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惑星ムンド管理官、転生者を監視する。  作者: 山田村
第四章 転移

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第34話 ウェールズ国 1485年 ラシーヤ




 この国で知り合いはバレリア一人だけ。頼もしい仲間だが、彼女にはエネルギー供給のネックがあり、生きているうちにそれを作らなければならないと考えていた。――そのすべてが解決しそうだ。心からほっとした。


 都から少し離れた空き地でコンタクトを取ることになった。結構近いが平気なのか?と疑問を持ったが、向こうの指示なので従うことにした。害獣の脅威は去ったものの、我々はまだ監視対象から外れてはいない。都の門を出れば尾行される可能性が高い。そこで、バレリアの提案に従い光学迷彩を使って向かうことにした。


 外は曇りで薄暗く、ちょうどいい。鍛冶場の戸締りをして、物陰から迷彩を発動し、北の空き地に近い門へ向かう。衛兵の脇を通り過ぎ、難なく外に出た。周囲に人がいないことを確認すると、バレリアが私をお姫様だっこして走り出す。目的地には一分ほどで到着した。


 私たちは光学迷彩を解除し、小型機らしき方向へ向き、反応を待った。音もなく景色が変わり、中から人型のアンドロイドと思われる者が現れ、通話を始めた。


「わ・れ・わ・れ・は・う・ちゅ・う・じ・ん・で・あ・る」

(沈黙)――はぁ~(怒り)


「あれ、乗り悪いですね。地球では定番のギャグと聞いてますが……」


「それって、二十世紀の昭和ギャグで……」


 彼はニコニコしながら私の反応を楽しんでいた。


「私は銀河系内のウランゲリ系に属するアンドロイドです。バレリアの通話を受け、今回の接触となりました。この星は魔法が扱える貴重な星ですが、魔法がある星は科学の発展が通常の星より遅く、宇宙に出るには十五万年はかかるでしょう。ですから我らは監視衛星を置き、要塞は待機していないのですが、今回の要請でここに来ました。私は名前がありませんが、ラシーヤ人から生まれたのでラシーヤと呼んでください。管理官とは話がついているのでご安心を。」


 管理官も絡んでいるのか……。私たちは必要な物資のリストや装備の変更を含め、鍛冶場の上空から専用運搬船で搬入してもらうことになった。帰りは宇宙船で鍛冶場まで送ってもらい、ラシーヤも暫く同居することになった。理由は、私の魔法習得のために滞在することになったからだ。


 会話の中でラシーヤが言った。

「この星にいるなら魔法を覚えた方が有利だよ。私も教えることができるけど、どうする?」


 その一言にバレリアが反応した。

「私も覚えることができるのか?」


 ラシーヤは首を振る。

「無理です。あなたの体は進化途中です。理由として、いくらAIが人格形成して人のような感情を持っても、魔法が使える星特有の大気を取り込むボディでなければ無理です。」


 薄々感じてはいたが……人格形成、すごい。バレリアは無反応だった。


「バレリアの体を変えれば魔法を使えるんだよね?」


「そうなります。変えますか?」


「変えます!」――速攻だ。


「戦闘力なら魔法は必要ないが、治癒や聖魔法は別ですからね。」とラシーヤは答えた。


 その後、ラシーヤは肉体を女性化させ、我々の中で違和感をなくした。まるで生まれも育ちもウェールズ出身みたいな感じに偽装したのだ。服はなかったので、市場で古着を買って着せた。午前の時間をすべて使ったが、充実したひとときが過ぎていった。


 午後になると運搬船が到着し、物資を降ろしてレクチャーを受けた。バレリアは一瞬でデータのやり取りができたようだが、生の脳にデータを送るには時間がかかる。急ぐと脳が煮える――大変危険らしい。人体改造しているとスムーズらしいが……改造人間か?


 多少早くなるよりも、今使う物を一つ一つ教えてもらうことにした。ラシーヤも完全な肉体を持つ人は六百二十年ぶりらしく、慎重に進めていた。


 鍛冶場の裏には井戸と狭いスペースがあり、隣に石壁があって日当たりの悪い場所だった。そこを地下へとくりぬき、地下施設を作り、入口には偽装小屋を設けて違和感をなくした。地下は意外に広く、鍛冶場から冒険者ギルドまでの道路の下にまで伸びており、約十五×二十メートルの便利空間が広がっていた。


 生活が一変した。地下施設はまるで未来都市の縮図だ、コピー機、洗浄機、医療器、工作機、人型メイドロイドが二台。私たちはお金がなかったので、最初に使う機械はコピー機だった。銀貨と金貨をスキャンし、必要な材料を充填して稼働させる――簡単な作業だ。原料がなくても大気中から吸収できるが時間がかかるため、時短のために予想した物を用意していた。稼働して数十秒で百枚ほどのコインが完成し、この国で暮らすための活動資金不足から解放された。


 次に利用したのは洗浄機だ。服も体も綺麗になるが、風呂のようなリラックスはできない。医療器で横になればリラックスもできるが、なんか違う。風呂は別物だね。ただ洗浄と消毒がメインだ。


 新しい装備は工作機で作った。白いボディースーツ――着ると自分の肌色に同化する。武器はスーツに装着され、手が銃にも剣にも盾にもなる。盾は構えているように偽装され、この世界仕様になっている。スーツがあれば盾や剣は必要ないが、一応この国仕様ということだ。体力強化の補助も装備され、かなり進んでいる。さすが九百世紀越えは違う。


これで生き延びられる――そう思った瞬間、胸の奥の不安が安心へ変わっていった。


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