俺が守る、闇のなかの決意
大きな物音に急いで外に行くとリイミルの目の前には大きな黒いもの、魔物がいた。
「リィミル!?」
ー助けないと。
急いで駆け寄ったがリィミルは視線を魔物に固定したまま。もしかすると俺がリィミルを呼ぶ声すら聞こえていないのかもしれない。
「おいっ!」
俺がリィミルに近づいたその時だった。
ーオマエガ黒ノ妖精。
頭の中に声が響いてきたのは。不気味な低い声がぶわっと頭の中に広がって気持ち悪い。
ー我々ト対等ナ契約ヲ結ブノダ。ソシテ我々ニ力ヲ。
思わず膝をついた。黒の妖精って俺のことだよな。契約ってなんなんだよ?
「キーチ!!!」
リィミルの叫び声。あぁ、無事だったんだ。よかった。
「俺はいいから…」
逃げてくれればいい。俺はここでリィミルを死なすくらいなら犠牲になる。その方が何倍もいい。
それでも今にも泣きそうな顔で必死に俺を助けることを考えてるんだ。
「そうだ…!これなら、でも…」
何かを思いついたようだが不安そうにこちらを見た。でも、心を決めたようでしっかりと前を見つめた。
「光よ、闇を遮り分離せよ。」
その声とともにあたりは光に包まれ、真っ白な空間には俺とリィミルだけになった。
「なんで逃げないんだよっ!!!俺は平気だから。」
「キーチこそ!リィは大丈夫だったもん、多分だけど…」
怪しげな語尾に本心が伺われる。
「でね!時間はないからとりあえず。」
その言葉に気を引き締めた。
「この結界はあと少ししか維持できないの。だから、あの魔物のことをどうにかするのはキーチに頼むしかないの。」
頼むって…俺はどうすれば?
「魔物と契約して!もちろんあの魔物のいうような対等な契約じゃない、主従契約。」
ー主従契約。それは帰る方法を探していたときに読んだ。
一方が大量の魔力と精神力をもってして相手を従服させる、そんな魔法のはず。
「俺にそんな魔法できるのか?」
正直、ここにきて少しずつ魔法の勉強や修行もしているがそれは極々初期のもの。主従契約は契約魔法。普通にやってできるものではない。
「キーチならできるよ、信じてる。本当はリィに魔物を倒す力があれば良かったんだけど…」
「大丈夫、できる。やってみせるから。」
そうだよ、大丈夫だろう?リィミルが大丈夫って言ってるんだから。
そう言っているうちに結界は徐々にゆがんでいった。
パリン!!!
割れた。今…
「闇を司る力を行使し、我は臨もう。汝と主と従なる契約することを。」
あたりが黒く光る。黒なのに綺麗だった…
ジャラン
と音が響いたと思うと俺の目には光る黒の鎖に囚われる魔物の姿がうつった。
「よかった…」
安心もつかの間、リィミルのほうへ行くと…
「疲れて寝てるし…」
翌日。
「じゃあ、俺にしかあの魔物たちと契約することはできないんだな?」
なるほど、黒の妖精は魔物と主従契約ができるってことか。
「わかった、やるよ。全ての奴らと契約してここの均衡を取り戻す。」
実は文献をみて知ってたんだ、この世界の魔法の均衡が崩れててそのためにリィミルが毎日、バランスを調整してること。
ーリィミルは俺が守らなきゃな。
その気持ちがどこからくるものなのかに気づくのはもう少し先のお話。
最後までありがとうございました。
このあと、本編妖精たちのオラトリオに続きます。
ぜひ、そちらもよろしくお願いします。
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