第4話 イベリア歴606年 育つ
ここの生活にもだいぶ慣れてきた。
前の体からこの体に変わって、なんかパワーアップしたんじゃない~~~? 足は速いし、腕力もすごい。
この六年間を振り返ると、一年目は何も分からないし、ほとんど寝て食べてだった。
二年目。南の国から流行り病が襲ってきて、村でもその病で三十名ほど亡くなった。家でも優しく接してくれた祖母のアウロラが亡くなってしまった。
三年目は、姉や兄達と川に行って毒バチに腕を刺され、痛い思いをした。ハチを刺激した兄は特に怒られたっけ。前世では見たこともない蜂という虫が沢山飛んでいて、蜂は危険だと学習した。
次の年は平穏に過ぎ、五年目。母と庭で遊んでいたら、毒蛇に足を噛まれ三日寝込んだ。子供があの蛇に噛まれると死ぬといわれていたが、近所の薬師の毒消しが効いたのか死なずにすんだ。
蛇は映像やデータで知っていたが、噛まれた痛みで気を失ったので、実際には見ていない。多分気持ち悪いヤツだろう。
本当にここは、危険で……くさい!
そして、六年目。なんか六歳で背丈が120センチくらいあるし、二十歳になったら180センチオーバーかな~。イレーネ姉さんも170超えているし、ドワーフ伝説ってウソかよ~。
あーし、将来モデルか女優、やっぱぁ~り~アイドルかな~~。
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この国の教会は『神社』と呼ばれてて、日本みたいに鳥居はなく、石造りの教会だけど神社だって。変だよね~~~。
きゃ~はぁはぁはぁ~~~。
おっと、あぶね~~~。この地域、日中は騒いじゃいけない所だった。
ん~~~……むこうの木のそばに……ブルーノ発見!
あーしの、お・も・ち・ゃ……。
「こんにちは。ブル吉ちゃん、元気だった?」
「やあ! イザベル。てか毎日会ってるべさ。毎回言ってるけど、俺はブルーノだから」
「あら、ブル吉の方がめんこいのに。男の子がそったら細かい事、気にするんでないの。グズグズしてると神社のお仕事に遅れるわよ……ついてきて」
あ~、ダニエル見っけ!
「こんにちは。ダニ吉兄さん」
「やあ! イザベル。そったら呼び方は感心しないな~」
「だって、その方が親しみがわくし~……本当のお兄さんになるかもしれないし~」
ダニエルは真っ赤になって……あの兄弟、真面目すぎる……。
「早く、こっちに来て手伝いなさい」
ヤバ……姉さんだ! 厳しいから、早くいこ。
ブルーノは神社の息子。姉が巫女で、あーしは巫女の見習いをして、参拝者や神主のお手伝いをしている。
美人姉妹の巫女と言う訳で、参拝者は非常に多いはずだ。
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イザベルも問題を起こさず、土地の者に順応して来た。祖父母や両親と姉妹の仲も良いようだ。祖母は残念だったが、これも流れだ。ドワーフは家族や民族の連帯が強い種族だから、問題ないだろう。
毒蛇に関して、というか、毒や細菌等の説明を事前にしたが、聞いていなかったのか? ものづくりや他の説明も理解していないかもしれない。
この地は、言葉に北海道の方言が少し混ざる特徴がある。あと、ものづくりに関しては一流だ。生前この様な集落が有れば、真っ先にスカウトしていただろう。そして、技術の進歩が二十年は違ったはずだ。




