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惑星ムンド管理官、転生者を監視する。  作者: 山田村
第三章 進展

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第27話 イベリア歴623年 その日 




突然、その日はやってきた。最近、気分がすぐれない。私、病気はしないと猫管理官から聞かされている。もしや――。


「バレリア、私をスキャンして、妊娠してないか確認できる?」


「出来ます。……確認しました。妊娠、約八週の胎児を確認。男子の可能性が高いです。遺伝子の異常はありません。何もしなければ四月十日に誕生します。」


胸が熱くなり、涙がこぼれそうになった。…バレリアが続けた。


「要塞ですと今からでも出産可能です。六歳まで英才教育が可能です。」(沈黙)


「分かった!(沈黙)…フフフ……イバンに知らせないと……」




▼△▼△▼△▼△



 イバンが帰ってきた。


「イバン!ちょっと話があるんだけど。実は私……妊娠したみたいなの……」


「えー……おめでとう。……嬉しいよー……親父か~……ムフフ……」


 その夜。


「ただいまから家族会議をはじめます。バレリア、お願い!」


「イザベルが妊娠しました。四月に生まれると思います。妊婦は安定するまで行為はできません。約六週間は禁止を推奨します。提案ですが、体調のすぐれない時を除いて六週間、イバンの相手をしてもらうことは可能ですか?」


 そう言われて真っ赤になったイレーネは、


「可能……です。バレリアは手伝えないの?」


「私は不可能です。要塞に帰って改造すれば可能ですが、今はここを離れることはできません。脳に干渉して行為と同等の達成感と満足感を体験できますが、それでもよろしければ。」(沈黙)


「なにそれ?意味わかんない。……イバンよろしく!」イザベルは、


「イレーネ、私が独占すればイバンが可哀そうだから、あなたにお願いするの!わかるよね?」


 イレーネがコクリと頭を下げて……。


 私はお酒を止めた。前世の習慣からか、この期間は禁酒にした。


 定時になり仕事の準備を始める。この前出来上がった男爵のジュエリーをケースに入れ、奥の金庫に保管した。鍵はイバンの寝室の戸棚に置いてある。鍛冶場の内扉を外して換気をし、店の周りを掃き清める。バレリアも手伝って外のゴミを拾っていた。イレーネも、私が妊婦になってから手伝うことが多くなった。


 天気が良かったので外で腕を広げ、「ウォーッ」とストレッチをした。真似してイレーネも鍛冶場でストレッチしていた。バレリアはただ見ていた。


その時、地面が明るくなり、眩しい光が視界を奪い、足元が消えるような感覚に襲われ、吸い込まれる感覚が走った。クラッドネックから防御シールドが展開し、体を覆う。同時にバレリアが私をガードしてくれた。



▼△▼△▼△▼△



幸せな日常が続くと思った矢先、突然の光がすべてを変えた。


 あー……ベタなストーリー展開。目の前の男性が「男は疲れ切った顔で、それでも必死に笑みを作っていた」それとその他関係者。……周りを見るとバレリア、お、ついている。私はバレリアを見て「ニカ!」とほほ笑んだ。


 目の前の男と、少し高そうな服を着ている女が話をしていた。


「勇者の皆様はまだ、この国の言葉が分からない。身振り手振りで意思疎通して、この国の窮地を救ってもらわなければ」


 何これ、異世界召喚なんとかか?台本あるのか?……おもむろに手を上げて声をかけた。


「あのー、ちょっといいですか?」


 女は驚いて腰を抜かし、へたり込んだ。


「あー……言葉が……分かる。はっ!もしや国内から召喚したのか?」


「あのー、ちょっといいですか?ここは、どこですか?」


 その問いに、女は立ち上がろうとしたが、ふらついてまたひっくり返り、素足が恥ずかしかったのか赤くなり、太ももを隠した。


「ここはウェールズという国だ。あなたはどこから?」


 どうやら異世界らしい。


「私はナバラ王国から来た。大陸の北に位置し、南には大国カスティーリャ王国がある」


「聞いたことがない。もしかして伝説の海を越えた南の果てにある国か?」


 私はバレリアとクラッドネックを通して会話をはじめた。


『ここは異世界か?』・・・

『はい、そのようです。惑星の重力が0.025違います。要塞と直通回線が繋がりません。』

『要塞か……残念だが……』


「あの、私はただの鍛冶屋で、しかも妊婦です。勇者ではないと思いますが……それと妊婦なんで、暖かい所で座りたいのですが。」


「わたしもただの冒険者で、これといって特技はありません」


次は『鑑定の魔道具』とか言い出すんでしょ?


「そんな~!私達の召喚が間違うはずがない……そうだ、鑑定の魔道具を……」


……あ、ほんとに言った。私は念話モードでバレリアと話した。


『そんなのあるのか。バレリア、聞いたか?すごいな』

『大変興味あります。ぜひ分析したいです!』

『なんかAIテンション上がってないか?普通か?』


「魔道具を早くこちらに。では始めます。あ~まだ腰が……少し支えて、お願い。」


 なんか怖くなってきた。まさか勇者……?


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