表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
図書館の番人  作者: トリブレイシオ
第二章 幼馴染たちの祝福と村での生活
21/36

第八話 ウィルの平和な一日

 戸籍制度の話や、霊峰ベルフルーヴの話なんかをした次の日の朝。


 現在、村の土地や人口のことなどについてをソフィーのお父さんを含めた従士が中心となって調べているため、俺は特に何の仕事もなく、いつものように訓練をしていた。


 そうそう、相変わらず俺は毎日の訓練を欠かさず行っているのだが、最近になって少しだけ変わったことがある。

 そう、なぜかクレアだけでなく、ソフィーも一緒に訓練をするようになったのだ。

 職業的に戦闘に向かないような気がするのだが、自分の身は自分で守れるようになりたいのだそうだ。

 まぁ、確かに、調合の素材によっては森の奥深くにいかないと採取できないようなものもあるし、物によっては戦闘が必須なものさえある。

 まぁ、そういう場合、調合師は他の人に依頼してとってきてもらうというのが普通なのではあるが、師匠は「全部自分でとれるようじゃないとその薬をつくる資格はない」といっていたからなぁ。

 どこまで本気だったのかは分からないが、もし、自分で採取しに行かなくてはいけない状況になったときそういうときに多少は心得があったほうが気持ちの面でも違うだろう。


 というわけで、ここ三週間ぐらい一緒に朝の訓練をしているのだが、なんだかんだいってソフィーは割と筋が良かった。

 体も柔らかく、身のこなしもしなやかであったのだ。

 柔軟体操なんかもあまり苦とせず、三日もかからずに足を百八十度に広げて前にペッタリとくっつく事はできるようになっていたし、簡単な戦闘訓練なんかもなかなかいい感じでこなしていった。

 とはいえ、戦闘訓練のほうは一つに集中してしまうと他のことに注意が向かなくなってしまうようで、いろいろとまだ問題はあるのだが、戦闘系の職業ではない十歳の女の子がこれだけ出来ればなんら問題はないだろう。

 とくに、柔軟に関してはクレアよりも後にはじめたにもかかわらず、俺と一緒にクレアをいじめ……もとい、鍛える側に回っているほどだ。

 特に何をしていたわけでもないとは思うのだが、やはり人によって体が柔らかい、硬いというのはあるものなのだなぁなんて思う。

 ちなみにソフィーは割りとびしびしやるタイプのようでクレアに対しても結構容赦がなかった。

 クレアはそのしごきに対して毎回毎回悲鳴を上げていたのだが、最近は少し柔らかくなってきたようでそんなことも少なくなってきてはいる。


 ……。

 クレアの体が柔らかくなったのはよかったと思っている。

 別に、残念だなぁなんて思ってはいない。

 そう、いじめがいがなくなってしまって残念だなぁなどとは決して思ってはいないのだ。

 ほ、本当だよ?

 人の不幸を見て喜んだりするような性格ではないよ?

 むしろ……、ゴホン。


 さて、とはいえ、まだまだ硬いのは相変わらずなので今もクレアのほうからは悲鳴が聞こえてくる。

 ような気はするがきっと気のせ「あ~、助けて~、ぎゃ~」。

 ……。

 気のせいだろう。

 俺の耳には可愛い少女の断末魔などはいってきてはいない。

 というわけで、俺は毎朝行っている準備体操を独り続けるのであった。


 雲が少しは浮いているとはいえ、晴れといっていいこのきれいな青空の下。

 あっ、あの雲の形は魚みたいな形をしているな~。

 青空の下で暖かい太陽の光を浴びながら、俺は空を眺める。

 なんら変わる事のない平和な日常がこの村では続いているのであった。




「ううう~」


 柔軟体操を終えたクレアがいつもどおり座り込んでいる。

 もはや毎回起こっていることなので俺も慣れてきてしまった。

 足がもげただのなんだのとぶつぶつ言うので、とりあえずスリーズの実を口にくわえさせておとなしくさせてある。

 基本的にクレアはスリーズの実を食べさせておけば、割と機嫌もよくなるし、静かになるのだ。

 スリーズの実=クレアのおしゃぶりという構図が出来上がりつつあるような気がするなぁ。

 うん。

 なぜ世のお母様方が赤ちゃんにおしゃぶりをくわえさせるのかということがよく分かった気がする。

 まぁ、本物はもっと大変なんだろうけどな。

 妙なところで俺は世の中のお母様方の大変さというものをほんの一部ではあるが知ることが出来たのであった。


「ほら、クレア。

 次の訓練に移るから立ち上がりなさい」


 俺がクレアに声をかける。

 次はいつものとおり戦闘訓練、その後調合の練習にも行かなくてはいけない。

 子供ではあるけれど、なかなか忙しいのだ。

 まぁ、今日の場合は午後は暇なのでいろいろと遊んだりごろごろしたりすることは出来るんだけど。

 それも、なんかしらの仕事が入ってきてしまっては出来ないので、俺としては久しぶりの休日をのんびり過ごしたいのだ。

 というわけで少しせかして立たせようとする。

 するとその声に反応したクレアが座ったままこちらを見上げてくる。


「イジメ、カッコ悪い」


 将来酒癖が悪くならないように注意しなよ?

 酒に酔った勢いで赤の他人に危害を加えるなんてもっとかっこ悪いぞ?

ワールドカップが始まるということでサッカー関連の話題を盛り込んでみました。

がしかし、落ちをそこに持っていきたいがために文字数が少なくなってしまった。

なんというか、申し訳ない。




次話で第二章は終了となります。

第三章では少し外に目が向けられていくこととなります。

これからもがんばって書いていくのでどうぞ、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ