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からくり野球〜土壇場のジョーカー〜  作者: 水前寺鯉太郎
1年目

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21/46

第21話:魂の共鳴(レゾナンス)、そして約束の空へ


 グラウンドを蹂躙する対人制圧重機、「アイアン・ゼロ・マキシマム」。

 その巨躯から放たれるのは、もはや野球の範疇を超えた鋼鉄の榴弾だ。土煙が舞い、照明塔が揺れる絶望的な状況。だが、紀伊プラムスのナインは、誰一人として背中を見せなかった。

「しみまる! 最後の冷却材よ、これを受け取って!」

 明日香が投げ渡した緊急ブーストシリンダーを、しみまるは銀色の義腕へと叩き込む。

 キィィィィィィィン!!

 バスター・アームが、限界を超えた臨界点に達し、青白いプラズマの火花を撒き散らした。

「……みんな、僕に力を貸してください。この一撃で、すべてを終わらせる!」

全員野球の連携

「行けえええ、しみまるッ!」

 エース・竜神豪が、渾身の力で最後の硬球を空高く放り上げた。

 それはただの球ではない。ナイン全員が指を触れ、勝利への執念を込めた「魂の白球」だ。

 重機アイアン・ゼロが、しみまるを排除すべく、その巨大なガトリング砲を向けた。

 ターゲットロック、0.5秒。

 だが、その一瞬。

「……父さん。見ていてくれ」

 しみまるの脳内チップが、父・大和の遺した隠しプログラムを完全に解凍した。

 それは破壊のための計算ではない。「大切なものを守るための、意志の増幅」。

 

 右腕の装甲が次々と展開し、内部のシリンダーが三段階に爆縮する。

 落ちてくる白球。

 迫りくる鉄の雨。

「――『紀伊・グランドスラム・ノヴァ』!!」

閃光、そして静寂

 バキィィィィィィィィィィンッ!!!

 物理的な音を超えた衝撃波が、スタジアムを白光で包み込んだ。

 しみまるが振り抜いた一撃は、白球を「光の粒子」へと変え、アイアン・ゼロのコアを正面から貫いた。

 爆発する重機。ドローンたちは制御を失い、次々と地面へと墜落していく。

 光が収まった後、そこにあったのは、ボロボロになりながらも互いを支え合うプラムスの選手たちと、完全に機能停止したタイタンズの軍勢だった。

 しみまるの右腕は、役目を終えたかのように、パラパラと銀色の装甲を剥がれ落としていった。

エピローグ:次なる戦いへ

 翌朝。和歌山の海は、何事もなかったかのように穏やかだった。

 研究所の屋上で、包帯を巻いたしみまるは、遠くの球場を見つめていた。

「右腕……しばらくは動かないみたいですね、博士」

「ああ。だが、君の『心臓』は以前より力強く脈打っている。……本当の『からくり』は、機械の中ではなく、君の意志の中にあったということだ」

 黒金博士は、修理中の義腕を眺めながら小さく笑った。

 そこへ、明日香が新聞を手に駆け寄ってくる。

「しみまる! これ見て! 日本プロ野球連盟から公式声明が出たわ。タイタンズの暴挙は国際的なスキャンダルになって、アイアンズは解散……。そして、紀伊プラムスに**『全日本オールスター戦』**への特別招待枠が届いたのよ!」

 しみまるの瞳が輝く。

 シーズン前半戦、からくりエースとして、そして不屈の打者として駆け抜けた日々。

 だが、真の日本一への道は、まだ始まったばかりだ。

「……行きましょう。僕たちの野球が、どこまで通用するか。……世界に見せてやるんです」

 潮風に吹かれながら、少年は誓った。

 いつの日か、再びマウンドで、あの145km/hの「誇り」を投げるその日まで。

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