奇しくも始まる第二の人生
妖精たちのオラトリオ番外編第二弾です。
※本編なしでも大丈夫です!
それはいつもの部活帰り。
バレー用品がつまったスポーツバックをもって制服を着て歩いていた。
公園を過ぎて角を曲がったら家。
そういえば、今日は見逃した映画のテレビ放送だったなぁ。
当たり前に今日も終わると思っていた。
突然、目の前に現れた穴に落ちるまでは…
ー目を開けたら目の前にあったのは女の子の心配そうな顔だった。
「あの、大丈夫?」
見渡す限り周りは森。その中で少しだけ開けた空間らしいそこに俺は倒れていた。
目の前の女の子はふわふわとした銀髪を持つとても綺麗な子。思わず息をのんだ。
「大丈夫だけど…」
頭がついていかない。
俺はあくまで学校から帰る途中だったはず。
それに銀髪の子なんて初めて見た。しかも言葉が通じるし…
あくまで日本人は黒髪だろう。もちろん俺も黒髪だ。…思考回路がヤバイ。
こういう時は、深呼吸?
そしたら背中に違和感を感じた。
「翅!!!?」
どうなっているんだ?
「落ち着きましたか?初めまして、リィミルといいます。」
しばらくしてやっと少しだけ冷静さを取り戻した俺は女の子、リィミルとようやく話し始めていた。
「あぁ、黒谷稀一です。」
「キーチ?」
いや、稀一だから。何度か訂正はしたもののどうやら発音しにくいらしい。確かに自分でもいいにくい。まぁ、キーチでいいか。と話をすすめる。
「聞きたいことはとりあえず3つある。聞いていいか?」
俺がそう尋ねるとリィミルはこくりとうなづいた。
「1つ、ここはどこだ?」
どう見ても俺がいた学校帰りの道ではない。しかも、帰り道は夕方だったはずだがここは昼。おかしい…
「ここは妖精界の中心にある迷いの森だよ。今ここにいるのはリィとキーチだけかな。」
…。理解し難い単語がいくつもあるがとりあえず。
「2つ、アンタ誰?」
「リィは光属性の妖精なの。人によっては妖精女王って呼ぶけど…」
リィミルの顔はちょっと拗ねた感じ。
んー、妖精なぁ…
「3つ、俺はどういう位置づけなんだ?」
それは、きっと聞いてしまったら戻れない。
「キーチは闇属性の妖精。この世界唯一の。」
…俺が妖精?てことはやっぱりこの翅も本物なのか?
あぁ、もう嫌だ。なんなんだ?
ここから俺の第二の人生は幕を開けるのだった。