮かび上がってきた。

 

 

 

 名前:ウィリアム=スワンソン

 年齢:十歳

 種族:人族

 レベル:五

 クラス:狙撃手   図書館の番人   

 所属:スワンソン家

 賞罰:特になし

 スキル:一覧▼

 

 ふっ。

 俺は同じ失敗を三度も繰り返すような男じゃないんだよ。

 まぁ、今回の場合は失敗していても、そこについては何の関係もないわけだし、問題ないんだがな。

 さてさて、えっと、ここからどうすればいいんだろうか。

 確か、スキルを見よう、見ようって思えばいいんだったかな?

 そう思って念じると画面が変わった。

 

 

 

 名前:ウィリアム=スワンソン

 年齢:十歳

 種族:人族

 レベル:五

 クラス:狙撃手   図書館の番人   

 所属:スワンソン家

 賞罰:特になし

 スキル:一覧▲

 ・武術▼

 ・魔術▼

 ・生産▼

 ・隠密▼

 ・特殊▼

 

 おお、なんか増えた。というか、割と細かく分けられているんだな。

 まぁ、おそらく、持っている系統のみが表示されているんだろうが、魔術ってなんだろうか?

 俺は魔法なんてものは使えなかったはずなのだが。

 まぁいいさ。

 とりあえず、開いてみるとしよう。

 そう思い、俺はスキルの詳細を見てみることにした。

 

 

 ・武術▲

 

 弓           (Lv.6)

 経験値          139/700

 

 短剣          (Lv.4)

 経験値          301/500

 

 投擲          (Lv.2)

 経験値          278/300

 

 体術          (Lv.8)

 経験値          21/900

 

 

 

 ・魔術▲

 

 精霊魔法        (Lv.0)

 経験値          0/100

 

 ・生産▲

 

 採取          (Lv.5)

 経験値          222/600

 

 武器作成        (Lv.3)

 経験値          121/400

 

 罠作成         (Lv.2)

 経験値          143/300

 

 調合          (Lv.1)

 経験値          67/200

 

 

 

 ・隠密▲

 

 気配察知        (Lv.3)

 経験値          121/400

 

 隠密          (Lv.3)

 経験値          379/400

 

 ・特殊▲

 

 複写          (Lv.0)

 経験値          0/100

 

 検索          (Lv.4)

 経験値          387/500

 

 参照          (Lv.0)

 経験値          30/100

 

 

 

 はは~、なるほど、こんな風に出るのか。

 教会で見せてもらったものとはだいぶ表示の仕方が違うが、おそらくは自分で見るときはこうなるみたいなことなのであろう。

 経験値とかまるで、ゲームみたいな気がするな。

 

 ともあれ、個々に見ていくとしよう。

 なるほど、まぁ、基本的には最近鍛えていたりした物のスキルが出ている感じだな。

 自分で使う弓矢なんかをつくっていたから、武器作成のスキルがついたんだろうし、罠やなんかも狩猟で使うからといって教えてもらったものし、調合も今教わっているところだからな。

 それに隠密と気配察知は、狩猟のときに使っていたからだろうな。

 まぁ、それでも、二つに若干の差は出るようだが。

 

 まぁ、やったことのあるような物はいいんだ。

 だけどな、どう考えても俺が使ったことのないスキルがいくつか出ているんだ。

 これはいったいどういうことなんだ?

 

 ちなみに、ここでいっているいくつかとは

 

 精霊魔法        (Lv.0)

 経験値          0/100

 

 複写          (Lv.0)

 経験値          0/100

 

 検索          (Lv.4)

 経験値          387/500

 

 参照          (Lv.0)

 経験値          30/100

 

 の四つのことである。

 こいつらは、いったいなんなだろうか。

 

 まぁ、この中でしたの二つはなんとなくわかるんだ。

 検索っつうのは恐らく、本の中身を思い出す事なんだろう。

 参照は、多分この自分のステータスを見る時に使ったんじゃないかと予想できる。

 なんせ、経験点が三十点で、三の倍数なことから、一回につき十点であれば、切りもよく、計算も上手く合うわけだからな。

 

 だがな、他の二つは全く心当たりも何もないんだ。

 どうしたものか……。

 

 まてよ、この参照というのを使えば、これらについてよくわかるんじゃないか?

 よし、早速やってみるとしよう。

 これで、おそらくはこの能力が分かるというのがお約束だろう。

 神は乗り越えられる試練しか与えない物なのさ。

 というわけで、複写について参照をしようと思い、そう念じると参照の経験値が十増えて、複写の説明が浮かび上がってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ①複写機を使って、元の文章・書類などと同じ物を写し取ること。コピー。

 ex)書類を複写(・・)する

 ②同じ物を二枚以上同時に書き写すこと。

 ex)カーボン紙で複写(・・)する

 ③一度移してある物を更に移すこと。また、絵画を複製すること。

 

 出典:大〇林

 

 

 

 ……。

 違っがぁぁぁあああああう!!!

 いや、意味的にはあってるかもしれないけど、知りたいのはそこじゃないんだって。

 この能力がどういうものかを知りたいのであって、その言葉の意味を知りたいわけじゃないんだよ!!

 全く、なんでこうも、この世界の能力っていうのはユーザーに不親切なんだ。

 日本だったら、即刻競争に敗れてつぶれてるぞ。

 まぁ、もし会社だったらの話なんだがな。

 さて、どうしようか……。

 

 

 

 よし、なるほどな。

 とりあえず、いろいろと確かめてみて分かったことがあるのでいっておくとしよう。

 まず精霊魔法についてだが、これは精霊を用いた魔法らしい。

 えっ、そんなことは分かってるって?

 ま、まぁ、まずは基本が大事だってことさ。

 本題はちゃんと別にあるわけだ。

 それでな、なんとこの精霊魔法、使用するのはエルフなんかで、人族が行使することはまずないんだってさ。

 どうよ、かなりいい情報なんじゃない?

 えっ、それも知ってるって?

 そんなバカな。

 まぁいい、というわけで、何ができるかは実際にやってみなきゃわからないので、今日のお昼にでも試してみることにしよう。

 

 さて、続いて複写についてなんだが、これはさっきの辞書からの引用が思いのほか役に立ったよ。

 要は、何かをコピーする能力みたいだ。

 何かっていってもとりあえず今の段階でできるのはたいしたことはなくて、せいぜい文字を数行地面なんかに彫ることができる程度なようだがな。

 おそらく、これからレベルが上がっていくにつれて進化していくんじゃないかなと思う。

 まぁ、これについてはこれから検証していけばいいだろう。

 それじゃあ、下から朝食のいい匂いもしてきたことだし、食事を食べに行くとしますか。

 早く能力の検証をしたい気持ちはあるけど、腹が減っては戦はできぬって言うしな。

 食事は基本中の基本だ。

 

 こうして俺は朝の日課であった柔軟体操なんかを終えて朝食を食べに向かうのであった。

能力についての考察ですね。

次回は家族や、この世界の説明の予定です。

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