第一話 来訪者
第三章の開始です。
200字で分かる第二章のあらすじ
クレアとソフィーが祝福を終え、村では平和な日常が過ぎていった。
そんな中でウィルはふとしたことから霊峰ベルフルーヴがアリンガム家の所有地だということを知り、そこから少し村の外のことに興味を持ち始める。
それと同時期、ウィルは新たなスキル、『職業検索』に目覚め、そのスキルを用いた結果、クレアとソフィーをそれぞれ「騎士」から「上位騎士」「飼育委員」から「飼育委員長」へと昇格させることに成功したのであった。
(200字)
とある夏の晴れの日、朝日がさんさんと大地を照らす中、村へとつながる一本道を幾つもの馬車が連なってあるいていた。
そう、年に二回ほど訪れる商隊である。
春の初めと夏の真ん中の二度、この村には商隊が訪れる。
王都から見て東北東の位置にあるこの村は冬はかなりの寒さとなり雪も積もるため商隊などが来ることはないのだが、それ以外であれば村にいたるまでの道には魔物が殆どいないため、ただ距離が長いことを除けば誰でも行くことが出来る。
そのため、そんなに高頻度ではないものの、年に二回はこの村にも商人がやってくるのであった。
ちなみに、ここから一番近い大都市までは一週間弱かかるらしい。
この商隊はその都市からやってきているのだそうだ。
無駄に時間がかかるこの村になぜわざわざ来るのかとはじめは疑問に思ったのだが、どうやら、この村では岩塩が取れるらしい。
そのほかにも様々な薬や毛皮など、他の地域ではなかなかの値段で売れるものが数多くそろっているため、割と利益が出やすいんだそうだ。
まぁ、詳しくは知らないんだけれども。
それでも、商隊の荷物を見ていれば行きと帰りで帰りの方が荷物が多いことからもこの村の商品を持ち帰ることが主な目的だということが見てとれる。
加えて、ここら辺では最もおいしい農作物まで作るようになってしまったものだから、恐らく今年の帰りの荷物は相当な量になるのだろう。
現に馬車の数も去年に比べて結構増えている気がする。
ちなみに、運搬には温度を下げる魔法道具を使っているのだそうだ。
氷は作れないけど、十度前後には温度を下げられるらしい。
現代でいうところのチルド便みたいなやつだね。
流石魔法、便利だな~。
俺もはじめの一年(六歳)のときは見ているだけだったのだが、二年目では自分で獲った獲物の毛皮を売ってそのお金でちょっぴり買い物をしてみたり、三年目、四年目では割といろいろなものを交換してもらったり、こんなものがあったら持ってきてくれと依頼していたりもしていた。
というわけで、商隊が来たという連絡を受けた俺は訓練をすぐさま止め、商隊のほうへと向かっていったのであった。
「お久しぶりです、レミジオさん」
「オーッ、ウィル、元気か?」
俺が売るための商品をもってまず最初に挨拶をしたのはレミジオさんというこの村への商隊には毎回来ている商人だ。
どうやら父の知り合いらしく、始めに、「獲ったものを売りたい」と父さんに言ったらこの人を紹介されたのだ。
がっしりとした体格で高身長の彼はなかなか怖いが、根は優しい人であり、俺より三つほど年上の娘がいるんだそうだ。
ちなみにトラの獣人さんらしい。
はじめてみた時はびっくりしたよ。
彼がまぁはじめてみた獣人さんなんだけどな。
なんというか、尻尾と耳がついているというのがなんかこう新鮮でな。
初めの頃は思わず尻尾を目で追ってしまったよ。
まぁ、これに関しては今もその傾向はあるんだけど。
そんな彼なんだが、子どもの俺に対してもきっちりと対応してくれるので、俺としてもやりやすい。
ただし、立ったまま話す場合、ずっと上を向いていなくてはいけないので首が結構つらい。
まぁ、俺と話すときは座ってくれるんだけどな。
多少ぼったくられているのかもしれないが、いろいろと教えてもらったりもしているので、その授業料と個人的には思っている。
「はい、今回も獲った物とかがいろいろとあるので売りたいんですけど……」
「おう、ちょっと待ってな。
こっちもこないだ頼まれていたモンをいくつか持ってきてあんだ」
「ありがとうございます」
そんなこんなでいろいろと商品を売買していくのであった。
「そういえば、こんなモンを知ってっか?」
売り買いをし終わり(結構いろんなものを売り買いした)、少しだけ俺の方プラスだったので、残りの分として銀貨一枚を手に入れた俺はその銀貨をしまっている最中にレミジオさんからあるものを見せられていた。
宝石のような石で色的に考えるとアメジストかな?
「なんですか、これは?」
「まぁ、じかに見る機会はあんまないわな。
こりゃぁ、魔石っちゅう、まぁなんだ、魔物だけが持つ特別な石だ。
ほらよ」
そういってレミジオさんはこちらへ投げてくる。
それをつかんだ俺の手からは確かに魔力が感じられる。
「魔石っちゅうんはなかなか使用用途が多くてな、魔法道具の動力源に使ったり、薬関係の原料になったりといろんなことに使っとる」
「へぇ~、そうなんですか」
一瞬、魔法石の一種なのかなとも思ったのだがどうやら違うようだ。
手に持っている感触が全くの別物であることを告げている。
「魔法道具の動力源にはほぼ必ずこの魔石が使われておる。
こいつの特徴は魔力を溜め込むことが出来るってこったな。
んで、刺激を与えたりすると、その魔力を放出するっちゅう特性をもっとる」
「なるほど~」
「その刺激の与え方によって、一気に放出させたり、徐々に放出させたり出来るっちゅうわけだ」
「は~」
「この村にもいくつかあるはずなんだが、直に見る機会はないな。
何せ危ないんだ。
扱いには細心の注意をはらわにゃならん」
「そうなんですか?」
「あぁ、魔力を過剰に入れすぎると爆発しちまうんだ。
まぁ、動力源に使われとるモンは問題ないんだがな」
「そうなんですか。」
「あぁ、ああいうのに使われとるやつは一度砕いてから専用の安定剤なんかで、安定化させているから、ある程度の魔力の過剰供給に関しては問題なくなっとる。
うちの商隊がこの村に最も多く持ってきてるのは魔石関係だぜ。
この辺じゃあ採れないからな」
手にもつ魔石を眺めながら、俺は話を聞いていく。
ちなみに大きさはちょうど俺の手に乗るサイズ程度だ。
「それはお前さんにやるよ」
「いいんですか?
これって危ないんじゃ……」
「魔石を砕かにゃ問題はない。
それにそのサイズの魔石を暴発させるにゃお前さんが何人必要かわからんよ。」
「結構な値段がするんじゃないんですか?」
「まぁ、確かにそれなりの価値はあるわな。
だが、こないだ十歳になったんだろ?
その誕生祝いだ。
お守り代わりとしてでも持っておけ」
「ありがとうございます」
こうして俺は魔石というものを手に入れることに成功したのであった。
う~ん、なかなか綺麗な色だなぁ。
「それじゃあレミジオさん。
今日はこれで。
お祝いの品、ありがとうございました」
「おう、またな」
片手を挙げてウィルを見送る俺。
俺ぁ小さい子供なんかは大好きなんだが顔が怖かったり体がでかかったりするせいで如何せん怖がられることが多かったんだが、あいつとその幼馴染だっていう二人は俺をあまり怖がらない貴重な子供たちだ。
もっとも最初のうちは幼馴染だっちゅう二人のほうはかなり怖がっていたんだがな。
多分っちゅうか間違いなくこの顔の傷なんかも怖がられる要因なんだとは思うんだがこればっかりはどうしようもない。
消そうと思えば消せるんだろうがな。
とまぁ、自分の娘にも小さい頃は怖がられていた俺だが、この村とは長い付き合いなモンでウィルの産まれたときから知っている。
それでだ、ウィルは赤ん坊のときから俺を見ても一切泣かなかったんだ。
普通なら俺が抱っこした瞬間泣くもんだがそんなことも一切なかったんだ。
生後半年の赤ん坊に泣かれず抱っこできたなんざ初めてだぜ。
あん時は感無量で思わずこっちが泣きかけたもんだ。
それはともかく、そんな少し変わったやつなんだが、あいつはとにかく頭がいい。
実際に話しかけたのは七歳の時なんだが、あの年で商売についていろいろと聞いてきたりするほどだ。
いやぁ、あいつは絶対大成すると思うね。
商人として、獣人としての勘ってやつだ。
まぁ、そんなわけで俺の持っている魔石の中でもかなり高価なものをあいつにあげたわけだ。
小さい魔石は魔物を呼び寄せるといわれてんだが、よりいい魔石は魔物を遠ざけるといわれているからな。
貴族のお坊ちゃんなんかは、良質な魔石をわざわざ高い金を出して買ってお守りとして持っておくらしい。
そういう風習にあやかってあげたっちゅうわけだ。
俺は怪我をするまでは冒険者をやってたんで魔石は買わなくても問題がなかったしちょうどよかったんでな。
さてと、それじゃあとりあえず戻るとするか。
こうして俺は商隊のほうに戻ったのだった。
「本当に行くのですか?」
ウィルとの商談が終わり、皆が集まっているところに戻った俺は今回の護衛を担当した人たちの一部である冒険者たちの集団に問いかけた。
普段のしゃべり方はあれだが、俺も一応敬語を使おうと思えば使える。
最近の勉強の賜物ってやつだ。
その冒険者は護衛として雇うための料金は要らないからその代わり荷物の一部を載せていってくれといって俺たちの護衛をしてきたグループなんだが、どうやら、王都のほうでも有力なとあるギルドの一団なんだそうだ。
俺からみりゃ大したこたぁなさそうなやつらだったが、村までなら積み荷もそこまで多くはないし馬車のスペースなんかは余っているため、なんら問題はなかった。
……こんなやつらでなければ。
いざという時戦える数は多いに越したこたぁないし、俺も怪我で万全っちゅうわけじゃないからな。
護衛のための料金が無料というんならばそれは商人にとっては利点しかない。
まぁ、こいつらはプライドだけが以上に高いせいで若干うざったいたぁ思ったがまぁ、多少はしょうがないだろう。
こういうやつらの対応は割りと慣れている。
リーダーは貴族であったらしく、いちいち癇に障る野郎だったが、それでも、それでも死にに行くのを止めないっちゅうわけにはいかんので、一応問いかけなくちゃならん。
いってしまえば、こいつらは霊峰ベルフルーヴへと向かおうとしていたっちゅうわけだ。
正直見ていてこいつらがあそこで通じるとは到底思えん。
俺でさえギリギリであったほどだからな。
「もちろんだ、そのためにわざわざ王都から遠く離れたこんな辺境の地まで私が来たのだからな。
まったく、あんな依頼さえなければわざわざこんなところまで来たりはしないものを」
若干きれかけるがここは我慢だ。
貴族相手はこれだから面倒くさい。
全く、貴族だと分かっていれば雇ったりはしなかったものを。
ベンのやつそういうところをしっかり調べとけってんだ。
心の中で悪態をつきつつ俺は問いかける
「ですが、正直にいいますと貴方方だけでは厳しいのではないかと思うのですが。」
「黙れ、貴様のような商人ごときに何がわかるというんだ。
よし、行くぞ、お前ら。
さっさと終わらせて、早く王都に帰るぞ」
準備を終えて彼らはこの場を去っていく。
あぁ、イライラする。
なんなんだあいつらは。
貴族であるため、手を出すわけにはいかんがそうでなければ即座につぶしているところだ。
そこに落ちていたこぶし大の石を手に取り握力で粉々にしてストレスを発散した俺はその後、村のほかの人たちとの売買を行っていくのであった。
正直見にくかったような気がします。
こういう話し方をする人の一人称っていうのはだめですね。
後々書き直すかもしれません。
そして、思ったよりも貴族の描写が難しいなと思いました。
セリフがこれしかないのにちょっぴり時間を使ってしまいましたから、出番が長くなってくるとちょっと危ないかもです。




