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図書館の番人  作者: トリブレイシオ
第二章 幼馴染たちの祝福と村での生活
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第九話 昇格

 ソフィーの誕生日が過ぎて約一月がたったころ。

 俺は二つ目のクラスである「図書館の番人」のスキルの一つ、『職業検索』の一部をクレアとソフィーに明かすことを決意した。


 まぁ、今のところはすべてを明かすつもりはないので、何かしらのアイテムのせいにでもするつもりなんだけど。

 二つクラスを持っていたりしてしまうといろいろと特別扱いされてしまう可能性だって低くはないというか、むしろ高いからな。


 もちろん、二人ならばきっと黙っていてくれるだろう。

 それに、ちょっと不思議な能力を持っているからといって、俺を仲間はずれにしたりだとか、そういうことをする子ではない。

 二人が信用できることぐらいはこの五年間で分かっている。


 がしかし、がしかしだ。

 所詮は子供、親に聞かれたときに言ってしまう可能性は排除しきれない。

 とくにクレアは嘘が下手だからな。

 あいつの嘘はもはや誰にでもわかるレベルだ。

 まぁ、その素直さもクレアのいいところではあるんだけどな。

 とまぁ、そんなわけでクレアはとりあえず隠し事をするには向かないので教えるわけにはいかない。

 ソフィーはクレアに比べれば大丈夫そうではあるが、片方にだけ教えるというのはちょっとよくないような気がするので両方共に全部は教えないことにしたのだ。


 また、何かの道具のおかげということであれば、この世界の道具の中には正直なんだこれというようなものがたくさんあるようなので(『女神の涙』なんていうでたらめ性能の薬品なんかもあるようだしな)そこまで問題になることはないんじゃないかな~と思う。

 まぁ、あくまでばれてしまった場合の対策なので別にいいだろう。


 そんなにばれたくないのであれば、そんなスキルなんて使わなければいいではないかなんて思うかもしれないが、これにちゃんとした理由がある。

 それは必死に頑張っている彼女たちをみると、俺が協力できるのであればしてあげたいなぁという心だ。

 努力している人に対して何もしてあげないなんていうのは最低だと思う。

 努力している人は報われるべきだとは思いますが全員がそういうわけにもいかない。

 それならば、せめて自分の目に届く範囲の人たちは助けてあげたい、そう思うのは人として当然のことではないであろうか。

 少なくとも俺はそう思います。




 さて、というわけで俺は早速やってみようということで、二人に話しかけてみる。

 二人にとっても悪い話ではないだろうし、別にいいだろうと思う。

 たぶん危険性もないだろうしな。

 本当ならば他の誰か(いけにえ)に一度試してみたかったのだが残念ながら何人にもやってしまうとそれだけばれてしまう可能性が高まるのでそれはできない。

 父さんとかならば信用できるだろうけど、まぁ、念のためってことで。

 それに、俺は自分のスキルを信じているからな。


「ねぇ、クレアにソフィー。

 少し話があるんだけどいいかな?」

「ん?

 なにかしら」

「どうしたの、ウィル」

「実はね、もしかしたら強くなれるかもしれない道具を見つけられたんだ」

「「ホントに?」」

「うん。

 ちょっと目をつぶってみて」


 そういうと二人は素直に目をつぶる。

 ごめん二人とも。

 若干実験台っぽくなってしまったが九十九パーセント問題はないはずだから。

 そう思い、村で拾ってきた石を手に持ち、二人の後ろに立つ。

(努力ナシニ生マレカワルトイウコトガドンナ痛ミヲトモナウカ……)

 ん?

 なにか不穏な声が聞こえたような気がするんだが……。

 いや、気のせいだろう。

 若干不安になってしまっているせいで、へんな緊張をしてしまっているだけだ。

 そうに違いない。

 こういう時は迷っていると恐怖心に押しつぶされてしまう。

 ならば最善策はここで思い切りよくチャレンジすべし。

 せっかく思い立ったんだ。

 だったら気が変わらないうちに実行するべきだ。


「いくぞ!!」


 その言葉と同時に画面を開き、二人の昇格を実行する。

 すると、体が光り始めた。

 その眩しさに一度眼をつぶる。

 やがて、眩しさが収まったので目をあける。

 そこには、さっきとは何も変わらぬ様子の二人がそこにはいた。


「ねえねえ、ウィル。

 まだ終わらないの?」


 相変わらず目を瞑ったまんまのクレアが俺に対してそう言ってくる。

 ん?

 今光ったのでたぶん終わったんだとは思うんだけど。


「たぶんできたと思うよ。

 二人ともステータスを見てみてよ」


 俺が二人にそう告げると二人は目を開けておそらくステータス画面を開いた。

 まぁ、おそらくっていうのは本人以外からは見えないからなんだけど。


「あれ?

 クラスが変わってる!!」

「本当だ。

 私のも変わっているわ!!」


 ほっ。

 よかったよかった。

 失敗したらどうしようかと思ったぜ。


「ホント?

 よかった~。

 なんていうクラスになったの?」


 一応知っているけど聞いておく。


「私は上位騎士ね」

「私は飼育委員長だって」

「そっか、きっといろいろとパワーアップしているだろうからね。

 よかったじゃないか、二人とも。

 これでいろいろと楽になるんじゃないか?」

「ありがとね、ウィル」

「うん、ありがと、ウィル」

「どういたしまして」


 まぁ、こっちも実験台みたいにしてしまった面もあるし、お礼を言われるほどのことでもないとは思うんだけどな。

 とりあえず成功してくれてよかったよかった。




 こうして、初の昇格は成功したのであった。

 その日は二人ともすごく喜んでいた。

 う~ん、どうしてそんなに強くなりたかったのであろうか。

 女の子だし、まだ十歳なんだから、そんなに急いで力をつける必要性なんてないと思うんだけどな~。

 それは本人たちの意識の持ちようによるものだから、人が口を出すような物ではないと思うけどね。

今回は特に波乱もなく、無事昇格の儀式を終えることができました。

よかったよかった。

終わりよければそれでよしってやつだね。




さて、第三章の開始は来週の月曜日以降となります。

恐らくは火曜日辺りになるんじゃないかなと思います。

閑話の投稿は明日か明後日です。

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