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一章1-2 サイド:ドクター

「ドクター? 何を見ているんですか?」

「うん? 施設各所に設置したモニターで結城くんの行動を見てるのー」

「それってプライシーあります?」


 戦闘員用の黒いボディースーツの上にドクターと同じように白衣を羽織る化学部署所属の戦闘員7号が尋ねるが、ドクターは、悪だから仕方がない。と言えば、なら仕方がないです。戦闘員7号も返す。


「で、何か気になった事でも?」

「ああ、何か、最初に結城くんを見た時は、苦学生や活力の失われた子って感じだったんだよ」

「そうですか。僕たちは、何時もあの元気の良さに癒されますよ。仲間内で、あの子のために体張るって考えると一日元気に過ごせるそうですよ。あと、身体の一部が漲ると……」

「まぁ、男だからしょうがないよね。現に、戦闘部署の男どもが良い所見せようと張り切っているし」


 結城くんの戦闘部署の研修最終日。戦闘部署の責任者である将軍は居ないので、代理として六華が見ているが、男どもは、露骨に張り切っている。


「若いなー。だからこそ、結城くんを戦闘部署に配置したくないな」

「まあ、分かります。あんな汗臭い所に毒されて欲しくありませんし、願わくば、僕らの化学部署に美少女が来てほしいです」

「そしたら、男所帯での下世話な話が出来ないなー」


 はははっ、と中年のおっさんと元・中小の金属加工業の腕利き技術者の戦闘員7号が笑っている。

 聞く人によっては、顔を顰めたくなるような事を平気で言う男二人だが、ドクターと7号の関係は、意外と深く、どちらも有能なのだ。

 ドクターは、多種多様な知識と技術を異能と融合させているが、それも彼らのような生粋の技術者が居るためだ。

 ドクターが構想と設計図を作り、技術系の戦闘員が必要な部品を一から削りだし、作り上げる。そして、生み出された悪の秘密結社【ダークス】としての道具の数々は、事務部署を通して、他の悪の秘密結社に売り込み、活動資金の一部を得ている。

 また、真黒人材派遣会社としても幾つか、商品を特許化しており、特許を利用した商売を起こせば、業界でそれなりに名を残すだろうが、会社としては、商品は作らずに特許の使用料で設けている面もある。



「と、計画部署のトップは俺も兼任しているけど、多分経験が物を言う計画部も置くのは難しい。アイディアは、言ってくれれば、それを検討するからどこでも出来るしな。化学部署も時間があったら来て貰う形。となると、事務と福祉部署のどっちかだよなー」


 棒付のキャンディーを加えながら、身体を反らすドクター。


 悪の秘密結社【ダークス】こと真黒人材派遣会社は、それぞれの部署が表と裏の顔を持っている。

 表の業務の分担は――


 世間一般での人材派遣や土木事業など――戦闘部署。

 新しい商品などの流通・販売――計画部署。

 商品開発や特許開発などの副次的収入を担う――化学部署。

 経理などの裏方業務の人材を派遣と社内の事務処理を一手に引き受ける――事務部署。

 最後に、会社としての福利厚生と雑務を引き受け、地域の顔としての立場を持つ――福祉部署。


 これらが社長である総帥を中心に行われるのが、表の結社のあり方。

 そのために、平時の時は、肉体労働の多い戦闘部署や常に激戦の計画部署は難しい。

 化学部署は、教育させて裏方に回すのは、まだ先と考え。

 事務部署を受け持つ六華も事務部署は、多少の資格が必要であるためにまだ先。

 そうなると、地域の顔役である福祉部署が妥当という結論。


「まぁ、本人に振る舞い方だと、どう考えても福祉部署がメインで空いた時間に事務と化学部署の手伝い。あとは、戦闘部署での時折訓練かね?」

「仕方がないですよ。でも、あれですよね。結城ちゃん――アイドル化してますよね。内の組織で」

「若い女は戦闘員に居るけど、結城くんは、皆のマスコットだからね。あー、おじさん。前に成人したら酒飲み明かそうって誘ったけど、今夜あたり晩酌に誘おうかな? 安酒でも美少女が注いでくれれば、きっと旨くなるだろーな」

「ずるいですよ。僕も一緒にお願いします」


 あはははっ、と笑うドクターと戦闘員7号。

 それを冷ややかな目で見つめる女性戦闘員12号は、言う。早く仕事に戻れ、と。



温泉(On-Sen)に比べると短いショートストーリーで進行します。

コメディー系の悪の秘密結社を楽しんでください

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