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惑星ムンド管理官、転生者を監視する。  作者: 山田村
第五章 歴史

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第46話 スコットランド国 1486年 屋敷




 年が明けた。スカイ島からの依頼はいまだない。数日はごまかせたが、この寒さではキャンプ生活は無理がある。商業ギルドで家を借りるか、買うかを検討していた。


 まずは物件探し。数件見せてもらったが、今空いている家は庭が狭く、値段も手ごろな賃貸物件だった。庭が広いとなると、来年に空く貴族の別荘が一軒あるが、来年までは待てない。売家の話を聞けば、貴族物件が二軒。ただし値段は二桁違いで、身の丈には合わない。一軒だけ訳あり物件――事故物件――があった。ここはパスだと思った。


 ところが、エラとバレリアの強い希望で、その訳あり物件を見ることになった。ギルド職員の説明では「夜に足音がするらしい」とのこと。怖いので遠慮したいが、不安な気持ちを抱えながら郊外の屋敷に到着した。大邸宅ではないが、正面には小さな庭、裏側には広い空き地と小屋がある。生垣は綺麗に刈り込まれ、外観も整っていて問題なし。


 中へ案内されると、急に寒気が走った。エラが言う。

「レイスの気配があるのー、それも少し強い……」

 バレリアが続ける。

「この感覚ですか?……学習しました。」


 私は帰りたかったが、エラが急かす。

「ほれ、何ビビってる。はよ発動せんか!」

 仕方なく魔法書の呪文を唱え、気合を込めて「えい」と放った。すると悲鳴が響き、部屋に光が広がる。レイスの姿が薄く見え、焦った。集中してもう一度放つと、レイスは霧散し、部屋全体が明るくなったような錯覚を覚えた。


 外で待機していたギルド職員が異変を察して中を覗き込む。

「なにか出ましたか? 私は帰ってもよろしいでしょうか?」

 マシューが答えた。

「ここを買います。まだいますが問題ないでしょう。」

「では、ギルドに早く帰りましょう。」


 レイスはいなくなったが、マシューは……? エラが言う。

「正直に交渉せず、悪い部分も残して交渉するんじゃ」

 私は初めてのレイス退治で心の余裕がなかった。


 結局、ギルドでは値引きはなく、提示された金額で購入できた。それと、レイス退治の依頼があれば請け負うと伝えると、三件ほどあるらしくお願いされた。私は気が進まなかったが、エラが言う。

「慣れろ。見慣れれば大したことないから。」

 頷くしかなかった。



▼△▼△▼△▼△



 早速、第二拠点として魔改造を始めた。地下に生活環境を整え、作業ロイドを二体配備する。今回は鍛冶屋のメイドを、五十歳ほどの屋敷管理人風に整形して配置した。


 数日後、ギルドのレイス案件を片づけるため屋敷へ向かった。だが屋敷は名ばかりで、お化け屋敷そのものだった。職員に「これは玄関、開くの? 入れるの?」と聞くと、壊してもいいらしい。この地に住み着いているレイスを消してほしいとのこと。場所は中心地に近く、「立地は良いがレイスが出る」という物件らしい。


 エラが言う。

「とっとと片づけて次いくのじゃー。」

 広範囲に広がる特性ワンドを使い、建物へ魔法を掛けた。うっすらと光が広がり、悲鳴もなく浄化されたようだ。そこから次の場所へ向かった。


 そこは人が住んでいて、老夫婦が疲弊した様子で挨拶してきた。聞けば三年前に引っ越してきた四十代の夫婦らしいが、六十代に見える風貌はレイスの影響かもしれない。前の持ち主の身内で、相続して住んでいるという。地元教会では退治できず、本部から専門の神父を呼ぶと高額な料金が発生する。そこで「ギルドから格安でレイス退治を請け負う」と聞いて申し込んだらしい。夫婦を外で待機させ、聖魔法を使うと悲鳴と共に消えていった。


 次は墓地だ。最近スケルトンが彷徨っているらしく、墓守は退避している。教会からの依頼だが、冒険者ギルドの案件かと聞くと「商業ギルドが仲介しているだけで、討伐したら商業ギルドの証書を持って冒険者ギルドへ行ってくれ」という話だった。


 北西の林の奥に墓地があり、空気は淀んだ雰囲気を漂わせていた。作戦は広範囲に聖魔法をかけ、弱ったスケルトンを物理的に破壊する。最後に淀みがなくなるまで数回聖魔法をかけるというものだ。


 現場に着き、墓地の空気は湿って重く、肺にまとわりつくようだった。当たりを見渡して広範囲の聖魔法をかける。カタカタという音が近づいてくる。

「なんか数、多くない?」と私が言うと、バレリアが答えた。

「二十以上います。」

 慌てて再び発動する。マシューやバレリアが突っ込んで片っ端から倒していくが、キリがない。エラが叫ぶ。

「再生してるのー!」

 火魔法でスケルトンを燃やし灰にして、

「奴らに!」

「これが!」

「一番効く!」

 と言いながら攻撃していた。


 私も広範囲魔法を連発して援護するが、なかなか数が減らない。ゾンビまで出てきた。エラが指差す。

「奥に強い奴がいるのー。奥の黒い影、見えるか?」

 集中すると、確かにいた。黒い影は人の形をしていたが、顔は真白な美しい女の顔立ちで、目だけが大きく全てを吸い込むような黒い穴のようだ。これはどう見ても上位種のリッチだ――たぶん。


 私は恐怖からワンドを持ち替え、広範囲から集中タイプに切り替えて発動した。光の線が黒い影に吸い込まれ、一瞬白く輝く。リッチはぐらついた。バレリアが撃った光線でリッチの体の一部が元素分解され空洞化するが、まだ健在だ。私は動かなくなるまで連続して発動し、体全体を光で覆った。耳をつんざく悲鳴を上げ、リッチは光の粒となって消えていった。


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