なぜかおくるは平和な日々
第二の人生とか。
俺はまだ高校1年生なのに。
「ここにいても仕方ないしリィのお家に来なよ。」
「家?」
リィミルの家はこの森の中央に位置しているらしい。この周辺には特別な結界が魔法ではってあるから普通は歩ってても入れないらしい。つーか、魔法もあるのかよ…
もう、いろいろ驚くのも面倒になってきた。
そんな思考を巡らせつつ歩いていくと1つの白い塔が見えてきた。人工物らしいものはそれしかないからそれがリィミルの家なのだろう。
「お邪魔しまーす。」
リィミルについて扉をくぐると2階のリビングらしいところに案内された。
「お待たせー」
飲み物を持ってきて俺の向え側にすわったリィミル。さっきの3つの質問である程度は置かれている状況はわかった。信じるかは別として。
「それで、俺がこの世界に来ちゃったことに関して君はなにか関係あるわけ?」
「君じゃなくてリィミル。」
きつめに言った口調に怯えるわけでも怒るわけでもなくリィミルは自分の気に入らなかったところだけに反応を返した。それに反射的にごめん、というとリィミルは話を進めた。
「関係してる、かなー。んと、正しくは間違って呼んじゃったのキーチのこと。」
「はぁ?間違い??」
リィミル曰く、本を見ながら魔法を使ったところ間違えてとなりのページの魔法を使ってしまった、とのこと。
「ふざけてるよな?お子様なのは雰囲気だけじゃなくてその頭ん中もか?帰れるんだろうな…???」
ーといっても、実際そこまで帰りたい理由もないけど。そりゃ、父さんと母さんのことは気になるけど姉貴も兄貴もいるし。部活だって、俺がいなくてもきっと誰かがやるだろーし。何がなんでも会いたい人もいねーし。
でも、こんなところに理由もなくいるのはゴメンだ。
「ごめんなさい。わからないです…」
たっぷりの沈黙。
「でもっ!本になにか書いてあるかもしれないし!!頑張って探すから。それまでここの家にいてくれていいし!!!」
さすがに不味い状況を悟ったリィミルがいった。
「俺も探す!」
こうして2人の奇妙な生活は始まりました。
「起きろ。」
塔の3階にあるリィミルの部屋。外はもうかなり明るいがわざわざとなりの自分の部屋からキーチが起こに来ているにも関わらずリィミルが起きる気配はない。
安心な状況じゃないのにこっちにきてから約1ヶ月。こんな平和な生活が続いていた。
1ヶ月でわかったこと。
リィミルは雰囲気だけじゃなくて基本的に子供っぽい。朝はニガテだし身の回りのこともギリギリまでやろうとはしない。そのうえ、要領が悪い。書物のある部屋に案内されてからどのへんにそういうものがあるか覚えていないリィミルのせいで俺もリィミルも片っ端なら探すはめになっている。
「はぁ…」
見終わった書物は1ヶ月で1/5ほど。蔵書量も多過ぎる。しかも、ジャンルはバラバラに置いてあり魔法書のとなりに絵本があったりする。
「おはよう、キーチ。」
「もう、昼もいいところだけどな。」
そんなどうしようもない、俺を勝手に帰れなくしたリィミルのことを憎めないのは守らないといけないと、妹ができたように感じているからなのだろうか?
「ふぁ、疲れたー。休憩しよーよー」
リィミルの言葉でふと現実に戻ると結構な量の本に目を通し終わっていた。
「そうだな、外でお茶でもするか。」
俺がそういうと嬉しそうにうん、と返すリィミルをみてなんだかお茶が楽しみになる。
「さて、中からお菓子とティーセット持ってくるから座ってろよ。」
そういって俺は中に戻った。
リィミルの作った絶品のお菓子をとりに。好きなもののためには努力を惜しまないところがリィミルらしい。いつの間にか口元が緩んでいた。あわてて
口をきつく結び直し外へと足を向けたときだった。
ガタン
外から大きな音がしたのは…