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惑星ムンド管理官、転生者を監視する。  作者: 山田村
第五章 歴史

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第49話 スコットランド国 1486年 問題



 このドワーフ女の話は、そんなに難しい注文ではなかったが、

「あなた、これから仕事を見てたら夜になるよ。帰りはどうするの?」

と聞いてみた。


 すると女は、

「軒下でも貸してもらえれば、そこで寝ます。食事は隣のギルドで間に合います」

と平然と言う。


「あなた、今、冬よ。外は無理でしょう」

と言うと、彼女は胸を張って答えた。


「ドワーフは外気に左右されない丈夫な種族ですから平気です。私もこの通り薄着で年中過ごしています。むしろ服なんか無くても平気です」


 どうも、地元のドワーフ族とは大分人体構造が違うようだ。


「体のつくりが違うみたいだね……」

と考え込んでいたら、マシューが声をかけてきた。


「おっ、ドワーフの人か! 母上から頂いた剣も、ドワーフに作ってもらったんだ」


「マシュー、私もドワーフだよ。言わなかったっけ?」


「え、あり得ない。我らと同じじゃないか?」


 私はドワーフの女をその場に置き去りにして、マシューを奥へ連れていき祖国の話をした。マシューも納得したので、置き去りにした彼女のところへ戻る。


「先ほどドワーフと言ってましたが、混血してもあなたのようになった事例はありません。あまり変なことは言わないでもらいたい」

と抗議されたが、無視した。正直、説明するのが面倒だった。


 改めて自己紹介をすると、北部コーウェン出身のポピーという女性だった。筋肉質の小柄な男性と勘違いしていたが、そこは言わない方が良さそうだ。


 その後、仕上げが必要な普通剣と、直し用に預かった剣を簡単に直しながら、ふと思った。

 高級品以下の製品なら仕上げることができる。ポピーに仕上げ前まで作ってもらい、私が仕上げれば、お互いにとって良いかもしれない。


「ポピー、提案だけど話を聞いてくれる? 今考えたんだけど、製品を仕上げ前まで作ってもらえれば、あなたの仕事を見られる。そして私が仕上げをすれば、あなたが見られる……どう思う?」


 ポピーは目を輝かせた。

「いいかも。いろんな材質や形の物を見てもらえれば、私の弱点に気づけるかもしれない」


 その後、ポピーに剣を作ってもらって気づいた。

 ――魔力を使っていない。

 どう伝えていいのか分からず、見てもらうしかないか……。

 その日は部屋と食事を与えて休んでもらった。


 翌日、エラが合流したので、ポピーの話をした。朝食を取りながら質問してみる。


「エラは、体から魔力の流れや、物に流れる魔力って見える? それと、見えるようになるにはどんな訓練した?」


 エラはデザートを持ってきながら答えた。

「あのドワーフ娘のことか。見えるというより、感じるかのう……おやつ」


 テーブルに皿を置き、続ける。

「ワンドを振る感じだと、お前たちのトンカチに似てるかもな」


 なるほど、そうかもしれない。流石、年の功だ。


「男爵様に会ってきたんでしょう……どうでした?」


「アップルパイを追加で。例のワンドを検証・解析して国王に報告し、その成果が認められたら辞めることを許す。そしてワンドを国王に献上すること……という具合だ。あれを分析するのは骨が折れるぞ。数年はかかるじゃろうて」


 出かける前にポピーへ、普通剣を毎日二本作るよう頼み、私たちは北の冒険者ギルドで依頼を探した。討伐依頼が一件あり、職員に詳しい内容を聞くと、北三十キロ付近の道に山賊が出るので討伐してほしいとのこと。生け捕りなら報酬が倍になる契約だ。マシューは即断し、北へ向かうことになった。


 目的地の上空から探ると、西一キロの森の影に、複数の反応が揺れていた。ここから歩いて向かう。しばらく歩くと、

「左に五人、右に十人」

とバレリアが告げた。マシューが左へ向かい、右は固まっているのでエラが麻痺魔法をかける段取りになった。


 工学迷彩で近づき、一斉に攻撃。右は麻痺状態をバレリアが拘束し、左はマシューが足を攻撃して動けなくしたところへ、エラが麻痺魔法を追加した。全員を拘束し、一番身なりの良い者にバレリアが脳に自白作用をかけ、アジトや隠し財産、町での拠点と取引先を自供させた。


 山賊を眠らせて船に放り込み、近いアジトへ向かう。留守番は三人。エラと私で麻痺魔法をかけ、マシューとバレリアが拘束して船へ運んだ。そこからはエラがお決まりの家探しをして戦利品を回収した。


 だが、一つ問題が見つかった。バレリアが指さした奥に、数人の女性が檻の中で震えていた。山賊のお決まりだ。


 とりあえず洗濯魔法をフルパワーでかけ、船に乗せて第二拠点で事情聴取した。結果は前の山賊と同じで、全員が近くの村や町の拠点から攫われていた。総勢七名。今回は全員が家に帰りたいと申し出た。長い者で一ヶ月、短い者は十日間軟禁されていた。


 彼女たちは慰み者にされた末、奴隷として売られる運命だった。家に幼い子供がいるという女性は、泣いて私の腕を掴んで離さなかった。夫や親にどう思われるか心配して暗い表情を浮かべる者もいた。問題はあと二人――これは後回しだ。


 山賊は三日後、マシューと管理人の二人でギルドまで護送した。



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