第3話 イベリア歴600年 生
惑星ムンドは地球のイベリア半島、スペインとポルトガルを模したような大陸と島があり、その大部分に知的生命体が住んでいる星だ。過去に十五世紀のイベリア半島から転移した先住民がつけた地名や、国の地形もよく似ている。
先輩からの情報では、何も関係していないという資料にあるが、ただ、そっくりだ。地図にしてしまえば、ポルトガルを除くイベリア半島を左右に引っ張った感じだ。海岸線が大きく入り込み、国境の役目をしている。
ポルトガル島だけ分離しており、晴れていると互いの領土が良く見える距離感だ。
かつてこの大陸を統一したイベリア帝国の初代皇帝が制定したイベリア歴から六百年。統一前は約千年間、今よりも小国が乱立する国家群の中で、繁栄したり滅んだりの繰り返し状態だったという。
現在は、帝国の有力貴族が三百年前に四国に分裂させている。
中央の大国カスティーリャ王国は皇帝の国。
東の中堅国アラゴン王国は、三百年前の皇帝の第三皇子の国。
南の小国グラナダ王国は、財務大臣であるグラナダ公爵の国。
そしてここ、北のナバラ王国は軍務大臣ナバラ侯爵が建国した国だ。一番小さな国だが、地理的に攻め難い地形で、国として現在まで維持している。その南側にあるトゥデラの小さな村の村長宅が、高市早が転生する家だ。
そして今、誕生した。無事に生まれたようだ。
……十日後。
彼女はイサベルと名付けられ、愛情を沢山もらい大切に育てられている。
父のマテオや母のグロリア、姉イレーネ、兄マルコス、祖母アウロラ。そして祖父で村長のマリオ・ペレス達は、新しい命に対してありったけの愛情を注いでいるようで安心した。
後は日々の成長を見守るだけだ。
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(ここからはイサベルの内心です)
「ふう~……数秒、気を失った時は死んだと思ったよ~……。背中叩かれて、痛くて目を覚ましたけど……痛くて大泣きして……眠い……」
次の日、目が覚めて。
「腹減った……泣いてみるか~。……やっとママのおっぱいにありつけた。……眠い……」
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(イザベルと管理官)
「……追加で、連絡事項があります。禁止事項……『分かった。そんなあ~怖いの興味ないし~~』……それと、ここはドワーフ族の有名な鍛冶師の村で、全員ドワーフです」
終わった~~~~~! あっち、髭生えるのか~~~~~!
ずんぐりむっくりでムキムキか~~~~~~~~!
「こら! ねっこ! なんでドワーフなんだよ! 異世界と言ったら金髪とかエルフの美形だろ~が~~~~!」
「……元気があってよろしい。先ず言っておきますが、ドワーフの女性は白人女性と変わらず、顔に濃い髭は生えません。体型も少しガッチリしていますが、普通身長です」
「こ~~ら! ……ねっこ! ……なんでドワーフの前に説明をしないんだよ~~~バカ~~~」
「…………では、好い人生を……」




